アルコールが女性の美容にもたらす影響を徹底解説【後編(全2回)】

お酒を飲むと、肌トラブルや髪のうるおい不足などが気になりませんか? 実を言うとアルコールは、健康だけではなく、美容にも影響を及ぼすとされています。

お酒を飲むと、肌トラブルや髪のうるおい不足などが気になりませんか? 実を言うとアルコールは、健康だけではなく、美容にも影響を及ぼすとされています。

そこで今回は、アルコールが肌や髪に与える影響を、お酒をたしなむ女性に覚えていただきたいストレス解消法とともにお伝えします。

前編の記事はこちらからご覧ください。
アルコールが女性の健康にもたらす影響を徹底解説【前編(全2回)】

美しさを保つにはアルコールを控えるべき?

褒められる肌や髪を保つためには、お酒と上手に付き合いましょう。

お酒を楽しんだ次の日に、「なんだかいつもより化粧ノリが良くないな」「疲れて見えるかも」と感じたことはありませんか? アルコールは頭痛や腹痛などの身体の不調のほか、こうした鏡に映ったご自身の姿を見たときに気がつくような変化を引き起こす可能性があります。


アルコールが美容面に影響を与えるのはなぜ?

アルコールが美容の大敵となりうるのは、飲酒によって体内のビタミンB1が不足してしまうためです。

ビタミンB1は、アルコールを分解する際だけではなく、皮膚を健やかに保ったりきらめく肌や髪へと導いたりする際にも欠かせません。飲酒量が増えれば、アルコールの分解にビタミンB1が使われるため、肌や髪には何かしらのトラブルが生じる可能性もあります。

またお酒をたしなむときのおつまみも肌や髪の美しさが損なわれる原因の一つです。

生ハムやチーズ、唐揚げなど塩気のある食べ物は、お酒と相性抜群ですから、おつまみにはうってつけです。しかし飲酒時にこうした塩辛い料理ばかりを食べていると、栄養バランスが乱れてしまいます

栄養が偏った食事は肌トラブルや髪のパサつきを引き起こすおそれがあるため、飲酒が美容面に与えるデメリットは大きいと考えられます。

更年期の女性がお酒を飲むと、美容に関する悩みは増えるのか

更年期を迎えた女性がアルコールを摂取した場合、肌や髪に関する悩みを抱えることが増えるかもしれません。更年期に差し掛かると、肌のうるおいや髪のツヤが失われることがあるためです。女性ホルモンであるエストロゲンの分泌量の減少により、こうした美容面に影響する変化が起きます。

そして先ほどお伝えしたように、アルコールをとりすぎるとビタミンB1が失われ、肌や髪を健やかに保てなくなります。そこに更年期ならではの肌や髪の悩みが加わることとなりますから、さらにトラブルが目立つ可能性があるわけです。

更年期の"今"を楽しみ、"今"の自分を好きでいられるよう美容にもこだわりたいのであれば、アルコールの摂取はなるべく控えておきたいところです。

アルコールを控えることでみられる美しさの変化

ここでは、減酒がもたらす肌や髪の変化をお伝えします。なお、お酒を飲まなければ、状態が劇的によくなるわけではないと心に留めておいていただけると、幸いです。

お酒を控えると、ビタミンB1のはたらきによって思わず触りたくなる肌へと導く変化を得られるかもしれません。体内にアルコールがなく、分解する必要もなければ、ビタミンB1が肌に作用する可能性が高まるためです。

さらにアルコールを摂取する頻度を減らしたうえで、食生活も改善すると、体内の栄養バランスの乱れを防止できるはずです。それにより栄養が頭皮にまで行き届き、若々しく美しい髪を育めるといえます。

肌や髪にみられる年齢サインに悩まれるときは、お酒との付き合い方を見直していくのが望ましいです。

美容を意識するなら押さえておきたい、おつまみの選び方

しっかりした味付けの料理はお酒のおいしさを倍増させますが、肌や髪の美しさを守りたいのであれば、とりすぎないのがベターです。

アルコールを摂取するときのおつまみには、飲酒によって吸収が妨げられたビタミンを補填できるサラダをおすすめします。ビタミンは、アルコールの分解や美しい皮膚や髪の保持にも欠かせませんから、お酒を飲んでいるときこそ野菜を摂取するべきです。

野菜が苦手な方は、ビタミンB群やビタミンCが含まれているサプリメントで栄養を補うのも有効です。

ストレスを解消するためにお酒を飲むことの問題点

肌や髪を健やかに保つためにも、ストレスは適度に解消したいところです。ストレスを発散する手段としてお酒を飲む方もいらっしゃるかもしれませんが、先述のように美容面や健康面でさまざまな問題が生じるため、あまりおすすめできません。

では気分が晴れないときにお酒を飲むと、具体的にはどのような問題が起こるのでしょうか。


アルコールへの依存

むしゃくしゃしたときにお酒を飲むことが習慣化されると、アルコールに依存してしまうかもしれません。

たしかにアルコールには、気持ちを落ち着ける効果があるため、ストレスを解消する手段となりえます。しかし、こうした効果を得たいからといって毎日お酒を飲むと、身体がアルコールに慣れて耐性がつき、以前と同じ飲酒量では物足りなさを感じるようになってしまいます。そうしてリラックス効果を求め、お酒をどんどん欲するようになるがゆえアルコールに依存するのです。

飲酒量のコントロールが難しくなると、ご家族や友人など周囲の方々を傷つけるようなトラブルを引き起こしかねません。そうした出来事が積み重なって周囲の方々からの信用を失うと、さらにストレスが溜まり、ますますアルコールの沼から抜け出せなくなるという悪循環に陥るとも考えられます。

このように「安らぎを得たい」という目的でアルコールの摂取を繰り返した場合は、ストレスを感じていないときでもお酒を手放せなくなり、肌や髪の美しさも失われるようになってしまいます。


メンタルの不調

心が疲れているときは些細なことでイライラしたり、普段なら耐えられることで泣いてしまったりと、情緒不安定な状態になりがちです。このようなメンタルの不調が起きているときにお酒を飲むと、症状が悪化することがあります。というのも、アルコールはうつ病や摂食障害などの精神疾患を引き起こす材料となるためです

さらに「ストレスを解消したい」とアルコールを摂取することで、自殺の危険性が高まるおそれもあります。酔いが回って意識がはっきりせず、落ち着いた判断ができなくなることがトリガーとなります。

このように取り返しのつかない事態を招きかねませんので、気分が落ち込んでいるときの飲酒は控えるのが望ましいです。


睡眠への影響

「なかなか眠れない」「スッキリと目が覚めない」など、睡眠への影響が生じるのも飲酒で起こりうる問題の一つです。

本来、アルコールには眠気を誘って寝つきを良くする効果があり、睡眠導入剤の代わりにアルコールを摂取する方もいらっしゃいます。

しかし、こうした入眠効果を得られる反面、お酒を飲んだからこそ眠れなくなる可能性もあります。一説によると、飲酒により睡眠に影響が及ぼされるのは、アルコールの"利尿作用"が関係しているとされています。夜中にトイレに行きたくなって何度も目が覚めるため、良質な睡眠がとれなくなるわけです。また、寝つきがよくなっても、睡眠の後半に眠りが浅くなって起きてしまう中途覚醒がおきやすくなることも知られています。

睡眠不足によって肌トラブルが起きたり髪の毛の健康が損なわれたりすると、美容を楽しめなくなることもあります。充実した毎日を送るためにも、お酒を控えてしっかりと睡眠をとりたいところです。


体重の増加

ストレスを解消するためにお酒を飲むと、太ってしまうかもしれません。というのも、アルコールは食欲を増進させるためです。消化酵素の分泌量を増やしたり、胃の血流や動きを良くしたりと、消化を手助けするはたらきにより、お酒を飲む手や食事を楽しむ手が止まらなくなってしまいます。

またストレスが溜まっているときは、やけ食いをして、うっぷんを晴らしている方もいらっしゃるのではないでしょうか。ストレスを抱えているときにお酒を飲むと、ひたすらに食べてしまうリスクが高まることから、ふくよかな体型になりえます。

特に女性の場合は、日頃からボディメイクをしている方もいらっしゃるかもしれません。理想のボディラインを手に入れるための努力を無駄にしないよう、飲酒でのストレス解消は控えるのが賢明です。

お酒をたしなむ女性が覚えておきたいストレス解消法

美容や健康のためにもストレスは発散したいものですが、その手段が"お酒だけ"となるのは避けたいところです。しかし「飲酒以外のストレス解消法がわからない」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

ここからは、お酒をたしなむ女性に覚えていただきたいストレス解消法をお伝えしていきます。お酒は"気持ちが落ち着かないときに口にするもの"ではないことを心に留めて、次に紹介する方法を一度試してみてはいかがでしょうか。


適度に身体を動かす

楽しみながらストレスを解消したいのであれば、身体を動かすのがおすすめです。ピラティスやヨガ、ダンスなど、ご自身が無理なく続けられる運動だとなおよいでしょう。

身体を動かすと、モヤモヤした心が晴れわたり気持ちも落ち着きます。全身の血の巡りが良くなるうえに、睡眠の質も高められるため、肌や髪のつやめきもアップするはずです。

なお、ストレス解消のために身体を動かす際は、頑張りすぎないのが理想的です。一度に頑張りすぎると、かえってストレスが溜まってしまうかもしれません。ですから「スッキリできた!」と感じる程度を目安に取り組むのがポイントです。


趣味を楽しむ

ストレスを解消するには、趣味を見つけて思いきり楽しむのも有効です。旅行に行ったり映画を観たりと、ご自身の好きなことや興味のあることに没頭すれば、気持ちも落ち着くはずです。ご自身の視野を広げる意味でも、複数の趣味をもっておくとより良いかもしれません。

なお、趣味はできる限り"仕事を忘れられるもの"がベターです。直接的ではなくとも、仕事と共通点のある趣味では気が休まらない可能性がありますから、ご自身が心から「楽しい!」と思える趣味を見つけることが大切です。


他者と話をする

ご自身の気持ちや抱えている悩みを誰かに打ち明けるのも、ストレスを解消する手段の一つです。

ご家族や友人、心理カウンセラーなどに心の内にある想いを言葉にして、それを聞いてもらうだけでも気持ちが軽くなりえます。

年齢を重ねると、周囲の方との交流が減って気軽に話せる相手が少なくなるかもしれません。新しい友人を作るのも難しくなりますから、ご自身で一歩を踏み出すことも大切です。たとえば、同じ悩みを抱えた仲間が集まる自助グループや、趣味のサークルなどに参加し、さまざまな方と会話をすれば、解決への糸口を見つけられる可能性があります。

アルコールは女性の肌や髪のうるおいを奪う可能性がある

今回は、アルコールが女性の肌や髪などの美容にどのような影響を与えるのかをお伝えしました。

お酒を飲むと体内のビタミンB1が失われるため、肌のうるおいが減ったり髪がパサついたりするかもしれません。特に更年期の女性は、飲酒によってさらに状態が悪化する可能性もあります。

また、美容の大敵ともなるストレスを解消するためにアルコールを摂取することがあるかもしれませんが、その手段が"お酒だけ"とならないよう注意したいところです。

年齢を感じさせない美しさを目指して、飲酒習慣を見直したり、ストレスと上手に付き合う方法を見つけてみてはいかがでしょうか。



SUPERVISERこの記事を監修した人

profile
赤城 一郎(あかぎ いちろう)医師

赤城 一郎(あかぎ いちろう)医師

医学博士
専門分野:消化器科

東京ミッドタウンクリニックに勤務。2001年日本医科大学卒業。日本医科大学付属病院消化器外科にて勤務開始。2009年に日本医科大学臓器病態制御外科学大学院を修了し、医学博士号を取得後、渡米。2010年 米国国立癌研究所(US National Cancer Institute/ NIH)にて勤務。2015年 日本医科大学多摩永山病院外科医局長を経て現在に至る。日本外科学会指導医・専門医・認定医。日本肝臓学会指導医・専門医。日本消化器病学会指導医・専門医など。

※掲載している情報は、記事公開時点のものです。
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