疲れやすい、下半身の冷え改善に...エビの効能とおすすめプラス食材

「すぐに疲れる」「朝からなんとなく体がだるく、重い」「手足や腰が冷える」「上半身はほてるのに足は冷たい」といった、更年期女性の多くが悩まされる不定愁訴。こうした症状は、体に合った漢方薬などを取り入れるほか、体調や状態に合った食事をとることでも解消できます。

さまざまな食材の中でも、「長いも」「エビ」「セロリ」は、特に更年期症状におすすめの食材ベスト3といっても過言ではありません。
前回の長いも編に続き、今回はエビの効能、それと組み合わせることでさらに効果を発揮する食材について、漢方・薬膳の専門家である杏仁美友さんに聞きました。

<更年期症状の改善におすすめの食材記事>
続くだるさや疲れ、乾燥の改善に...長いもの効能とおすすめプラス食材

エビにはどんな効果がある?

低カロリー・高たんぱくな食材として知られるエビは、薬膳では「温性」の食材とされ、体を温めて冷えをとり、腎の働きや気力をアップさせる食材です。

エビの働きをまとめると、次の2つの特長があります。


加齢による冷えを緩和する

漢方の考え方によれば、体は「肝・心・脾・肺・腎」の五臓がほかの内臓や器官、組織の司令塔となっていて、それぞれが本来の内臓器官以上の働きをしています。

■五臓とそれぞれが司る役割

syusei-min.jpg

<五臓の詳しい解説はこちら>
更年期世代の心身のバランスはどう測る?漢方ならではの考え方

その中でも「腎」は、生殖、成長、発育、老化の4つと深く関係があり、年齢とともに衰える機能。更年期のさまざまな不調の根本的な原因ともいわれます。

エビは、この腎の働きを補う作用(補腎)が強く、温める力があるので、特に更年期で起こる冷えの改善に役立ちます。積極的にとるといいでしょう。


スタミナアップ

腎は、体力や生命力を表す「精」を蓄える場所でもあります。風邪や疲労で体力が落ちると、「精のつくものを食べなさい」とよくいわれますが、補腎の作用があるエビはまさにそうした食材だといえるでしょう。スタミナをアップさせ、バテない体を作ります。

pixta_26698482_M-min.jpg

エビは、更年期のどんな症状に効く?

更年期症状の改善に効果が期待できるというエビ。具体的には、どんな症状の人におすすめなのでしょうか。

・疲れやすい、集中力が続かない
肉体的・精神的な持久力がなく、すぐに疲れてしまう。集中力が低下するのが早い。

・下半身(腰から下)が冷える、下半身がだるい
上半身はそうでもないのに、下半身はいつも冷えている。下半身の冷えが強く、いつも重だるい。腰の痛み、だるさ、冷え。

・食欲がない
冷えによる胃腸の不調、またそれに伴う食欲不振。

【気になる更年期症状別】エビと組み合わせたい食材は?

エビそのものを食べることでもさまざまな更年期症状の改善が期待できますが、ほかの食材も組み合わせることで、さらに多くの更年期症状に効果を発揮します。

ここからは、更年期症状別にエビと組み合わせてとっていただきたい食材を紹介しましょう。


足腰が冷える人に「エビ+ニラ」

pixta_80796112_M-min.jpg pixta_41364209_M-min.jpg

ニラは、体を温めて血流を良くしてくれる食材。エビと似た働きがあるので、この2つを合わせてとることでより効果が高まるでしょう。

<おすすめメニュー>
・エビとニラの炒め物...エビにニラをプラスして炒め、塩こしょうなどお好みの味に整えます。ニラのほかにも、腎機能を高めて下半身のだるさや無力感をやわらげるクルミを合わせるのもおすすめ。


スタミナ不足を感じる人に「エビ+卵」

pixta_80796112_M-min.jpg pixta_74563812_M-min.jpg

不足する体液や血液を補って体を潤し、生命エネルギーを高める働きがある卵は、栄養価が非常に高く、虚弱体質を改善する力があります。エビといっしょに食べると、「疲れやすい」「だるい」など、スタミナ不足による症状に◎。

<おすすめメニュー>
・エビチリ卵...一般的なエビチリに炒り卵を加えます。
・茶碗蒸し...卵をたっぷり使った茶碗蒸しの具材として、しいたけ、かまぼこ、銀杏にエビをプラス。


冷え、だるさ、消化不良、食欲不振に「干しエビ+干ししいたけ」

pixta_46724612_M-min.jpg pixta_2762782_M-min.jpg

干したエビも、生と変わらず体を温める「温性」の性質を持っています。そして、干ししいたけは、体を温めも冷やしもしない「平性」の性質で、元気を補う食材。特に胃の働きを改善するので、消化不良や食欲不振に有効です。

<おすすめメニュー>
・干しエビと干ししいたけの炊き込みご飯...戻した干しエビと干ししいたけを細かく刻み、ご飯といっしょに炊き込みます。戻し汁を使うと、乾物独特の旨みがしみ込んで、より味わい深いご飯に。

生のエビより手軽な干しエビも活用しよう

殻をむいたり、背ワタを取ったりするのが面倒で、ついエビを敬遠してしまう人も多いのではないでしょうか。時間がないときは、干しエビでも同様の効果が得られます。炒め物やご飯にさっと振りかけるだけで味わいが増すので、ぜひ活用してください。
ただ、人によってはエビで強いアレルギー反応が出る場合もあるので、アレルギー体質の場合は注意してくださいね。


お話を伺ったのは...

_MG_4857.jpg

杏仁美友(きょうにん・みゆ)さん

一般社団法人薬膳コンシェルジュ協会代表理事、国際中医師、中医薬膳師、漢方&薬膳アドバイザー。

漢方薬や薬膳で自身の体調不良を改善したことをきっかけに、漢方や薬膳の世界に興味を持ち始める。2011年に薬膳コンシェルジュ協会を設立して、薬膳や薬膳茶の資格講座の運営を行うほか、テレビや雑誌などの取材、レストランのメニュー監修、総合情報サイト「All About」の漢方・薬膳料理ガイド、薬膳サプリの商品開発、講演会なども精力的にこなしている。

マンガでわかるおうちで簡単! 薬膳・漢方」(池田書店)をはじめ、薬膳にまつわる著書も多数執筆。最新著書は「まいにちの食で体調を整える! プレ更年期の漢方」(つちや書店)。

更年期の漢方_書影.jpg

まいにちの食で体調を整える! プレ更年期の漢方」(つちや書店)
著:杏仁美友 定価:1,400円(+税)




※掲載している情報は、記事公開時点のものです。
ヘルスケア
この記事をシェアする

この記事は、働く女性の医療メディア
ILACY(アイラシイ)の提供です。

“おすすめ記事recommended

CATEGORYカテゴリー