更年期に多い「過多月経」とは?女性ホルモンが引き起こす月経の変化

更年期になると、これまで周期的に来ていた月経に変化が現れ始めます。「出血量が多く夜用のナプキンでも間に合わない」「出血がダラダラ続く」といった症状に悩んでいる人も多いはず。これらは「過多月経」と呼ばれ、女性ホルモンの減少が原因で引き起こされると考えられています。
ここでは、過多月経のよくある症状や、その陰に潜んでいるかもしれない病気のほか、婦人科を受診するタイミングなどについてご紹介します。

女性ホルモンの減少によって月経の周期や出血量が変化する

日本人女性の平均閉経年齢は、約50歳といわれています。一般的に、閉経の前後5年の約10年間が更年期といわれ、そこにあたる40代半ばから50代半ばまでの時期は、体にさまざまな不調が現れます。

体の不調を引き起こす原因は、女性ホルモンの急激な減少。それによって排卵のリズムが乱れることから、月経の周期や出血量などに変化が見られるようになります。

更年期に起こりやすい月経の変化として、周期が短くなったり、反対に月経がない月が続いたり、月経が来ても出血量が少なくすぐに終わるといったことが挙げられます。出血量が増える過多月経も、よくある変化のひとつ

更年期になると、卵巣機能の衰えからホルモン分泌が不安定になり、月経時に子宮内膜がうまくはがれないことがあります。その結果、子宮内部に子宮内膜が滞留し、それが一気にはがれるときに過多月経が起こると考えられています。

ナプキンを頻繁に取り替えるなら過多月経かも!?

過多月経とは、1回の出血量が150ml以上ある状態を指します。しかし、実際にどのくらいの量の経血が出ているかは、なかなか把握しにくいもの。

目安のひとつは、ナプキンを取り替える頻度です。1時間もたないほどの出血量がある場合は、過多月経が疑われます。このほか、経血といっしょにレバーのような血のかたまりが出たり、月経が10日間以上続いたりする場合も、過多月経を疑ったほうがいいでしょう。

また、過多月経では出血量が多くなるため、鉄欠乏症貧血を伴う可能性があります。出血量だけでなく、めまいや立ちくらみ、疲れやすいといった症状の有無にも注意するようにしましょう。

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見逃さないで!過多月経の陰に病気が潜んでいる場合も...

更年期の月経の変化には、個人差があります。「これくらいなら大丈夫」と自己判断をしてしまうと、病気を見逃してしまう可能性も。

過多月経の陰に潜んでいる可能性のあるおもな病気としては、次のようなものが挙げられます。


子宮筋腫

子宮筋腫とは、子宮の筋肉にできる良性の腫瘍のこと。子宮の収縮機能に影響を及ぼし、厚くなった子宮内膜が月経時にはがれ落ちることから、出血量が増えたり、月経期間が長引いたりすることがあります。過多月経の症状のほか、腰痛や排尿異常などが起こることもあります。

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子宮腺筋症(しきゅうせんきんしょう)

子宮腺筋症とは、女性ホルモンの影響で、子宮内膜に似た組織(子宮内膜様組織)が子宮の壁(筋層内)にできる疾患です。子宮内膜様組織がはがれ落ちることなく溜まり続けた結果、子宮の壁が厚くなり、経血の量が増えて月経痛が重くなります

子宮腺筋症になると、月経痛に加えて排便痛や性交痛、月経以外での腹痛が生じることも。初期段階でのさまざまな治療を行っても症状が改善されない場合は、手術(おもに子宮の全摘出手術)が必要になることもあります。

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子宮内膜症

子宮内膜症は、子宮内膜やそれに似た組織が、本来あるべき子宮の内側以外の場所(腹膜や卵巣など)にできる疾患です。病巣にできた組織は、月経周期に合わせて増殖と剥離(はくり)を繰り返し、炎症や周囲との癒着を引き起こします。

それが原因で、月経痛のほか、腰痛や下腹部痛、排便痛、性交痛など、さまざまな痛みの症状が現れることも。子宮内膜症を放っておくと、子宮体がんに進行するおそれがあります。


子宮頸がん

子宮頸がんは、性交渉などにより、ヒトパピローマウイルス(HPV)に感染することで起こる病気です。初期段階ではほとんど自覚症状がありませんが、進行するにしたがって、性交後の出血、月経時以外の不正出血のほか、おりものの変化や増量といった症状が見られるようになります。出血量が多く、同じ症状を繰り返すのが特徴です。

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「過多月経かも?」と思ったら...婦人科を受診する目安

月経に変化が見られても、どのタイミングで婦人科に行けばいいか、判断に迷うこともあると思います。不安になったときは、下記を受診の目安にしてください。

<過多月経が疑われる場合の受診の目安>
・大量の出血がある
・レバーのような血液のかたまりがたくさん出る
・激しい月経痛
・月経が10日以上続く
・月経時以外にも出血がある
・頻尿や膀胱炎など排尿障害がある
・腹部にしこりのようなものがある

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できれば、出血しているときに診察を受けるのがいいでしょう。診察の際は、基礎体温(記録している場合)のほか、出血量が増え始めた時期、具体的な出血量、経血の状態、月経の周期を医師に伝えてください。

具体的な症状がなくても定期的な検査を心掛けて

過多月経の症状は、月経時に不快な思いをするだけでなく、貧血を併発するなど日常生活に悪影響を及ぼす可能性があります。この場合の貧血は、症状がゆっくり進行するため、人によっては貧血状態に慣れてしまい、体調の変化に気付かないことも...。

出血量に変化が見られるときはもちろん、「疲れやすい」「めまいがする」「息切れがする」など、気になる症状が現れたときは、すみやかに医師に相談するようにしましょう。


※掲載している情報は、記事公開時点のものです。
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