誰にも言えない頻尿、尿もれ...更年期の尿トラブル
40歳以上の多くが、何かしらの尿トラブルを抱えているといわれています。ですが、尿に関しての悩みはデリケートであるがゆえに、恥ずかしくて誰にも相談できない...という人も少なくありません。
そこで、今回は医療ジャーナリストのダイアナさんが、女性に多い尿トラブルの原因と症状、改善策について教えてくれました。
【PROFILE】
更年期をテーマにした記事を多く手掛け、さまざまな女性の悩みにも耳を傾けてきた医療ジャーナリスト。趣味はジャズ鑑賞、乗馬。安らぎのひと時は、なじみのカフェでお茶をすること。
頻繁に感じる尿意...その原因は?
先日、友人のカホさんとウィンドウショッピングを楽しんでいたダイアナさん。気になったお店をのぞいていると、横でカホさんがなにやらソワソワし始めました。
ダイアナさん 「カホちゃん、どうしたの?」
カホさん 「ちょっとトイレに行きたくなって...」
ダイアナさん 「あら。ついさっきも行っていたわよね。どこか具合でも悪かったりする?」
カホさん 「実は、最近しょっちゅう尿意を感じるの。なるべく水分を控えるようにしてるんだけど、あまり効果がなくて...。くしゃみをするのも怖いくらいで...」
ダイアナさん 「そうだったのね。もしかしたら、それは更年期世代の女性が悩まされがちな尿トラブルかもしれないわ」
カホさん 「頻繁にトイレに行きたくなることも、更年期の症状なの?詳しく教えてほしい!」
女性にありがちな尿トラブルのタイプと原因とは?
自分の意思とは関係なく起こる尿トラブルには、大きく「尿失禁」と「頻尿」に分けられるの。
・尿失禁
尿失禁には、「腹圧性尿失禁」と「切迫性尿失禁」といったタイプがあるわ。
腹圧性尿失禁は、咳やくしゃみのほか、笑ったり、重い物を持ったりしたときなど、お腹に力が入った際に尿が漏れてしまうこと。切迫性尿失禁は、急に強い尿意をもよおし、トイレまで間に合わない状態のことよ。
・頻尿
一般的に、朝起きてから就寝まで8回以上の排尿がある場合に、頻尿と判断されるわ。ただ、個人差があるので、8回未満でも自分で回数が多いと感じたら、それも頻尿といえるわね。
それから、尿トラブルの原因として考えられるものとして、「過活動膀胱」や「骨盤臓器脱」があるのよ。
・過活動膀胱
過活動膀胱は、我慢できない尿意が急に起こったり、頻繁にトイレに行きたくなったりと、膀胱が過剰に活動してしまう病気のこと。切迫性尿失禁や頻尿の症状がある場合は、過活動膀胱の可能性があるわ。神経のトラブルが原因のものや、骨盤底筋群の緩みが原因になって起こる場合もあるの。
・骨盤臓器脱
女性特有の疾患として、子宮や膀胱、直腸などが骨盤から脱してしまい、それが尿トラブルを引き起こす骨盤臓器脱があるわ。骨盤底筋群と呼ばれる筋肉が緩んでくることで起きるといわれているの。
女性ホルモンの減少が尿トラブルの要因に
尿トラブルが起こる要因として、多くは骨盤底筋群が緩んでいることが挙げられるわ。骨盤底筋群には、膀胱や尿道、子宮など、骨盤の中にある臓器を支える働きがあるほか、排泄機能を司るという役割があるの。
そこが緩んでしまうのは、40代・50代になって筋力が弱まってきたことや、更年期に入って女性ホルモンの分泌量が減少し、コラーゲンが不足してくることなどがおもな原因ね。
コラーゲンは骨盤底筋群に含まれていて、弾力を作る働きがあるのね。女性ホルモンはコラーゲンを新しく作る細胞に働きかけ、活性化させる働きを持っているの。だから、女性ホルモンが減ると、コラーゲンが新しく作られにくくなって、骨盤底筋群から弾力も失われてしまう...というわけ。
こうして骨盤底筋群の緩みによって、下がった臓器が尿道を刺激し、尿トラブルを引き起こすのよ。
また、この年代は感染に対する抵抗力も若いころと比べて弱まるため、膀胱炎や腟炎にかかりやすくなり、それによる尿トラブルが起こることも考えられるわ。
自宅でできるトレーニングで尿もれ・頻尿を改善!
尿トラブルは多くの女性が抱えるものとはいえ、ひどくなると尿意を気にして旅行などの外出を控えるようになったりするなど、普段の行動が制限されてしまう場合もあるわ。
改善策としては、日常生活の中でできるものから病院での治療までさまざまな方法があるので、いくつか紹介するわね。
骨盤底筋群を鍛える
まず、セルフケアの代表的な対処法は、尿トラブルを引き起こす原因とされる骨盤底筋群を鍛えるトレーニング。緩んでしまった骨盤底筋群を鍛えることで臓器が下がるのを防ぎ、尿もれの改善につながるわよ。
以下の記事でいくつか紹介しているので、ぜひ試してみて!自宅で気軽にできるので、やりやすい運動を普段の生活に取り入れてほしいわ。
膀胱を鍛える
尿もれや頻尿を気にするあまり、それほど尿意を感じていないのにトイレに行く癖がついてしまうと、膀胱が小さくなったり、過敏になったりして、膀胱に溜められる尿の量が少なくなってしまうことも。それが、尿トラブルをますます悪化させる原因になることもあるの。そんなときは、膀胱そのものを鍛える「膀胱訓練」がおすすめよ。
訓練方法は、「尿意を我慢する」だけ。すぐにトイレに駆け込まず、1回だけトイレに行くことを我慢してみて。そして、トイレに行って座ったときは、尿が出ないように我慢してみるの。
最初は1分の我慢から始めてみてね。それから2分を目標にがんばることができたら、5分、10分、15分と少しずつ延ばしていきましょう。そのうち、トイレに行く前に我慢ができるようになると思うわ。
最終的に、トイレに行くまでに2~3時間、我慢できるようになればOKよ。
ただし、膀胱炎や間質性膀胱炎、過活動膀胱、膀胱結石などの尿路結石症といった、膀胱に関連する病気だった場合は、症状を悪化させるリスクがあるので要注意。膀胱訓練はせず、まず医師に相談しましょう。
自己判断はNG!気になることがあれば早めに医療機関へ
更年期世代の女性にとって、尿トラブルはとても当たり前のこと。だから、恥ずかしがったりすることはまったくないわ。
別の病気が原因で、脳と膀胱の情報伝達がうまくできていない場合や、ストレスなどメンタル的な問題で発症していることもあるので、自己判断は禁物よ!セルフケアで改善しないようなら、我慢せずに医療機関へ相談しましょう。
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