今さら聞けない...子宮筋腫とはどういうもの?その検査方法もチェック
子宮にできる「子宮筋腫」は、成人女性に多く見られるという、頻度の高い疾患です。子宮がん検診で疑いがあるといわれたり、知り合いや友人に筋腫がある人がいたりと、身近な疾患として認識している人も多いでしょう。特に、30歳以上の20~30%は子宮筋腫を持っているといわれ、40代以降で増加する傾向があるようです。
今回は、子宮筋腫の有無を確かめる検査方法を中心に、医療系ライターのオリビアさんに解説してもらいました。
【PROFILE】
オリビアさん(44歳)
自身も妊活を経験して授かった1児を育てながら、今も現役で働く医療系ライター。さまざまな学会にも足を運び、ドクターと仲良くなるのが得意。産後に始めたヨガにハマり、最近のリフレッシュ方法はもっぱらヨガスタジオに通うこと。
成人女性なら誰でも持っている可能性がある「子宮筋腫」
産院時代のママ友たちと、定例の飲み会を開いたオリビアさん。テーブルを見渡すと、いつもなら率先して盛り上げてくれるマイさんが、なんだか浮かない表情で座っています。
オリビアさん 「珍しく元気がないのね。何かあった?」
マイさん 「実は、友人が子宮筋腫で手術をするの。40代以降は持っている人が多いからって私も検査をすすめられたんだけど、検査でどんなことをするのかわからないし、もし見つかったらと思うと不安で...」
オリビアさん 「大丈夫、子宮筋腫があるかどうか調べる検査は、思いのほか簡単よ。それに、見つかったからといって、即手術というわけじゃないわ」
マイさん 「そうなんだ!できれば、検査方法も含めて、子宮筋腫について詳しく知ってから病院に行きたいな」
オリビアさん 「子宮筋腫は、良性の腫瘍のことだから安心して。さっそく詳しく説明するね」
子宮筋腫はどういう病気?
子宮筋腫は、子宮の筋肉に発生する腫瘍、いわゆる「こぶ」で、とても発生頻度の高い良性腫瘍です。子宮筋腫の発生には女性ホルモンの分泌が大きく関わっているため、閉経前の女性ならあらゆる年代で発症する可能性がありますが、目立つのは30代から40代以降にかけてです。
閉経後は、女性ホルモンが分泌されなくなるにつれて筋腫が縮小しますので、筋腫があっても問題が顕在化することはほとんどありません。
子宮筋腫は、発生する場所によって次のように分類されます。
・漿膜下筋腫(しょうまくかきんしゅ)
漿膜下筋腫は子宮の最も外側にでき、症状が出にくいという特徴があります。筋腫が見つかったときにはかなり大きくなっていることもあります。中には、子宮から離れて細い茎につながる筋腫も。
・筋層内筋腫(きんそうないきんしゅ)
筋層内筋腫は、子宮の壁である平滑筋(へいかつきん)という筋層の中にできる筋腫で、比較的多いタイプといわれています。筋腫が大きくなるにしたがって、不正出血などの症状が出てきます。
・粘膜下筋腫(ねんまくかきんしゅ)
粘膜下筋腫は、子宮の内側の赤ちゃんが宿る部分にできる筋腫です。筋腫の大きさが小さくても激しい症状が出やすく、不妊症の原因にもなります。
・筋腫分娩(きんしゅぶんべん)
粘膜下筋腫の中でも、その筋腫が茎を作って子宮口から腟内に飛び出したものを筋腫分娩と呼びます。これは、月経の出血量が異常に多い過多月経になることが多いタイプです。
子宮筋腫の検査方法
子宮筋腫の診断は、婦人科で内診と超音波検査によって行います。
まず、内診で子宮および筋腫の大きさ、筋腫の可動性、痛みがあるかどうかなどを確認します。次に、腹部にゼリーを塗り、超音波を出すプローブと呼ばれる器具をあてて、筋腫の正確な位置や大きさ、数、状態などを細かく診ていきます。
超音波検査に痛みはなく、それほど時間もかかりません。筋腫が複数あったり石灰化していたりして確認しにくい場合や、大きさや場所、症状などから治療や手術が必要と考えられる場合のほか、悪性腫瘍と区別がつきにくい場合は、MRI検査を併用することもあります。
子宮筋腫が見つかったら
検査で子宮筋腫が見つかっても、筋腫そのものは良性の腫瘍ですので、これによって命に関わることはありません。そのため、小さくて症状がない場合は、経過観察になることがほとんどです。
しかし、筋腫のできる場所や大きさによっては、自覚症状が現れる場合が。生理の際に毎回大量に出血してひどい貧血になる、激しい痛みがあるというような、重い自覚症状によって日常生活に支障が出ている場合や、筋腫が大きくほかの臓器を圧迫している場合などは、薬物療法、または手術を行います。
手術には、子宮を全摘出する方法と、筋腫だけを取って子宮を温存する方法があり、いずれも一長一短があります。妊娠希望の有無などによって、医師とよく相談することが大切ですよ。
気を付けたい子宮筋腫の自覚症状
子宮筋腫の自覚症状としては、生理の出血量が多い過多月経、生理がダラダラと続く過長月経、激しい生理痛、不正出血などが代表的。症状が進むと、経血にレバーのような塊が混じるほか、出血量の増加に伴って貧血も見られるようになります。
また、筋腫が大きくなると、膀胱や腸といった子宮周辺の臓器が圧迫され、頻尿、便秘、排尿困難などの症状が現れることも。「いつもの月経と違う」「月経痛がひどくて仕事や家事ができない」と感じたら、一度婦人科を受診してみることをおすすめします。
自覚症状がなくても、一度は婦人科で検査を
子宮筋腫は、発生する場所によってはまったく症状が出ないこともあり、がん検診や妊娠をきっかけに初めて気付く人が多い病気です。小さいまま、無症状で経過すれば特に治療の必要はありませんが、急激に大きくなったり、外側から自分でふれてわかるほど大きかったりする場合は、子宮筋腫ではなく悪性腫瘍の可能性も否定できません。
何らかの自覚症状がある場合はもちろん、症状が一切ない場合も、一度は婦人科を受診して検査を受けておきましょう。子宮がん検診と同時に子宮筋腫の検査をすることもできますので、経過観察では年に一度の定期検診を欠かさないことが大切です。