今日から始める!未来のための脳ケア習慣

しっかり眠って明日を過ごすため、将来の健康寿命を守るために不可欠な睡眠。
睡眠と脳の関係について、眠りと咳のクリニック虎ノ門の柳原 万里子院長 に聞きました。

睡眠不足でアルツハイマー型認知症になるリスクが上がる?

睡眠時間は「脳のお掃除の時間」。十分な睡眠時間をとりながら年齢を重ねることで、アルツハイマー型認知症の発症リスクを下げられることをご存じでしょうか?

私たちが覚醒し活動すると、脳髄液内に老廃物が溜まります。この溜まった老廃物は、睡眠中に脳髄液内から排出されます(上図のオレンジの線)。

覚醒時間が長いのに対して睡眠が不足すると、溜まった老廃物の排出が追い付かなくなり、脳髄液内に老廃物が蓄積し始めます(上図の青い線)。

この脳の老廃物のひとつがアルツハイマー型認知症の原因となるアミロイドβです。 覚醒時間が長く、睡眠時間が短い状態を日々繰り返していると、長年をかけて徐々に脳内に老廃物が蓄積されてしまいます。

十分な睡眠でアルツハイマー型認知症を予防

この脳の老廃物であるアミロイドβは、40歳頃から脳髄液内に溜まり始め、20~30年かけて脳神経の機能を壊し、脳を委縮させ、70歳を過ぎた頃から認知症の症状をひき起こすと考えられています。しかし、7時間以上の十分な睡眠をとってきた高齢者は、そうではない高齢者と比べて脳へのアミロイドβの蓄積が有意に少ないことが報告されています(Spira AP et al ; JAMA Neurol 70: 1537, 2013)。

睡眠が不足すると将来の認知症のリスク以外にも、短期的には効率の低下・情緒不安定・肌荒れ・風邪を、長期的には肥満・生活習慣病・心血管疾患・うつ病・がんのリスクが上げることが知られています。

十分な睡眠をとるためには睡眠時間の確保の他、眠りの質も大切です。この機会にぜひ日々の睡眠を見つめ直し、快眠のための工夫を取り入れてみませんか?

眠りの質を高める4つのポイントとは

  1. 規則正しく自分に合った睡眠時間を確保する
  2. 昼夜のメリハリをつけ、寝る時間までに身体の疲れもしっかり溜める
  3. 就寝前にリラックスできるナイトルーティンを作る
  4. 温室・湿度・寝具などを快適に整える

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柳原 万里子(やなぎはら まりこ)

柳原 万里子 (やなぎはら まりこ)

「眠りと咳のクリニック虎ノ門」院長

医学博士。日本睡眠学会総合睡眠専門医・指導医。日本呼吸器学会呼吸器専門医・指導医。
皆様の睡眠と健康寿命を守る、をモットーに2022年11月に「眠りと咳のクリニック虎ノ門」を開院。女性ならではの丁寧な視点で多岐にわたる睡眠障害の診療と臨床研究、講演などの啓蒙活動を行う。著書に「臨床医のための疾病と自動車運転(三輪書店)」「診断と治療のABC 睡眠時無呼吸症候群(最新医学社)」など。

眠りと咳のクリニック虎ノ門:https://sleep-toranomon.com/

※掲載している情報は、記事公開時点のものです。
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