更年期の女性がイライラしがちなのはなぜ?更年期症状の原因と解決法
更年期症状の代表として挙げられるイライラ。普段なら気にならないことまで気になってしまい、自分でコントロールできないほどイライラしてしまう...という声を多く聞きます。そんなとき、薬に頼る前に、自分で解決できる方法があったらいいですよね。
ここでは、更年期症状のイライラの原因と、その対処法をご紹介します。
[2021年1月13日更新]
更年期にイライラしがちな理由
女性の更年期は、一般的に45~55歳くらいまでの約10年間。中でも40代後半になると、さまざまな更年期症状が現れてきます。ほてりや大量の汗が出るホットフラッシュのほか、些細なことでイライラする、急に焦燥感に襲われるといった症状もそのひとつで、現れ方は人それぞれ。
こうしたメンタルの症状は、おもに次のような原因によって引き起こされると考えられます。
エストロゲンの減少
イライラの原因のひとつは、卵巣の機能が弱まることによるエストロゲンの減少。それによって、ホルモンバランスが崩れるだけでなく、エストロゲンを分泌するように指令を出す脳に対して卵巣がうまく対応できないため、自律神経が乱れてイライラが起こります。
セロトニンの減少
もうひとつのイライラの原因は、興奮や怒りなどの感情を抑えて精神のバランスを保つ役割を担い、「幸せホルモン」とも呼ばれるセロトニンが減少するため。実は、このセロトニンの生成にはエストロゲンが関わっているので、エストロゲンが減少するとセロトニンも少なくなり、イライラが起きやすくなってしまうのです。
生活環境や人間関係の変化
生活や人間関係の変化も原因として挙げられます。更年期を迎える世代は、子供が手を離れて母親としての仕事が減ったり、一方で仕事では管理職に昇進したりと、女性を取り巻く環境が大きく変わりやすい時期と重なる人が多くいます。
新しい人間関係や、親の介護といった環境要因がストレスとなって、イライラが引き起こされることもあるのです。
つらいイライラをセルフケアで抑える方法
イライラが起こったら、まずはイライラしている自分にイライラするのではなく、「こうした症状は誰にでも起こるもの」として受け入れることが大切です。それでもつらいときは、次のような対処法を試してみましょう。
1 エクオール含有サプリメントを飲む
大豆イソフラボンの一種であるダイゼインが、エクオール産生菌という腸内細菌によって代謝されて作られる「エクオール」は、女性ホルモンに似た働きをしてくれる成分。更年期の女性が悩みがちな、心身の症状の改善が期待できます。
エクオールを体内で産生できる人はごくわずか。産生できる人でも、一定の産生量を維持するのは難しいので、サプリメントでの摂取がおすすめです。
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2 朝日をしっかり浴びる
更年期に減少するセロトニンは、朝の太陽を浴びることで分泌が活性化するといわれています。また、朝日を浴びてセロトニンの分泌を促進させることは、しっかりとした良質な睡眠をとることにもつながります。早寝早起きを心掛けて、生活のリズムを整えましょう。
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3 効果的な栄養素を積極的にとる
イライラを感じたら、今一度自分の食生活を見直して、次のような栄養素を積極的に摂取することを心掛けましょう。
■ビタミンC
人は、ストレスを感じると体内のビタミンCを大量に消費するといわれています。
【おすすめの食物】
イチゴ、キウイ、ピーマン、菜の花、赤ピーマン、オレンジ
■カルシウム
カルシウムは、神経の興奮を抑える働きがあります。
【おすすめの食物】
牛乳、チーズ、干しエビ、水菜、モロヘイヤ、生揚げ、木綿豆腐、水菜、モロヘイヤ
■マグネシウム
マグネシウムにも、神経の興奮を抑える働きが期待できます。
【おすすめの食物】
大豆、納豆、わかめ、アーモンド、玄米ごはん
■パントテン酸
ビタミンB群の一種であるパントテン酸は、ストレスに対抗するのに欠かせないホルモンの合成に作用します。
【おすすめの食物】
レバー、鶏もも肉、納豆、アボカド
4 アロマやストレッチで心身をリラックスさせる
更年期世代の女性にとってストレスは大敵。どうしてもイライラするときは、お気に入りのアロマで気分を鎮めたり、ストレッチなど軽い運動で体を動かしたりしてリフレッシュを心掛けましょう。
5 漢方を飲んでみる
漢方は、病院に行っても病気とは判断されない、「未病」と呼ばれる症状に効果が期待できます。「なぜかイライラする」という更年期特有の症状にも向いているので、漢方薬局などで体質を診てもらった上で、一度試してみるといいでしょう。
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6 家族に相談、または、心理カウンセラーに相談する
イライラは、自己嫌悪につながりがち。イライラした自分を責めたり、くよくよしたりして悪循環に陥る前に、周囲に理解を求めましょう。最も身近でストレスのはけ口になりやすい家族には、体調がいいときに「実は最近、イライラしたり、落ち込んだりしやすい時期かも」と説明しておくと、気が楽になります。
また、家族など周囲の人たちに話しづらい場合は、心理カウンセラーに相談するのも手。悩みにしっかり耳を傾けて、気持ちを楽にする手助けをしてくれますよ。
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セルフケアをしてもつらいときは婦人科へ
セルフケアを試してもイライラの悩みが改善しない場合は、そのままにせず婦人科へ。婦人科では、不足した女性ホルモンのエストロゲンを補充する「HRT(ホルモン補充療法)」などの治療法で、症状の改善を図ることができます。
飲み薬だけでなく貼り薬、塗り薬もありますので、生活スタイルに合わせて医師と相談しましょう。
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監修者・メノポーズカウンセラーの三浦知代より
いわゆる「更年期」の時期にイライラすることは、女性なら誰にでも起こる可能性があります。あらかじめ原因と対処法を知っておくことで、必要以上に落ち込んだり焦ったりせずに対処することができるでしょう。「最近、なんとなくおかしいな」と思ったら、まずはセルフケアからスタートして、自分に合う方法を探してみてください。
【更年期治療を得意とするクリニック】
「レミ先生の診療日記」監修の吉形玲美医師も診療をおこなっているハマサイトクリニック。内科、婦人科などの外来診療から、定期健康診断・人間ドック、子宮がん検診、乳がん検診まで幅広い診療を展開中。特に女性のライフステージに合わせた健診メニューが充実。その世代の特徴を踏まえた検査治療、予防対策の相談が可能です。
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この記事を監修した人
三浦知代 (みうら ちよ)
管理栄養士/メノポーズカウンセラー
NPO法人 更年期と加齢のヘルスケア会員
産婦人科病院の栄養課で、病院給食業務を経て、入院する前の食生活や、栄養摂取の必要性に興味を持ち、サプリメントの企画・販促に携わる道へ。
現在は(株)アドバンスト・メディカル・ケアに在籍し、エクオールサプリメントの販促担当として、日々、更年期症状に悩む女性へ向けて情報発信を行っている。