誰にも言えないフェムゾーンの悩み...今日からできる対処法
他人にはなかなか相談しにくいフェムゾーンの悩み。においやかゆみが気になっても、誰にも打ち明けられずに一人で悩んでいる人が多いのではないでしょうか。
ILACYでは、女性がフェムゾーンと上手に付き合うための知識を2回にわたってお届けします。後編のテーマは、フェムゾーンのよくある悩みとその対処法。
日本初のフェムゾーン専門美容サロン「ピュビケアサロン白金台」のオーナーであり、婦人科系疾患や予防性教育などの問題に取り組むピュビケアジャーナリストとしても活躍中の得田由美子さんに、お話を伺いました。
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フェムゾーンについて話そう。プロに聞くフェムゾーンのしくみと特徴
フェムゾーンに多い悩みは「におい」「かゆみ」「むれ」
――フェムゾーンの悩みは人によってさまざまだと思いますが、サロンにいらっしゃる方はどのような悩みを持たれている印象ですか?
お客様からよく聞くお悩みは「におい」「かゆみ」「むれ」の3つです。とはいえ、その質は年代によって少しずつ違ってきます。
――今回は、ILACYの読者世代である「30代後半から50代」の傾向をお伺いできればと思います。まずは、においの原因について教えてください。
前回お話ししたとおり、フェムゾーンは小陰唇(しょういんしん)と大陰唇(だいいんしん)がひだ状になっていて、とても複雑な形状をしています。そのため、洗いにくく、「恥垢(ちこう)」が溜まりやすい場所でもあります。
――恥垢とは何でしょうか?
へそのごまのように、小陰唇や大陰唇のひだの奥に溜まる垢で、サロンにいらっしゃるお客様も、初回の施術時はほとんどの方に恥垢があります。この恥垢が、においの元になるんです。
――「かゆみ」や「むれ」の原因について教えてください。
かゆみの原因で多いのは、潤い不足です。体のほかの部分と同じく、フェムゾーンも乾燥した部分がかゆくなります。肌が乾燥すると、表面がガサガサになりますよね。そこに雑菌が繁殖することで、においの発生につながることもあります。
フェムゾーンのむれは、アンダーヘアに汗がつき、湿気がこもることで起こります。ショーツの中がむれると雑菌が繁殖しやすくなり、やはりにおいの発生につながってしまいますね。
フェムゾーンも保湿が必要!
――においやかゆみ、むれといったフェムゾーンの悩みを改善するにはどうすればいいですか?
専用洗浄料やお湯だけでやさしく洗うなどしてフェムゾーンを清潔に保っていただくことはもちろん、肌の乾燥を避けるために、保湿をすることも大切です。保湿剤は、クリームでもオイルでも構いませんが、なるべくシンプルな成分配合の物を選ぶといいですね。
クリームやオイルを手に取ったら、小陰唇や臀部にかけてしっかり塗るようにしてください。血液循環が滞ることで乾燥が引き起こされることもあるので、保湿の際に、マッサージをいっしょにすることをおすすめします。
――どのようにマッサージすればいいでしょうか?
小陰唇をつまんだり、ツボ押しのように会陰(えいん)を押したり、鼠径(そけい)部を内側から外側に流したりしてください。そうすることで、肌の状態が良くなるのに加え、腟内の乾燥もある程度改善されます。それでも乾燥によるにおいやかゆみが気になる場合は、一度、医療機関で相談してみましょう。
――最近では、フェムゾーン専用ソープなどもよく見かけますが、一般的な石鹸と何が違うのでしょう?
フェムゾーンの肌は、腕やおなかなどとはpH値(※)が異なり、雑菌を入れないために酸性が強くなっています。ところが、一般的な石鹸はアルカリ性寄りのことが多いんです。そういった石鹸で洗うと、一時的にフェムゾーンのpH値が中性に傾き、自浄作用が落ちてしまいます。それを防ぐ意味でも、pH値がフェムゾーン用に調整された専用ソープをお使いいただくほうがいいと思います。
※水溶液の性質(酸性・アルカリ性)の程度をあらわす単位。0~14までの数値で表し、中央値のpH7を中性、7より低いほうを酸性、高いほうをアルカリ性と区分する。
アンダーヘアをケアすることでトラブルを防ぐ
――におい、かゆみ、むれのほかに、お客様からよく聞く悩みはありますか?
「尿もれ」も、比較的多いお悩みのひとつですね。尿もれの症状自体もそうですが、酸化した尿が付着したままだと肌が劣化し、それによって強いかゆみが引き起こされることがあります。そのため、尿もれしたときはすぐに水分を拭き取ることが大切です。
――尿もれだけでなく、普段の排尿時も気を付けたほうがいいですね。
そうですね。特に洋式トイレの場合は、それほど足を開かずに用を足すので、フェムゾーンに尿がつきやすいんです。フェムゾーンのトラブルには、そういったトイレ事情も関係しています。
また、ドライのトイレットペーパーは水分を拭き取るのには適していますが、アンダーヘアについた汚れまでは取り切れません。なので、水分はドライのトイレットペーパー、アンダーヘアの汚れはウェットシートで取り除くのが理想です。
とはいえ、トイレに行くたびに、トイレットペーパーとウェットシートで拭くのはたいへんですよね。そういう面から考えても、アンダーヘアを放置せずにきれいに整えておきたいところです。アンダーヘアをケアしておけば、フェムゾーンの汚れが取りやすく、トラブルが起きにくい状態に保てます。
――ありがとうございます。2回にわたってフェムゾーンについて伺ってきましたが、フェムゾーンがどんな状態だと、すこやかといえるでしょうか?
いろいろな考え方があると思いますが、かゆい、痛い、何か嫌な感じがする...といった不定愁訴がないことが理想ですね。フェムゾーンはストレスに弱く、当サロンでも、毎年5月から6月くらいにかけてフェムゾーンのかゆみを訴える患者さんが増えます。これは、新年度で環境が変わり、ストレスを強く受けることが原因と考えられます。
無理をして不調を引き起こさないためにも、普段からフェムゾーンを気にかけ、体と心のコンディショニングをしていただきたいですね。
お話を伺ったのは...
得田由美子(とくだ・ゆみこ)さん
ピュビケアサロン白金台オーナー。
2008年に日本で初めてのフェムゾーン専門お手入れサロンを設立。オーガニックにこだわったフェムゾーン用スキンケアブランド「ピュビケア オーガニック」のプロデュースも行っている。婦人科系疾患や予防性教育などの問題にも取り組む、ピュビケアジャーナリストとしても活躍中。
ピュビケアサロン白金台 ーアンダーヘア専門ブラジリアンワックス脱毛サロン