更年期以降は骨密度が重要!骨を強くするために必要なこと【運動編】
女性ホルモン(エストロゲン)の減少によって、骨量や骨密度が減っていく傾向にある更年期以降の女性に、骨のケアの重要性をお伝えしているこの企画。
前編では、メノポーズカウンセラーの三浦知代が、骨にいい食事について紹介しました。そして後編では、「骨を強くする運動」を紹介します。
骨は衝撃を与えることで強くなるほか、筋肉をつけることによっても同様の効果があるといいます。骨と運動にはどのような関係があるのか、さらには、骨のために40代のうちからやっておくといい運動について、更年期トータルケアインストラクターの永田京子さんに教えていただきました。
<前編はこちら>
更年期以降は骨密度が重要!骨を強くするために必要なこと【食事編】
骨と運動の関係とは?
――骨を強くするには食事だけでなく運動も大切とのことですが、それはなぜでしょうか?
運動による骨への衝撃、そして筋肉量の増加は、骨が新陳代謝をするために重要な役割を果たしているといわれています。
「食事編」でも紹介されていたとおり、骨は古い骨を壊し、そこを補填するように新しい骨を作るというサイクルを繰り返しています。若い頃はその新陳代謝のバランスがとれているのですが、更年期に入って女性ホルモン(エストロゲン)が減少すると、新しく骨ができるスピードより骨を壊すスピードのほうが優位になるんです。
それが、運動をすることで骨に衝撃を与えたり、筋肉量が増えたりすることで、新しい骨を作るための細胞が活性化すると考えられています。
――骨の新陳代謝をバランス良くするためには、どんな運動がいいのでしょうか?
運動の種類というより、
・骨に衝撃を与えること
・筋力をつけること
の両方が大事だと考えたがほうがいいですね。
筋肉をつけるにはもちろん筋力トレーニングが適していますし、骨に衝撃を与えるのであれば、歩く、階段を下りるといった動きが適しています。
衝撃と筋力アップを兼ね備えているものとしては、ウォーキングやジョギングのほか、この後紹介する「かかと落とし」はおすすめの運動ですよ。
隙間時間でできる!骨を強くするエクササイズ
ここからは、骨を強くするのにおすすめの運動を永田さんにレクチャーしていただきます。
かかと落とし
「かかと落とし」は、その場で立ったままできる簡単な運動ですが、ふらつく場合は壁やテーブルに手を添えて行ってもOKです。
1. かかとを床から10cm程浮かせる。
2. かかとに衝撃を与えるように真下にストンと下ろす。
例えば、信号待ちのあいだに10回、料理をしているときに10回など、さまざまなシーンの隙間時間を使って、1日でトータル50回程度を目安に行うといいと思います。
この運動では、衝撃を与えたことによる骨の強化だけでなく、脚の筋肉や体幹部が鍛えられてバランス力がついたり、ふくらはぎの血流が良くなって脚のむくみが改善されたりと、多くの効果が期待できますよ。
ワイドスクワット
続いては、筋力アップに効果的な「ワイドスクワット」をご紹介します。
1. つま先を外側に向け、脚を肩幅の2倍に開く。
2. そのまま腰を沈めて5秒キープし、5秒かけて元の体勢に戻る。これを10回繰り返す。
ポイントは、つま先を外側に向けて、腰を下げるときにひざが内側に入らないようにすること。また、上半身が前に倒れたり、後ろに反ったりせず、まっすぐな状態をキープするように意識してください。
骨を健康に保つためには、骨そのものを強くすることも大切ですが、骨を守ってくれる周りの筋肉を鍛えておくことも必要になってきます。
ワイドスクワットはお尻から下半身にかけての大きな筋肉を効率良く鍛えられるだけでなく、骨と筋肉をつなぐ股関節の柔軟性も高めてくれるので、骨にはとても効果的なエクササイズ。最初のうちはキツいなと感じるかもしれませんが、大きい筋肉は鍛えやすいので、2週間くらい続ければ効果を感じられると思います。
骨盤ウォーキング
最後は「骨盤ウォーキング」。「歩く」という何気なく行っている動きも、少し意識を変えるだけで骨にいい運動になります。
方法はすごく簡単。脚を前に出すときは腰から動かすようなイメージで、普段の1.5倍くらいの歩幅で歩くだけです。
歩くときの目線は正面、できれば腕を大きく振るとより効果があります。10〜15分も歩くと結構汗が出てくるので、ご自身でもかなりいい運動になっているのが実感できると思いますよ。
ウォーキングは足に衝撃を与えるほか、代謝も上がる全身運動です。特に、朝日を浴びながらのウォーキングは自律神経が整うだけでなく、それによって夜、メラトニンという自然な眠りを誘うホルモンが出るようになるので、規則正しい生活にもつながります。
ただ、それも絶対にそうしなくちゃいけないわけではなく、日が暮れてからでも効果はあります。なるべく毎日行う、続けることを意識してください。
骨を強くする運動は、日々の積み重ねが何より大切
――どれも、普段の生活に取り入れられる運動なのがいいですね!
「運動するためにジムに行こう!」とそのときは思って実践しても、日々忙しい人たちにとっては負担になってしまいがちですので、日常的に行っている動きに取り入れられる運動をご紹介しました。
運動を行うにあたって一番良くないのは、「続かないこと」なんですよね。骨の健康のためには、少しずつでも構いませんので、続けていくことが何より大切。ぜひ、毎日のルーティンに、ここで紹介した運動を加えてみてください!
※永田さんのエクササイズの写真はすべて著書「はじめまして更年期♡」(青春出版社)より転載
<前編はこちら>
更年期以降は骨密度が重要!骨を強くするために必要なこと【食事編】
永田京子(ながた・きょうこ)さん
兵庫県出身、愛知県小牧市在住。2児の母。東映アカデミーに所属し、役者として舞台やドラマなどで活躍した後、ピラティスや整体、経絡、アロマ、リフレクソロジーなどを学び、ピラティス指導者、産後ケアのインストラクターとしての活動を開始。受講者の声と、更年期障害が悪化して苦しむ母を見ていた経験から、女性ホルモン・更年期の正しい情報と対策を伝えるNPO法人「ちぇぶら」を創設した。「ちぇぶら」は更年期を英語でいう「the change of life」の意。著書に「女40代の体にミラクルが起こる! ちぇぶら体操」(三笠書房)があるほか、先日「はじめまして更年期」(青春出版社)が発売したばかり。
NPO法人ちぇぶらホームページ
YouTube「ちぇぶらチャンネル」
「はじめまして更年期」(青春出版社)
著:永田京子 定価:1,540円