プレ更年期とはどういう時期?原因から対処法まで詳しく解説

30代後半になると「すぐに疲れるようになった」「ちょっとしたことでイライラしてしまう」といった変化に悩まされることがあります。もしかするとそれは、"プレ更年期"にみられる症状かもしれません。

そこで本記事では、プレ更年期とはどういう時期か、またその時期に生じやすい症状がどういうものなのかを詳しくお伝えします。変わっていくご自身の身体や心と上手に付き合うために、ぜひお役立てください。

プレ更年期とは?

働き盛りの30代後半から40代前半にかけて、更年期症状に似た不調が起こることがあります。時期としては、"プレ更年期"と認識すると理解しやすいでしょう。"プレ"更年期、つまり更年期の手前にあたる時期です。

プレ更年期によくみられる症状は、日々のストレスや卵巣機能の低下、女性ホルモンのゆらぎなどによって引き起こされるといわれています。

30代後半以降は、責任のある仕事を任されたり子育てに追われたりと、何かと忙しい毎日を送っている方も少なくありません。そのような状態では、ホッとひと息つく時間すらもとれず、ストレスが溜まることから自律神経も乱れがちです。働く女性として、また母親として毎日頑張っている世代だからこそ、身体や心に影響が出る可能性が高いのです。


更年期との違い

一般的に"更年期"とは、閉経の前後10年間の時期を指し、個人差はありますが45~55歳頃が該当します。人によって症状は様々で、一切症状が起こらない方もいますが、閉経によって女性ホルモンの分泌量が急激に減少するがゆえ、突然の発汗や身体的にも精神的にも不調が起こるケースが目立つのです。

それに対してプレ更年期は30代後半から40代前半にあたり、この時期に不調や体の変化を感じる場合もあります。

プレ更年期に変化を実感した方のリアルな声を知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
神崎 恵さんに聞く、プレ更年期・更年期を健やかに美しく過ごすために大切なこと【前編(全3回)】

プレ更年期に症状が表れる原因

一般的にプレ更年期に起こる症状に悩まされるのは、社会的な役割や、責任のある立場で活躍することが増える30代後半から40代前半の方です。この年齢に突入したときに、以下の要因が重なると、つらさを実感することがあります。

不調を引き起こす原因

  • ストレス
  • ホルモンバランスの乱れ
  • 生活習慣の乱れ
  • 心理的な要因

プレ更年期にみられる症状の主な原因は、卵巣機能の低下により女性ホルモンがうまく分泌できず、ホルモンバランスが乱れてしまうことです。

プレ更年期におけるホルモンバランスのゆらぎは、過度なストレスによる自律神経の乱れも大きく関わっているとされています。
そこに、睡眠不足や栄養の偏った食事などの不摂生な生活習慣が加わると、さらに症状が悪化するおそれもあります。

プレ更年期に起こる症状と生活への影響

本項では、プレ更年期に起こりうる症状をより詳しく確認していきます。


プレ更年期でみられる主な症状

プレ更年期にみられる症状は、一つとは限りません。身体にも心にも不調や変化が表れることがあり、具体的には以下のようなものが挙げられます。

プレ更年期に起こりうる主な症状

  • 月経(生理)のトラブル
  • 頭痛
  • 不眠
  • 動悸
  • 疲労感
  • めまい
  • むくみ
  • ホットフラッシュ
  • うつ症状
  • 情緒不安定

上記のうち、典型的な症状の一つが月経のトラブルです。30代後半以降は月経にも変化がみられ、周期が短くなる、また経血量が変わることがあります。なお、これは必ずしもすべての女性に起こるわけではありません。

またプレ更年期に起こる症状は、本格的な更年期症状と比べると、軽度かつ不定期に表れるケースもあります。とはいえ、なんらかの不調が起きているときは「つらいな」と気持ちが晴れず、楽しい日々を過ごせなくなるものです。30代後半に突入して、身体や心の変化がみられ始めたら、無理せずに自分を労わる時間を作るのが大切です。


生活に与える影響

症状の表れ方は個人差が大きく、つらい不調に悩まされる方もいれば、それほど不調を感じない方もいらっしゃいます。そのため、必ずしも日常生活に支障をきたすとは言い切れません。

しかし可能性はゼロではありませんから、どのような影響があるのかを覚えておくと対処しやすくなります。以下の表には先ほどお伝えした症状のうち、いくつかを例に挙げて、生活に与える影響をまとめました。

プレ更年期の症状が生活に与える影響

症状 影響
月経のトラブル
  • 貧血で倒れる
  • 肌荒れに悩まされる
  • 疲労感が増す
頭痛
  • 痛みとともに吐き気が表れる
  • 集中力が低下する
  • 音や光に敏感になる
不眠
  • 日中に眠くなって物事に集中できなくなる
  • 倦怠感が生じる
疲労感
  • 肩こりや関節痛がひどくなる
めまい
  • ふらついて転んでしまう
  • 耳鳴りや吐き気がひどくなる
ホットフラッシュ
  • 顔や身体が突然熱くなる
  • 大量の汗が止まらなくなる
  • 汗が気になって外出するのが難しくなる
情緒不安定
  • 毎日不安感に襲われる
  • 何も楽しめなくなる

プレ更年期にみられる症状が生活にも影響を及ぼすことになると、ご自身が悩みを抱えるだけではなく、周囲にも迷惑をかけてしまうおそれがあります。「なんだかいつもと違うな」と違和感を覚えたら、我慢せずにクリニックを受診するのがベターです。

また、もしもプレ更年期による症状と疑われる状態に悩んでいる方が周囲にいらっしゃる場合は、優しい言葉をかけたり話を聞いてあげたりすることをおすすめします。「最近何かあった?」「そんなことがあったんだね」など、何気ない会話をするだけでも相手の心の支えとなるはずです。

プレ更年期を健やかに過ごすためのセルフケア

プレ更年期を健やかに過ごすうえで重要なのは、生活習慣の改善です。規則正しい生活は体内のリズムを整えるため、ストレスが溜まりにくい状態へと導くことができます。

身体的な不調やメンタルのゆらぎが表れたときには、我慢せずに対処するのが理想です。もちろんクリニックを受診するのも一つの手ですが、仕事や育児に追われて、時間に余裕がない方もいらっしゃるかもしれません。そのような場合でも、ご自身でケアする方法を知っていれば、つらさを緩和できるはずです。

以下では食事と運動、睡眠の3つに分けて、不調を乗り切る際のポイントをお伝えします。


食事でホルモンバランスを整える

ホルモンバランスを整えるためのサポート役となるのが、1日3食の規則正しい食事です。

忙しい日が続くと「今日はカップ麺だけでいいや」「とりあえずスープだけ飲んでおこう」など、食事を簡単に済ませてしまいがちですが、このような食生活では栄養が偏り、身体も心も不健康な状態となります。そうならないためにも主食・主菜・副菜を基本とした、栄養バランスの良い食事をとりたいところです。

プレ更年期に積極的にとりたい栄養素と、それが含まれる食品は以下の通りです。なお、いずれか1つだけを摂取すれば、ホルモンバランスが整うわけではありません。適量の食事で、必要な栄養素をまんべんなくとるのがベストです。

プレ更年期にとりたい栄養素と食品

栄養素 食品
大豆イソフラボン
  • 豆腐
  • 納豆
  • きなこ
  • 豆乳
ビタミンB群
  • ごま
  • レバー
  • うなぎ
  • マグロ
ビタミンD
  • きくらげ
  • しいたけ
ビタミンE
  • ナッツ類
  • ドライマンゴー
ビタミンK
  • ブロッコリー
  • ほうれん草
たんぱく質
  • 青魚
カルシウム
  • 乳製品
  • 小魚

日々の食事で、これらの栄養素、および食品をとるのが難しい場合は、サプリメントで補填するのもおすすめです。


運動でストレスを軽減する

運動すると、身体が軽くなり気分もスッキリするものです。ストレスと上手に付き合っていくためには、習慣的な運動が不可欠です。身体を動かすことで、ストレスに強い心身をつくることができるうえ、程よい疲れを感じていつもよりぐっすりと眠れるようになります。

なお、プレ更年期にみられる不調を改善するために運動する場合、頑張りすぎるのは厳禁です。運動がハードだと「もうやりたくない」と、すぐに嫌になってしまうおそれがあります。ですから"息が弾む程度"を目安として、すき間時間でも取り組める、簡単な運動を継続するのがポイントです。

一例としては、ウォーキングやストレッチ、ヨガ、ラジオ体操などが挙げられます。ほかにも、エスカレーターではなく階段を使ったり、家事の時間を増やしたりと、普段の生活のなかで意識的に動くだけでも、毎日に運動を取り入れることができます。


睡眠をしっかりとる

きちんと眠れていないと、自律神経やホルモンバランスが乱れる可能性があります。プレ更年期に表れる不調を和らげるには、朝起きたときに「よく寝た!」と感じられるような良い睡眠をとることも欠かせません。

忙しい日々を送っていると睡眠時間を確保することが難しい場合もあるかもしれませんが、少なくとも5時間は睡眠をとりたいところです。睡眠には身体の疲れをとるほか、機能をリセットしたり老廃物を排出したりと重要な役割があります。睡眠不足が続くとホルモンバランスや自律神経が乱れるだけではなく、精神疾患やうつ病を引き起こす可能性もあります。そうならないためにも、日頃から質の良い睡眠をとれるように以下のポイントを意識しておくのがおすすめです。

睡眠の質を上げるためのポイント

  • ぬるめのお湯に浸かって副交感神経を高める
  • 眠る3時間前には夕食を済ませる
  • 好きな香りのアロマを焚く
  • 寝る30分前にはスマートフォンやパソコンを見ない
  • 部屋の照明を暖色系のライトに変える
  • 自分に合う寝具を使用する

睡眠の質を高めるために、寝る前にリラックスできる時間を設けたうえで、快適に眠れる空間を作ってみませんか?

プレ更年期は、30代後半から40代前半にかけて、身体と心に不調が起きやすい時期

今回は、プレ更年期に表れる症状や、不調を和らげる対処法をお伝えしました。

女性ホルモンがゆらぎ始める30代後半から40代前半の時期を、プレ更年期といいます。ホルモンバランスの乱れが原因で、月経のトラブルや頭痛などの症状がみられる可能性があります。

こうしたプレ更年期に起こる症状を和らげるには、生活習慣の改善が不可欠です。栄養バランスの良い食事や適度な運動、質の高い睡眠を心がけ、毎日元気に過ごしていきましょう。


『40代から始めよう!閉経マネジメント 更年期をラクに乗り切る、体と心のコントロール術』


産婦人科専門医である吉形玲美医師の著書『40代から始めよう!閉経マネジメント 更年期をラクに乗り切る、体と心のコントロール術』には、閉経のしくみから更年期への心構え、不調の対処法まで、"プレ更年期"に限らず、女性の健康を守るノウハウが詰め込まれています。

本書で紹介している"閉経マネジメント"とは、更年期症状と骨粗しょう症の不安を解消できるように自分の身体をマネジメントする方法です。
毎日を快適に過ごすためにも、プレ更年期を迎えたら、あなたも閉経マネジメントを実践してみませんか?

※掲載している情報は、記事公開時点のものです。
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この記事は、働く女性の医療メディア
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