30代で生理が来なくなる?「早発閉経」の原因と対策

生理の日数や量が次第に減少し、やがて完全に止まる閉経。閉経を迎える年齢には個人差がありますが、「40歳を過ぎたらホルモンバランスが乱れて、生理が不規則になって...」と、日本人の閉経の平均年齢である50歳を目安として、閉経までの流れをイメージしている人が多いのではないでしょうか。ところが、中には「早発(そうはつ)閉経」といって、30代で卵巣機能が停止し、そのまま閉経してしまう場合があります。

今回は、早発閉経になる原因や、検査による確認の仕方、その治療法について、医療系ライターのオリビアさんに解説してもらいました。


【PROFILE】

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オリビアさん(44歳)

自身も妊活を経験して授かった1児を育てながら、今も現役で働く医療系ライター。さまざまな学会にも足を運び、ドクターと仲良くなるのが得意。産後に始めたヨガにハマり、最近のリフレッシュ方法はもっぱらヨガスタジオに通うこと。

生理周期の乱れは早発閉経のサインかも?

取材を終えたオリビアさんは、仕事仲間のひろみさんとランチをして帰ることにしました。注文を済ませてトイレに立ったひろみさんでしたが、慌てた様子で戻ってきます。

ひろみさん 「すみません、生理用品持っていたら、ひとついただきたいのですが...」

オリビアさん 「もちろんよ、どうぞ!」

ひろみさん 「助かります!最近、生理のリズムが狂っちゃって。動悸もするし、抜け毛も増えてきたし、なんか調子悪いんですよ。ストレスかなぁ」

オリビアさん 「ひろみさん、今39歳だったわよね?それ、もしかしたら早発閉経のサインかもしれないわよ...」

ひろみさん 「えっ!閉経!?そんな...まだそんな年齢では...」

オリビアさん 「まさかと思うわよね。ちょっと心配だから説明するわね」

40歳前に月経が停止する早発閉経とは?

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早発閉経とは、「早発卵巣不全」の通称で、40歳にならないうちに卵巣から分泌される女性ホルモンの量が著しく減り、排卵が止まってしまう症状のことです。厚生労働省研究班監修「女性の健康推進室 ヘルスケアラボ」によると、40歳未満の女性の100人に1人は早発閉経であるといわれ、決して珍しい疾患ではありません。30歳未満でも、1,000人に1人の割合で早発閉経が見られることがわかっています。

早発閉経の原因は、染色体異常をはじめとする遺伝性のもの、甲状腺疾患や白斑、全身性エリテマトーデス、関節リウマチなどの自己免疫性疾患によるもの、卵巣の外科手術や放射線治療などによる医療行為が原因のものに大別されますが、原因が明らかになるのは全体の1~2割程度で、そのほとんどは原因不明です。そのため、医学の力をもってしても予防は難しく、体の変化に自分で気付いて早期発見に努めるしかありません

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生理不順や無月経は早発閉経の兆候のひとつ

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早発閉経が疑われる症状は、生理の間隔が空いたり、反対に1ヵ月のうちに何度も生理が来たりといった生理不順や、何ヵ月も生理が来ない無月経などさまざまで、ほてり、発汗、動悸、不安感、イライラといった、いわゆる更年期症状を伴うこともあります

生理周期の乱れは、ストレスやダイエットなどの影響によっても起こるので、経験したことがあるという女性は多いでしょう。つい、「このくらいはいつものことだから」「今までもあったから大丈夫」と流してしまいがちですが、生理が来ない状態が数ヵ月も続いていたら、一度は婦人科を受診しましょう

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早発閉経が疑われる場合、子宮や卵巣の診察をした後、卵巣機能を調べるために血液検査をしてホルモン値を測定した上で診断を確定します。

早発閉経と診断されるのは、一般的に以下の条件を満たす場合です。

<早発閉経と診断されるおもな条件>

・40歳未満である
・無月経の状態が3~6ヵ月にわたって続いている
・血液検査の結果、卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体ホルモン(LH)の値が高く、卵巣から分泌される女性ホルモン(エストロゲン)の値が低い

将来的に妊娠を希望している場合は、ホルモン値を調べる血液検査の際にAMH検査も受けておくといいでしょう

AMH検査は、卵巣にどれくらいの卵子が残されているのかを知り、「いつまで妊娠できるか」という見通しをつけることができる検査です。

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早発閉経の治療法とは

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早発閉経の治療法は、妊娠を希望するかどうかによって異なります。妊娠を希望する場合は、女性ホルモンを補充しながら排卵誘発剤を使用する不妊治療か、体外受精を行います

一方、妊娠を希望しない場合は、HRT(ホルモン補充療法)を行います。HRTは、年齢とともに少しずつ体内から失われていく「エストロゲン」という女性ホルモンを補充する治療法で、体内の変化をやわらげる効果が期待できるでしょう。

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体の変化に気を配り、早めに受診を

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早発閉経になると、卵巣機能が停止して妊娠の確率が低下するほか、骨粗鬆症や心血管系の疾患にかかるリスクが高まり、更年期に似た症状が見られるようになります。早発閉経は、半年から2年のあいだに症状が一気に進むといわれていますから、できるだけ早い段階でその兆候に気付き、適切な治療を開始することが何よりも大切です。

「まだ若いから大丈夫」と思わずに、普段から自分の生理周期や経血の量に気を配り、少しでも「いつもと違う」と感じたら、速やかに婦人科を受診しましょう。20代、30代のうちから、1年に1度は婦人科検診を受ける習慣をつけておくことをおすすめします。


※掲載している情報は、記事公開時点のものです。
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