顎を開くとき音がする、違和感がある...顎関節症と更年期の関係は?

顎関節症は、更年期の女性に多い症状のひとつです。慢性化すると、肩や首のこり、食欲不振、頭痛など、顎以外の部分に症状が広がることもあるため、早めに治療することが大切です。
ここでは、顎関節症の原因や症状のほか、予防法などについて見ていきましょう。

顎関節症を放置すると体の不調につながることも

顎関節症とはひとつの病気ではなく、特定の症状が出る障害の包括的診断名です。噛み合わせや歯並びの悪さ、ストレス、食事のときの片噛み癖、歯ぎしりなど、さまざまな原因によって起こります。特に、顎の使いすぎや緊張による筋肉のこわばり、噛み合わせの悪さには注意が必要です。

顎関節症の症状として、下記のようなものが挙げられます。

<顎関節症のおもな症状>
・顎の関節や筋肉が痛む
・顎を動かすと音がする
・口が開きにくい
・顎に違和感がある

このような直接的な症状だけでなく、顎関節症を放置して慢性化すると、頭痛や肩こり、倦怠感、難聴、鼻炎といった、さまざまな部位の不調につながってしまう可能性があります。

顎関節症の治療は生活習慣の見直しから

では、顎関節症を治すには、どうすればいいのでしょうか。顎関節症に悩んでいる人の中には、顎の使いすぎや頬杖といった無意識の習慣が原因になっている人も少なくありません。このような習慣をやめることで、改善が見られることも。

顎の関節に痛みを覚えたり、口が開きにくかったりするといった症状が気になる場合は、歯科クリニックで指導を受けましょう。

生活習慣の見直しで症状が改善されない場合は、筋肉のこわばりの原因となる噛み合わせの治療が行われます。また、症状が重度の場合は、手術が行われることもあります。

更年期の女性は顎関節症になりやすい?

顎関節症の患者は女性に多く、特に20~30代と、50歳前後に自覚症状が出やすいといわれています。

50歳前後の更年期の女性に顎関節症がよく見られる原因として、女性ホルモンの急激な減少が影響しているのではないかと推測されています。女性ホルモンが減少すると、骨を壊す細胞の働きが強くなるため、こうした作用が顎の骨にも現れている可能性があると考えられます。

セルフチェックで確認!病院に行くボーダーラインは?

顎関節症の痛みの感じ方は、人によって異なるもの。治療を受けるべきかどうか悩んでいる人は、下記のチェックリストを参考にしてください。1つでもあてはまる人は、早めに歯科クリニックへ行って治療を受けましょう。

<歯科クリニックで治療を受けるボーダーライン>
□ 口を開け閉めしたとき、隣の人に聞こえるくらいの音がする
□ まっすぐ大きく口が開けられない
□ 左右どちらか、または両方の顎に違和感や痛みがある
□ 口を大きく開けると耳のあたりが痛い
□ 顎が外れそうな感覚がある

なお、症状が強く出ていないのであれば、一時的に自宅で安静にすることで症状が緩和することもあります。1週間程様子を見て、症状に改善が見られなかったり、痛みが強くなってきたりしたら、早めに歯科クリニックで相談するようにしてください。

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顎関節症の疑いがあるときは...見直したい4つの生活習慣

続いては、「顎の関節が痛い」「口が開きにくい」といった症状を覚えたときに見直したい生活習慣を、4つご紹介します。


顎をなるべく使わない

顎の筋肉を鍛えるために、硬い物を食べたり、顎をよく動かしたりすることは良いことといわれています。

しかし、顎関節症の疑いがあるときは、何より顎に負担をかけないことが大切。硬い食べ物は避けて、ガムやスルメイカのように長く噛む物も食べないようにしてください。なるべくやわらかく、できるだけ咀嚼する必要がない物を選んで食べましょう。


筋肉のこわばりを緩和する

顎関節症の大きな原因のひとつに、筋肉のこわばりがあります。歯を食いしばる癖がある人は、口の周りを緩めるように心掛けて、顎や頬の筋肉をできるだけ緊張させないようにしてください。

眠っているあいだに歯ぎしりをしてしまう人は、マウスピースなどを使って改善することをおすすめします。

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口を大きく開けない

歯科クリニックで口を大きく開け続けた後、顎の周りがうまく動かないように感じることはありませんか?口を大きく開けることも、顎に負担がかかる動作のひとつです。

口を大きく開ける顔の体操やカラオケなどは、少しお休みしましょう。


頬杖をつかない

無意識のうちにやってしまう頬杖も、顎関節症を引き起こす動作のひとつ。頬杖をつく癖がある人は、意識的にやめるようにしましょう。

また、腕を曲げて頭の下に置き、枕代わりにする「手枕」も、顎に負担をかける動作のひとつです。座っているときもベッドで横になるときも、姿勢を良くすることを心掛けてください。

生活習慣を見直して顎関節症を予防しよう

楽しいおしゃべりや食事は、毎日に潤いを与えてくれるもの。顎関節症によってそれらが楽しめなくなってしまわないように、「顎の関節が痛い」「口が開きにくい」と感じたら、早めに歯科クリニックで相談しましょう。

顎関節症のリスクを下げるためには、生活習慣を見直すことも大切です。無意識の習慣が原因で症状が引き起こされることもあるため、頬杖や歯ぎしりなどの癖がないか、一度見直してみてください。


この記事を監修したのは...
大西 孝宣(おおにし たかのり)歯科医師

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東京ミッドタウンデンタルクリニック
大江戸線「六本木駅」直結の歯科「東京ミッドタウンデンタルクリニック」。 むし歯、歯周病などの一般歯科診療から、矯正、インプラント、麻酔、口腔外科など、国内外で専門技術を磨いた医師が、患者様お一人おひとりにあった施術を提供しています。 治療は半個室、個室で対応。患者様が快適に過ごせる空間を創り上げ、リラックスできる環境で治療を受けていただくよう取り組んでいます。



※掲載している情報は、記事公開時点のものです。
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