実はできていない人多数!高齢出産を乗り切る体づくりは「妊娠前から」

「妊娠中は体重管理と健康管理が重要」「出産も育児も体力勝負」という先輩ママの話を聞いて、「妊娠したらがんばろう」と思っている人は多いでしょう。事前の心構えは重要ですが、準備のタイミングは「妊娠したら」ではなく「妊娠前から」がベストです。

今回は、当たり前のようで、実はできていない人が多い「妊娠・出産の心構え」について、元助産師で出産のスペシャリストであるリタさんに教えてもらいましょう。



【PROFILE】

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リタさん(53歳)

現在は看護師として活躍する元助産師。助産師時代には数多くの出産に携わった経験を持つ、出産のスペシャリスト。産前・産後のママの良きアドバイザーとして、今もたくさんの人たちから相談を持ち掛けられている。



出産と産後を乗り切る体づくり、いつから始める?

「ああ、今日もよくがんばった!」 日勤を終えたリタさんが新生児室の前を通り掛かると、窓ガラスに張り付くようにして赤ちゃんを見ている女性がいます。気になったリタさんは、近寄って声をかけました。

リタさん 「ご面会の方ですか?今日はもう終わってしまったんだけど...」

ひとみさん 「いえ、大丈夫です。妹が出産して、さっき会ってきたんですよ。あんまりかわいいから、ガラス越しでいいからもう少し見ていたくて」

リタさん 「あら、おめでとうございます!新生児、本当にかわいいですよね」

ひとみさん 「でも、出産ってたいへんですね。妹は30代後半で高齢出産だから難産でしたし、今もまだ体力が回復しなくてつらそうでした。40代の私なんて、もっとたいへんなんだろうな...。わかってるつもりだったけど、妊娠したらがんばらなくちゃですね!」

リタさん 「これから赤ちゃんが欲しいなら、準備は妊娠前から始めておかないと。高齢出産ならなおさらですよ!妊娠・出産の心構え、解説しておきましょうね」

ライフスタイルの見直しは「子供が欲しい」と思った瞬間から

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妊娠すると、赤ちゃんに栄養を行き渡らせようと、母体に脂肪がつきやすくなる上、赤ちゃん自身の重さ、羊水や胎盤などの重さもあって、7~10kgほど体重が増加します。体が大きく変化するため、妊娠してから体力づくりをしようとしても、なかなか思うようにいかないのが悩みどころ...。

安定期に入ってからは適度な有酸素運動が推奨されますが、胎児への影響を考えると激しい運動は難しく、リフレッシュや体力維持の意味合いが強いです。特に、高齢妊婦は切迫早産などのために安静を強いられる可能性も高くなり、筋肉量も低下していきがちのため、出産時や産後に必要な筋力や体力を日頃から筋トレや運動でつけておくことが大切。運動習慣のある高齢妊婦と、そうではない妊婦では産後の回復度合いも変わってきますので、順調に育児をスタートさせるという意味でも重要です。

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また、日々の習慣として体に染みついている生活リズムや食事も、妊娠を機に急に変えるのは難しいものです。妊娠前から規則正しい生活と栄養バランスのとれた食事を心掛けておくと、高血圧や糖尿のリスクが大幅に軽減されますよ。

特に高齢出産は、妊娠中の母体の変化がリスクに直結する可能性が高い上、産後のダメージからの回復にも時間がかかります。妊娠を考えた瞬間から、出産・育児に適した体づくりに取り組むようにしたいですね!

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ライフスタイルの見直し、どこから始めればいい?

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妊娠中の太りすぎや疲労、ストレスといったリスクを減らし、出産時から産後の回復、育児に必要な体力をつけるには、以下の3つのポイントがあります。



1. 規則正しい生活リズム
2. 栄養のある食事
3. 適度な運動

規則正しい生活リズムは、自律神経やホルモンのバランスを整え、妊娠に適した健康な子宮と卵巣を作るのに欠かせません。質の良い睡眠は免疫力を高めるので、産後の回復力や育児に必要な気力・体力の基礎づくりにも役立ちますね。

バランスのとれた食生活と適度な運動も、体づくりの基本です。できるだけ好き嫌いをしないでさまざまな栄養素をとり、体を動かして基礎体力をつけましょう。不足しがちな葉酸をサプリメントで摂取するのもおすすめです。

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また、妊娠を希望したタイミングですぐにやめるべきなのは「喫煙」!たばこの煙は卵巣の機能を低下させたり、流産のリスクを上昇させたりするといわれているので、日常的にたばこを吸う方や、同居する喫煙者の旦那さんからの受動喫煙にも注意しましょうね。夫婦で禁煙です!

「赤ちゃんが欲しい」と思ったら、できるだけ早くライフスタイルを見直し、すこやかで楽しい妊娠期間と育児ライフを送りましょう!

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この記事を監修した人

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野村 愛(のむら あい)さん

周産期医療センター勤務後、離島で出産前の妊婦健診、産後のお母さんケアなどを担当。現在は、ミッドタウンクリニック名駅の看護師として活躍中。


※掲載している情報は、記事公開時点のものです。
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