カルシウムだけじゃない!「しらす」のうれしい効果とは?
カルシウムが豊富なことで知られる「しらす」。骨粗しょう症のリスクが高まる更年期世代以降の人にうってつけの食材ですが、実はカルシウム以外にも女性にとって注目すべき栄養成分や効果があるそうです。
そこで、株式会社アドバンスト・メディカル・ケアの管理栄養士・山田が、しらすが40代以降の女性におすすめの理由をご紹介。さらに、しらすを使ったおすすめ&簡単レシピを、フードコーディネーターの清水加奈子さんに教えていただきます。
更年期以降の世代に不可欠なカルシウムとビタミンDが豊富
しらすは、おもにカタクチイワシのほか、マイワシやウルメイワシといった魚の稚魚のこと。骨まで丸ごと食べられることから、カルシウムが豊富な食材として成長期の子供におすすめといわれています。
しかし、カルシウムは年齢を重ねた人にとっても欠かせない栄養素なのです。
「女性の場合、加齢によって女性ホルモンが減少することで、どうしても骨粗しょう症のリスクが高まります。そこで重要なのが、カルシウムをどう摂取していくかなのですが、牛乳などの乳製品はカルシウムだけでなく動物性脂肪も多いため、とりすぎるとコレステロール値が上がってしまう可能性もあります。
それに対し、しらすは動物性脂肪が少ないんです。さらに、小皿1杯分(約100g)で1日に必要なカルシウムをとることができるので、ILACY(アイラシイ)世代の女性にはとってもおすすめの食材なんですよ」
<こちらもCHECK>
「骨粗しょう症」対策は40代から!老け顔の原因は「骨」にアリ?
また、カルシウムの吸収にはビタミンDをいっしょにとる必要がありますが、しらすにはビタミンDも豊富に含まれています。
「ビタミンDにはカルシウムの吸収を良くする働きがあります。このように、相性のいい成分がしっかり入っているのが、しらすのいいところです」
さらにビタミンDは、別の面でも近年注目を集めている成分なのだそう。
「最近の研究で、ビタミンDには免疫力を上げる効果があることがわかってきました。そのため、風邪やインフルエンザ、さらにはがん予防にも良いといわれています。
現代人は、ビタミンDが不足している傾向がありますので、意識して摂取することが必要。そんなときに、手軽に食べられるしらすはおすすめですね」
肌や血管にいい成分も
ILACY(アイラシイ)世代の女性にしらすを食べてもらいたい理由は、カルシウムとビタミンDだけではありません。しらすに含まれるビタミンB12やエラスチンも、女性に起こりやすい不調を改善する効果が期待できるといいます。
それぞれの成分が持つ働きについて教えていただきました。
ビタミンB12...貧血予防、神経系の不調に◎
「ビタミンB12は血液の材料となって貧血を予防するほか、末梢神経を修復する作用があります。末梢神経は体全体に張り巡らされている神経ですが、その働きが弱ったままだと、冷え性や不眠、発汗異常、手足のしびれなど、さまざまな不調を引き起こすことがあるんです。
自律神経失調症の治療では、ビタミンB12含有のお薬(メチコバール錠)も使用されています。そのため、神経系の不調を感じる方はビタミンB12を積極的にとるようにするといいと思います」
エラスチン...肌の弾力やハリを保つ、血管に弾力を与える
「エラスチンは、コラーゲンとともに皮膚を構成する材料のひとつで、肌の弾力やハリを保つ役割があります。加齢によってエラスチンが減少すると、しわの原因になってしまいます。
それだけでなく、エラスチンには心臓や全身の血管に弾力を与える働きも。エラスチンの減少によって血管の柔軟性が失われると、動脈硬化や心筋梗塞になりやすくなるとも考えられています。
そのため、美容面だけでなく健康面においてもエラスチンはとても重要な成分なんですよ」
さらに、しらすにはタウリンも含まれており、コレステロールを体外に排出する手助けをしてくれるそう。それと同時に、肝臓の機能を高める効果も期待できるので、お酒のおつまみとしても最適だそうです。
毎日でも食べたい、しらす。効果的な食べ方とは?
そのままご飯にのせて食べるのはもちろん、パスタやサラダにまぶしたり、卵焼きの具材にしたりと、何かと重宝するしらす。スーパーなどで手軽に手に入りますが、選ぶときに注意したいポイントはあるのでしょうか?
「なるべく魚の身が崩れたり、割れたりしていない物を選んでください。また、水気が出てベタッとしている物は鮮度が良くないので避けたほうがいいでしょう。
身の色は産地によって多少変わってきます。関東ではなるべく白い物がいいのに対し、関西などではエサとしてエビなどを食べていることが多いので、お腹が赤い物を選ぶのがいいといわれています」
購入したしらすは冷蔵庫で保存するのが一般的ですが、冷凍も可能。冷凍する場合は保存パックに入れるなどしてしっかり密閉し、1ヵ月程度で食べ切るようにしましょう。
また、食べるときには次のようなことを心掛けるとより効果的だそうです。
「しらすに含まれるカルシウムとビタミンDは熱に強いので、加熱しても栄養素が壊れることはありません。そのため、調理法は気にせず、どんな料理に使っていただいてもいいのですが、ビタミンDは油脂に溶けやすい特性があるので、油といっしょにとったほうがより吸収されやすくなります。
一方、カルシウムはレモンやお酢などに含まれるクエン酸といっしょにとるのがおすすめ。より効率良く吸収することができます。
ただし、体にいいからといってカルシウムをとりすぎてしまうと高カルシウム血症となり、血栓などのリスクがありますので、気を付けてください。
また、釜揚げしらすは塩分が多いので、とりすぎに注意しましょう」
健康にも美容にも◎なしらすですが、おいしくても食べすぎには気を付けたいところ。日々の食事にうまく取り入れながら、"適度な量"を食べるのがコツといえそうです。
えごま油で良質な油もとれる!「カラフル野菜のしらすマリネ」
それでは、フードコーディネーターの清水加奈子さんにしらすを使った簡単&おいしいお料理を紹介していただきましょう。
<材料>(2人分)
春キャベツ...4分の1個
パプリカ(赤、黄)...各2分の1個
A
しらす...50g
えごま油...大さじ1
レモン汁...大さじ3
しょうゆ...小さじ1
塩、こしょう...少々
<作り方>
1. 春キャベツ、パプリカを食べやすい大きさに切り、電子レンジで1~2分加熱して水気を切る。
2. Aをよく混ぜてマリネ液を作る。1が温かいうちに漬け、3時間以上置いて味をなじませれば完成。
キャベツ、パプリカ、レモン汁でビタミンCを補給できる上、レモンのクエン酸でカルシウムの吸収効率もアップしますね。お酢を使用していないからか、酸味もちょっとマイルドになっている印象です。
これから旬の春キャベツをはじめ、野菜もたっぷりとれますので、ぜひ作ってみてください!
<レシピ監修>
フードコーディネーター 清水加奈子(しみず かなこ)
管理栄養士でもあり、調理師、中医薬膳師の資格も持つフードコーディネーター。アイディアレシピやダイエットレシピの提案からフードスタイリングまで幅広くこなし、食関連の企業サイトや雑誌などで活躍中。
http://www.kanako-shimizu.com/<記事監修>
管理栄養士 山田
(株)アドバンスト・メディカル・ケア所属。家族が高血圧気味だったため、食事改善をおこなったところ、数値が良くなったことをきっかけに管理栄養士を目指す。短大卒業後、医療施設で病院食の栄養管理や、保育園で子供たちへ提供する給食作りに携わる。2017年より東京ミッドタウンクリニックに併設するサプリメントショップ「ヘルスケアショップTMMC Plus」に勤務。健康・美容・ダイエットなど、幅広い相談を管理栄養士の立場からサポートしている。
<ヘルスケアショップTMMC Plus>
お客さまが、"より健康でより美しい生活"を過ごされるためのさまざまなご要望にお応えする「メディカルヘルスケアショップ」。Facebookでさまざまな栄養情報を発信中。
〒107-6206 東京都港区赤坂9-7-1 ミッドタウン・タワー6F 東京ミッドタウンクリニック内
営業日:平日(月~金) 休業日:土・日・祝祭日