更年期症状の予防・改善、ダイエットに...チーズはミドル女性の味方!
スーパーなどでさまざまな種類が売られているチーズ。そのまま食べたり、料理に使ったりと、日本人の食生活にも根付いているチーズですが、実は更年期を迎えた女性にうれしい栄養素が豊富に含まれているといいます。
ここでは、株式会社アドバンスト・メディカル・ケアの管理栄養士・星野が、更年期女性がチーズを上手に取り入れることによるメリットをご紹介。フードコーディネーターの清水加奈子さんには、バランス良くチーズの栄養を摂取できる簡単&おいしいレシピを教えていただきました。
良質なたんぱく質やカルシウムなど、さまざまな栄養素が豊富
1Lの生乳から作られるチーズは約100g。それだけ栄養素が凝縮されているのですが、中でも良質なたんぱく質がとれることが更年期の女性におすすめしたい理由のひとつなのだそう。
「更年期は、女性ホルモンの減少によって代謝が落ちてしまうほか、筋肉も減少するので脂肪が燃焼しにくく、太りやすくなります。そこで、積極的にとっていただきたいのがたんぱく質。たんぱく質は、筋肉を作るのにとても大切な成分ですが、特にチーズは体に必要なアミノ酸をバランス良く含んでいるのでおすすめです!」
また、チーズに含まれるカルシウムも、骨粗しょう症のリスクが増す更年期の女性には欠かせない栄養素です。
「チーズに含まれているカルシウムは、牛乳や小魚などと比べて体内への吸収率がいいとされています。コップ1杯の牛乳より、一片のチーズのほうが効率良く摂取することができます。食べるときは、カルシウムの吸収を促すビタミンDを含む食品(サケやマグロをはじめとする魚、きのこ類、バターなど)といっしょにとるといいですよ」
このほか、チーズには目や皮膚を健康に保つビタミンAや、脂肪の代謝、細胞の再生、疲労回復に役立つビタミンB2など、さまざまな栄養素がまんべんなく入っているのも特徴だそうです。
脂質が高いのに、ダイエットにおすすめなのはなぜ?
栄養が凝縮されたチーズは、脂質も多く、太りそうなイメージがあるかと思います。ですが、チーズはダイエットにもおすすめの食材なのだとか。
「チーズの脂質は燃焼しやすいという特徴があります。そのため、体に蓄積されにくいことに加え、ビタミンB2が脂質や糖質を効率良くエネルギーに変えてくれます。また、チーズは糖質が少なく、血糖値の急激な上昇を抑える働きもあるので、食べすぎに注意して適量であれば太る心配はないんですよ」
この働きを手助けしているのが、アディポネクチンというホルモン。脂肪細胞から分泌されるホルモンで、別名「やせホルモン」と呼ばれることもあります。
「脂肪を減らすためには、運動することが必要不可欠です。しかし、チーズの場合は食べるだけで、体内で分泌されるアディポネクチンの量が維持されるといわれています。
さらに、アディポネクチンには血中のコレステロール値を下げる働きのほか、血管を修復したり、拡張したりする働きもあるので、糖尿病や高血圧、動脈硬化など、生活習慣病の予防も期待できます」
野菜や果物といっしょに食べると◎
栄養満点のチーズとはいえ、たくさん食べればいいわけではありません。食べすぎてしまっては、むしろ逆効果になってしまいます。
「チーズは1日あたり、60gを目安にとっていただくのがおすすめ。ゴーダやチェダー、パルメザンチーズは、カロリー、脂質ともに高めなので、5〜10g程度がいいと思います。ただし、夜遅い時間や寝る前に食べてしまうと、寝ているあいだに脂肪分が体内に蓄積されてしまいます。遅くとも寝る2〜3時間前までに食べるようにしましょう。
また、チーズの栄養素は、種類によって異なります。そのため、例えばカルシウム不足が気になる場合はパルメザンやチェダーを、脂質が気になる場合はカッテージなど、チーズの特徴を確認した上で選んでいただくといいと思います」
チーズの種類別の特徴
チーズは大きく「ナチュラルチーズ」と「プロセスチーズ」に分けられます。それぞれの特徴をチェックして、チーズを選ぶ際の参考にしてください。
ナチュラルチーズ
生乳を乳酸菌やカビで発酵させ、熟成させたナチュラルチーズ。熱処理されていないので、乳酸菌を生きたまま摂取できるのが特徴です。
・クリーム
クリームチーズは、滑らかにするために乳脂肪分が多く、カロリーが高め。食べやすいですが、食べすぎに注意しましょう。おつまみのアクセントとして、少量使うのがおすすめです。
・カッテージ
カッテージチーズは、カロリーや糖質、脂質は低いですが、ほかのチーズに比べてカルシウムが少ない。ダイエット中の人におすすめです。
・モッツァレラ、ブッラータ
モッツァレラチーズやブッラータチーズは、バランス良く栄養素が入っているので、日常的に食べるのがおすすめ。
・カマンベール、ゴルゴンゾーラ
カマンベールチーズやゴルゴンゾーラチーズは、糖質が少なく、糖質制限をしている人にもおすすめです。しかし、脂質が多くてカロリーも高めなので、食べすぎには気を付けて。
特に、ゴルゴンゾーラチーズは塩分量も多いため、塩分を制限している場合は注意。1食につき30g程度に抑えましょう。
・ゴーダ、チェダー、パルミジャーノ・レッジャーノ
ゴーダチーズやチェダーチーズ、パルミジャーノ・レッジャーノ(パルメザンチーズ)は、ほかのチーズに比べて、たんぱく質やカルシウム、マグネシウム、亜鉛が多い。一方で、水分量が少なく、カロリーや脂質も高めなので食べすぎに注意してください。
・ヴァランセ
ヴァランセ(山羊のチーズ)は、ほかのチーズと比べてビタミンの含有量が多く(特にビタミンB1・B2、葉酸、ナイアシン、ビタミンA)、やや炭水化物も多い。リラックスタイムのお酒のおつまみに合い、妊娠中・妊活中の人にもおすすめです。
プロセスチーズ
ナチュラルチーズを一度加熱し、再度成形したプロセスチーズ。加熱することで保存性が高くなります。ナチュラルチーズに比べると、スーパーやコンビニエンスストアなどで比較的手に入りやすく、日本人になじみのあるチーズがそろっています。
・ベビーチーズ、スライスチーズ、6Pチーズなど
ベビーチーズやスライスチーズ、6Pチーズなどは、バランス良く栄養素が含まれているので、毎日食べてもいいのですが、塩分量は多いので食べすぎないようにしましょう。脂質とたんぱく質のバランスが良く、筋トレをしている人に◎。
なお、ナチュラルチーズとプロセスチーズ、いずれもそのまま食べても構わないのですが、野菜や果物といっしょに食べることで、さらに栄養バランスが良くなるといいます。
「チーズにはビタミンCと食物繊維が含まれていませんので、それらの栄養素を補うためにも、野菜や果物と組み合わせて食べていただきたいです。
また、女性の中には、チーズの塩分によるむくみを気にする人もいると思いますが、野菜といっしょに食べれば、野菜に含まれるカリウムが塩分を体から排出してくれますよ。
チーズは栄養素が豊富なだけでなく、旨みや味も凝縮された食物です。料理に使うときはその風味を活かし、ほかの調味料を抑える工夫をすると、塩分や脂質の摂取を控えることができるでしょう」
手軽なのに食べ応え抜群!「キャベツともやしのチーズおやき」
ここからは、フードコーディネーターの清水加奈子さんに、チーズの栄養や風味を活かしたオリジナルレシピを教えていただきます。「野菜とチーズを混ぜて焼くだけ!」と手軽にできますが、食べ応えはしっかりあるので、忙しい日のランチにぴったりの一品です。
<材料(2人分)>
キャベツ...2枚
もやし...1袋(200g)
[A]
ピザ用チーズ...100g
和風だしの素...小さじ1
片栗粉...大さじ3
塩、こしょう...少々
ごま油...適量
かつお節、青のり、ソース...適量
<作り方>
1. キャベツは太めの千切りに、もやしは洗って水気を切る。
2. 「1」と[A]をボウルに入れて、ざっくりと混ぜる。
3. ごま油を熱したフライパンに「2」の半量を入れて丸く焼く。フライ返しで押し付けながら、両面をこんがりと焼く。同じ要領で、残りのタネでもう1枚焼く。
4. 器に盛ってソースを塗り、かつお節、青のりをかける。
食べてみるとチーズの旨みが際立っていて、主役のキャベツともやしでも十分ですが、お好みで豚肉やほかの野菜、きのこ類などを入れて、お好み焼き風にアレンジしても良さそうです。
ついチーズをたっぷり入れたくなってしまうかもしれませんが、今回ご紹介したとおり適切な量を心掛けて、チーズの味を楽しんでください!
<レシピ監修>
フードコーディネーター 清水加奈子(しみず かなこ)
管理栄養士でもあり、調理師、中医薬膳師の資格も持つフードコーディネーター。アイディアレシピやダイエットレシピの提案からフードスタイリングまで幅広くこなし、食関連の企業サイトや雑誌などで活躍中。
http://www.kanako-shimizu.com/<記事監修>
管理栄養士 星野
(株)アドバンスト・メディカル・ケア所属。大学の栄養学科卒業後、保育園で新メニューの開発や、食育などに携わる。自然派化粧品会社勤務を経て、2017年よりアドバンスト・メディカル・ケアに入社。2018年より東京ミッドタウンクリニックに併設するサプリメントショップ「ヘルスケアショップTMMC Plus」に勤務。健康診断や人間ドックの結果をもとに生活習慣に関するカウンセリングや、食生活のアドバイス、さらに美容、ダイエットのご相談など管理栄養士の立場からサポートをしています。
<ヘルスケアショップTMMC Plus>
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