更年期と口臭の切ってもきれない関係。原因と対策は?
口臭は周囲から指摘されづらく、自分で気付かない限り改善が難しいもの。特に女性の場合、更年期を迎えるとホルモンバランスの変化によって口臭が強くなることもあるため、日頃から意識をしておきたいですよね。
そこで今回は、更年期と口臭の関係や、予防策などについてご紹介します。
更年期の口臭は女性ホルモンなどが関係している
更年期になると口臭が強くなるのは、主に女性ホルモン(エストロゲン)の減少に伴う、下記のような原因が考えられます。
唾液の減少
女性の場合、更年期にさしかかると女性ホルモンの分泌が急激に低下。それに合わせて、唾液の分泌量も低下します。
唾液には、細菌の繁殖を抑えたり、口内に残った食べ物を洗い流したりする働きがあるため、口の中の唾液量が減ることで汚れが溜まりやすく、細菌が繁殖しやすい環境を作り出してしまいます。こうしたことが歯周病菌を増殖させ、口臭の原因物質(揮発性硫黄化合物/きはつせいいおうかごうぶつ)の大量産生につながってしまうのです。
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免疫力の低下
同じく、女性ホルモンの減少によってホルモンバランスが乱れると、免疫力の低下も見られるようになります。免疫力が低下すると、口の中の免疫機能がうまく働きにくくなるため、口内に細菌を繁殖させる原因に。これが、口臭が強くなる元となるのです。
女性ホルモンの影響以外にも、病気が原因となっていることも...
女性ホルモンの減少以外に、口臭が強くなる原因には病気が関係している可能性も。
例えば、加齢によって胃腸の機能が低下し、腸内の毒素や有害物質が産生されることが口臭につながるほか、糖尿病や腎臓病によって、ドライマウスやむし歯、歯周病になりやすくなることが原因であることも考えられます。
さらに、更年期になると薬を常用している人も少なくありません。特に、睡眠薬や抗うつ薬は唾液の分泌を減少させる作用があるため、このような薬の服用が原因で口臭が強くなるケースもあります。
口臭のセルフチェック方法
人間の鼻はにおいに慣れやすく、自分の口臭の強さを自覚できない人は多くいます。一度、下記のような方法でまずはご自分の口臭がどれくらい強いのか、セルフチェックしてみましょう。
・ビニール袋に息を吐き出して、においをチェックする
・大きめのカップに息を吹き込んですぐに蓋をし、1~2呼吸置いてからカップの中のにおいをかぐ
・使用後の歯ブラシやデンタルフロスのにおいをチェックする
・舌の表面をティッシュやコットンで拭き、そのにおいをチェックする
なお、セルフチェックはあくまでも目安。歯科クリニックでは、唾液検査で口臭の原因となる口腔清潔度や歯の健康度を診断してもらえるため、気になる場合は医療機関の受診をおすすめします。
日常生活の中でできる7つの口臭予防策
ここからは、すぐに実践できる口臭の予防策を、7つご紹介します。
1 唾液の分泌を促すマッサージをする
口臭予防にもつながるため、唾液の分泌を促すマッサージを実践してみましょう。
口の周辺にある「耳下腺(じかせん)」「顎下腺(がっかせん)」「舌下腺(ぜっかせん)」という3つの唾液腺を皮膚の上から刺激することで、唾液の分泌が促進されます。
■3つの唾液腺の位置
この唾液腺を刺激するマッサージ方法は、下記の記事で詳しくご紹介していますので、ぜひご覧ください。
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2 寝る前にマウスウォッシュをする
睡眠中は唾液の分泌量が少なくなり、寝起きに不快に思うことが多い口内のネバネバや口臭が発生するのです。それを防ぐために、寝る前にマウスウォッシュを使いましょう。
殺菌成分入りのマウスウォッシュなら、睡眠中の細菌増殖を抑えられます。
3 朝食を抜かない
睡眠中に不足した唾液は、朝食をとることで分泌が促され、細菌の繁殖が抑えられることで口臭を予防します。
また、よく噛んで食べることも重要。咀嚼(そしゃく)は唾液分泌を促し、口臭の原因となる舌苔(ぜったい)の蓄積も防ぎます。玄米や根菜類など、噛み応えのあるものを積極的に食べることもおすすめです。
空腹の時間が長く続き、消化器官がしっかり働かないことも口臭につながります。朝もきちんと食べて、内臓を動かしていきましょう。
4 歯間ブラシやデンタルフロス、舌磨き用ブラシを使う
40代以降は歯周病のリスクが高くなり、歯磨き時の出血や歯肉の炎症なども引き起こしやすくなります。歯周病は歯と歯肉の隙間に溜まる歯垢(プラーク)が原因となるため、歯間ブラシやデンタルフロスを使って丁寧に歯垢を取り除くようにしましょう。
また、舌磨き用ブラシを併用するのも◎。舌には食べ残しやはがれた粘膜などが溜まりやすく、これらも口臭の原因になるため、舌磨きも習慣にすることをおすすめします。
5 こまめに水分をとる
こまめに水分補給をして、口の中が乾燥しないようにしましょう。糖分を含む飲み物はむし歯の原因になるため、水やお茶を中心に飲むようにしてください。
なお、唾液の分泌を促すために、ガムを噛むのもおすすめです。
6 ストレスや疲労を溜め込まない
ストレスや疲労などによって心身の緊張状態が続くことでも唾液の分泌量が減り、口の中が渇きやすくなります。毎日十分な睡眠やリラックスできる時間を確保して、自身の心と体をリフレッシュするよう心掛けましょう。
7 定期的に歯科検診を受ける
3ヵ月~半年に1回程度は歯科クリニックを受診して、検診や歯のクリーニングを受けることが推奨されています。毎日しっかり歯磨きをしていても付いてしまう歯石の除去などを歯科クリニックで行ってもらうことで、口臭の原因を取り除くことができる上、歯周病の予防や早期発見にもつながるでしょう。
更年期の口臭対策はエチケット
口臭は自分では気付きにくいものですが、周囲から指摘されづらいものだからこそ、エチケットとして意識したいところ。
特に、更年期の女性の場合は、女性ホルモンの減少によって口臭につながるケースも多くなります。そのため、定期的な歯科クリニックへの受診をはじめ、今回ご紹介した予防策を日々の生活に取り入れるようにしましょう。
この記事を監修したのは...
大西孝宣(おおにし たかのり)歯科医師
東京ミッドタウンデンタルクリニック 副院長
<東京ミッドタウンデンタルクリニック>
大江戸線「六本木駅」直結の歯科「東京ミッドタウンデンタルクリニック」。
むし歯、歯周病などの一般歯科診療から、矯正、インプラント、麻酔、口腔外科など、国内外で専門技術を磨いた医師が、患者様お一人おひとりにあった施術を提供しています。
治療は半個室、個室で対応。患者様が快適に過ごせる空間を創り上げ、リラックスできる環境で治療を受けていただくよう取り組んでいます。