月経不順や更年期の症状が気になる方へ...女性ホルモン検査でわかること
女性ホルモンの分泌量は、閉経前後の更年期に急激に減少し、月経不順や更年期の症状を引き起こします。更年期のつらい症状は避けられないものですが、心構えをしておくことも大切です。
女性ホルモンがどれだけ分泌されているかは、ホルモン検査によって調べることができます。ホルモン検査を受けることによってどのようなことがわかるかについて、医療・美容記事を多く手掛ける編集者/ライターのライラさんに教わりました。
【PROFILE】
ライラさん(40歳)
医療・美容を多く手がける編集者/ライター。気になった健康法は試さないと気がすまない性質。「ストレスを明日に持ち越さない」をモットーに、日々体を動かすことを欠かさない。最近、ボルダリングに目覚めた。
月経が止まる理由は更年期?
同僚のさゆりさんとランチに来たライラさん。トイレから戻ったさゆりさんが、何だか浮かない顔をしているのが気になります。
ライラさん 「何か悩み事があるの?」
さゆりさん 「実は、3ヵ月前から生理が止まってしまって...」
ライラさん 「もしかして、妊娠?」
さゆりさん 「その可能性は低いんだけど...。今までずっと、生理が順調にきていたから心配だわ」
ライラさん 「更年期になると、女性ホルモンが急激に減少して、生理が不順になることもあるのよ」
さゆりさん 「女性ホルモンの状態って、どうすれば調べられるのかしら?」
ライラさん 「病院でホルモン検査を受ければ調べられるわ。どんな検査でいくらくらいかかるか、詳しく説明するわね!」
女性ホルモン検査で何がわかる?
女性ホルモン検査は、女性特有のホルモン数種類を調べる検査よ。ホルモンの値を調べることで、月経不順や無月経の原因を探ることができるの。動悸、息切れ、のぼせ、憂うつなどの症状を感じたときに、それが更年期の症状かどうか判定することもできるわね。
検査内容は医療機関によってさまざまだけど、東京ミッドタウンクリニックの「女性ホルモン検査」は当日でも受付可能で、黄体化ホルモン(LH)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、エストラジオール(E2)、プロラクチン(PRL)、黄体ホルモン(P4)などの値を調べることができるわ。子宮や卵巣の状態をより詳しく知るためにも「経腟超音波(エコー)検査」とセットで受診するのがおすすめよ。
女性ホルモンの分泌のしくみと血中ホルモン基準値
女性ホルモン検査について詳しく説明する前に、女性ホルモンが分泌されるしくみについて解説するわね。
女性ホルモンが分泌されるときは、脳の視床下部からGnRH(性腺刺激ホルモン放出ホルモン)が分泌されて、ホルモンを出すよう下垂体へメッセージが送られるの。続いて、下垂体から黄体化ホルモン(LH)と卵胞刺激ホルモン(FSH)という2つの性腺刺激ホルモンが放出され、卵巣にメッセージが送られるわ。
この2つのホルモンの働きによって、女性ホルモンのエストロゲン(E2)とプロゲステロン(P4)が分泌されるというしくみよ。
血液中のホルモンは、性周期(月経のサイクル)によって増えたり減ったりするの。ホルモンの状態は、採血による血液検査で調べることができるわ。さゆりさんのように、急に月経が止まってしまった場合、女性ホルモン検査をすることで、女性ホルモン分泌のどの段階に異常が生じているか調べることができるのよ。
女性ホルモン検査でわかること
ここからは、女性ホルモン検査で血中ホルモン値を調べることによってどのようなことがわかるか、具体的に見ていきましょう。
卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体化ホルモン(LH)の検査
卵胞刺激ホルモン(FSH)は、未熟な卵胞を成熟させる働きをしているのよ。卵胞刺激ホルモン(FSH)の値を測定することで、脳下垂体や性腺機能の異常をチェックできるわ。卵胞刺激ホルモン(FSH)の値は、卵巣予備能のチェックにも用いられるわね。
黄体化ホルモン(LH)は、排卵を起こすために必要なホルモンよ。黄体化ホルモン(LH)の値をチェックすることで、排卵時期を予測することができるの。
卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体化ホルモン(LH)の値が基準値より高い場合、卵巣からエストロゲンやプロゲステロンがうまく分泌されていない状態だと推測されるわ。卵巣がすべての卵胞を出し尽くすと、ホルモンも分泌しなくなるの。40代後半であれば、卵巣が卵胞を出し尽くして、働きを終えたとも考えられるわね。
卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体化ホルモン(LH)が基準値より低い場合は、視床下部から下垂体に指令を出す働きをする性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)がうまく機能していないことが疑われるわ。これによって、月経異常(無月経、無排卵)や不妊症が引き起こされることもあるのよ。
エストラジオール(E2)の検査
エストラジオール(E2)は、エストロゲンを構成するホルモンの一種よ。卵巣から分泌されるエストロゲンは、女性らしい体を作ったり、妊娠機能を維持させたりする働きを担っているの。エストラジオール(E2)の値を測定することによって、卵巣機能の状態や、更年期の可能性などがわかるのよ。不妊症診療では、排卵を予知するためにエストラジオール(E2)の値を測定するわ。
エストラジオール(E2)の値が基準値より低い場合は、卵巣の機能が低下していると推測されるわね。40代後半であれば、更年期の状態といえるわ。
プロラクチン(PRL)の検査
下垂体から分泌されるホルモンには、卵胞刺激ホルモン(FSH)や黄体化ホルモン(LH)のほかに、プロラクチン(PRL)という母乳を出すために働くホルモンがあるのよ。
妊娠していないにもかかわらず、プロラクチンの値が高い場合を「高プロラクチン血症」と呼ぶの。下垂体からプロラクチンが過剰に分泌されることで、乳汁分泌や乳房緊満(乳房の張り、硬化)が見られることもあるわね。高プロラクチン血症の場合、排卵が抑制されて、月経不順や不妊につながることもあるわ。
女性ホルモンの状態をチェックして不調の原因を探ろう
女性ホルモンは、外見だけでなく気持ちまで左右するもの。抱えている不調がホルモンの状態によるものだとわかれば、治療法や対策法も見えてくるし、精神的にも安心感を得られるはずよ。
月経不順や更年期の症状などが気になるときは、ホルモン検査を受けて、不調の原因を探ってみましょう。
【ホルモン検査を受けられる健診施設】
健診や人間ドックにプラスして「女性ホルモン検査」や「卵巣予備能検査(AMH)」など女性向け検査の追加可能です。
<東京ミッドタウンクリニック>(東京・六本木)
病気の早期発見・予防のため、きめ細やかなテーラーメイドの健診を提供しているクリニック。外来診療では風邪などの疾患から専門的な診療まで幅広く対応。婦人科では、生理不順、不正出血、おりものの変化、子宮がん・卵巣がん・性感染症など、婦人科疾患全般について相談が可能です。<セラヴィ新橋クリニック>(東京・新橋)
快適性を重視し「男女別フロア」を採用している健診施設。乳がん検診や子宮がん検診など女性ならではの検査が充実。特に子宮頸がん検査においては、精度の高い「液状検体細胞診」を導入するなど、女性に優しい環境が特徴。また内科・糖尿病外来や禁煙外来、乳腺外来など、専門医による一般外来の診察も受診可能です。【婦人科健診を受けるなら】
<浜松町ハマサイトクリニック>(東京・浜松町)
女性の身体と気持ちへの寄り添いをモットーに、気軽に受診いただけるクリニックを目指し、婦人科・内科をはじめとした外来診療や健診・人間ドックを提供。生理痛、不正出血、子宮筋腫、子宮内膜症などの治療やピルの処方だけでなく、疲れや倦怠感、イライラなど更年期障害の治療も得意としたクリニックです。