ダイエットのサポートにも◎。舞茸はきのこ界でトップクラスの栄養価
秋に旬を迎えるきのこ類。中でも舞茸は、ダイエットや免疫力アップをサポートしてくれるといわれる「MXフラクション」と「MDフラクション」という独自の成分をはじめ、更年期以降の女性にもうれしい栄養素がたっぷり入っており、きのこ界でもトップクラスの栄養価を誇ります。
そこで、株式会社アドバンスト・メディカル・ケアの管理栄養士・山田が、舞茸に含まれる成分とその働きを解説。さらに、フードコーディネーターの清水加奈子さんには、舞茸を使ったレシピを教えていただきました。
舞茸にしか含まれない成分って?
しいたけやしめじ、えのきなどと並び、スーパーでよく見かける舞茸。きのこには、不溶性食物繊維の一種であるキノコキトサン(植物性キトサン)など多くの栄養素が含まれていますが、中でも舞茸には、舞茸にしかない成分が含まれているといいます。
「舞茸特有の成分に、食物繊維のβグルカンの仲間で、MXフラクションとMDフラクションというものがあります。MXフラクションは腸の働きを助ける働きがあり、体内の不要なコレステロールを排出してくれるほか、脂肪や糖の分解を助けてくれます。また、基礎代謝を上げるともいわれているので、ダイエットのサポートも期待できます。
一方のMDフラクションは、免疫機能を高める作用があるといわれています。しかも、このMDフラクションは、免疫細胞の一種であるナチュラルキラー細胞(NK細胞)に直接作用するんです。NK細胞とは、細菌やウイルス、一部のがん細胞を認識して攻撃するという、人間に元々備わっている免疫システム。それを活性化してくれるMDフラクションは、積極的にとってもらいたい成分です。近年では、がん治療の分野でも注目されているんですよ」
・MXフラクション...整腸作用、コレステロールの排出、脂肪や糖の分解、基礎代謝アップ
・MDフラクション...免疫機能アップ、がんの増殖抑制
これらに加え、きのこ特有の成分であるキノコキトサンも、中性脂肪を下げる働きがあるとのこと。女性ホルモンが減少する影響により、コレステロール値や内臓脂肪が気になる更年期世代の女性にはおすすめの食材といえそうですね。
肌の調子を整え、骨粗しょう症の予防にも期待
MXフラクション、MDフラクション以外にも、舞茸にはきのこの中でも特に豊富に含まれる成分があるそうです。
「舞茸には、ナイアシンというビタミンB群の一種が、豊富に含まれています。ナイアシンは、たんぱく質や脂質、炭水化物をエネルギーに換える際に、必要不可欠な栄養素。摂取することで、代謝のアップにつながります。
また、ビタミンB群は肌や粘膜の健康を保つ作用があったり、肝臓の働きを助けてくれたりするので、二日酔い予防にもいいといわれているんですよ」
さらに、更年期以降は骨粗しょう症のリスクも高まってきますが、舞茸に含まれるエルゴステロールという成分は、その予防や改善に一役買ってくれるのだとか。
「エルゴステロールは、太陽にあたるとビタミンDに変換される栄養素。ビタミンDには骨を丈夫にする働きがあるので、骨折や骨粗しょう症予防につながると考えられています。
舞茸に含まれるエルゴステロールをビタミンDに換えるためには、天日干しした舞茸を食べる、あるいは舞茸を食べてから適度に太陽を浴びるといいでしょう」
このように、高い栄養価を誇る舞茸ですが、カロリーは100gあたりたった16kcalとヘルシーなところも見逃せません。
■きのこ類の栄養成分比較表
きのこは水洗い不要!煮汁まで食べればさらに栄養満点
カサの部分がひらひらと舞うような形状が特徴の舞茸。購入する際には、どのようなところに注目すればいいのでしょうか。
「舞茸の鮮度は色に表れるので、色が薄い物よりは濃い物を、そして全体にハリがある物を選ぶといいと思います。
また、舞茸はパックに入ったまま冷蔵庫に入れると水分が出て、腐りやすくなります。冷蔵庫で保存する場合はパックから出し、キッチンペーパーや新聞紙でくるんで保存用ビニール袋に入れると、湿気を防ぐことができます。
ですが、一番のおすすめは冷凍保存。これは舞茸に限らず、きのこ全般にいえるのですが、冷凍するときのこの細胞壁が破壊され、より旨みがアップするんです。とはいえ、長期間の冷凍保存は水分が抜けて中身がスカスカになってしまうので、空気にふれないようしっかりと密封して保存し、1ヵ月くらいを目処に食べるようにしましょう」
また、調理する際には、次のようなことに気をつけるといいそうです。
「きのこを洗うかどうか迷う人もいるかもしれませんが、舞茸に限らず、きのこは水洗いする必要がありません。水で洗うと栄養素まで流れてしまうので、汚れが気になった場合は濡らしたキッチンペーパーなどで拭き取るだけで十分です。
そういった意味では、舞茸は煮汁にも、その栄養が溶け出しています。料理によっては煮汁やスープまで残さず食べると、舞茸の栄養を余すところなくとることができますよ」
舞茸をふんだんに使って栄養満点!「舞茸ハンバーグ」
ここからは、フードコーディネーターの清水加奈子さんに、舞茸の栄養をしっかりとれるオリジナルレシピを教えていただきます。今回は、タネにもソースにも舞茸をふんだんに使った「舞茸ハンバーグ」です。
<材料(2人分)>
豚ひき肉...200g
玉ねぎ...4分の1個
舞茸...50g
ドライパン粉...10g
卵...2分の1個
塩、こしょう...適量
油...小さじ1
ベビーリーフ、ミニトマト...適量
[ソース用]
舞茸...100g
酒...大さじ2
ケチャップ、中濃ソース...各大さじ2
水...50ml
<作り方>
1. 玉ねぎ、舞茸50gはみじん切りにする。残りの舞茸100gは小房に分ける。
2. 豚ひき肉に塩を入れ、粘りが出たら、みじん切りにした玉ねぎと舞茸、パン粉、卵、塩、こしょうを入れてよく混ぜ、2個のハンバーグ型に成型する。
3. フライパンで油を熱してハンバーグの両面を焼き、蓋をして5~6分蒸し焼きにする。
4. ハンバーグを取り出す。フライパンに残った焼き汁に酒と水を加えてなじませたら、舞茸、ケチャップ、ソースを加えて煮詰める。
5. ハンバーグといっしょにベビーリーフとミニトマトを盛り、ソースをかける。
タネにも舞茸を入れたことで、仕上がりがフワフワに!食べ応えは抜群ながら、上品なハンバーグに仕上がります。ぜひ試してみてください。
<レシピ監修>
フードコーディネーター 清水加奈子(しみず かなこ)
管理栄養士でもあり、調理師、中医薬膳師の資格も持つフードコーディネーター。アイディアレシピやダイエットレシピの提案からフードスタイリングまで幅広くこなし、食関連の企業サイトや雑誌などで活躍中。
http://www.kanako-shimizu.com/<記事監修>
管理栄養士 山田
(株)アドバンスト・メディカル・ケア所属。家族が高血圧気味だったため、食事改善をおこなったところ、数値が良くなったことをきっかけに管理栄養士を目指す。短大卒業後、医療施設で病院食の栄養管理や、保育園で子供たちへ提供する給食作りに携わる。2017年より東京ミッドタウンクリニックに併設するサプリメントショップ「ヘルスケアショップTMMC Plus」に勤務。健康・美容・ダイエットなど、幅広い相談を管理栄養士の立場からサポートしている。
<ヘルスケアショップTMMC Plus>
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