更年期障害を疑ったらまずどうすればいい? 体験談も合わせて紹介

40歳を過ぎたあたりから「無気力で何もしたくない」「大量の汗が止まらない」「月経痛がひどくなった」などの症状に悩まれていませんか? このような不調が現れており、治療が必要な場合、更年期障害を発症しているかもしれません。

しかし、何とかしたいとは思いつつ、仕事や家事で忙しいので我慢して、日々を過ごしている女性が多いのも現状です。

今回は、生活に影響を及ぼすほどの更年期症状から更年期障害 を疑った際の適切な対処法を体験談とともに紹介します。更年期とうまく付き合って健やかな生活を送りたい方は、ぜひご一読ください。

更年期障害とは

更年期障害とは、女性ホルモン(エストロゲン)の減少によって閉経前後の10年間に現れるさまざまな症状が原因で、日常生活に支障が出て治療が必要である状態のことです。閉経の年齢には個人差がありますが、多くの女性は50歳前後で閉経を迎えます。

更年期の概要については、こちらの記事でも詳しく紹介しておりますのでぜひご覧ください。

「更年期は何歳から始まる?つらい症状を抑える対処法について」
「HRTで行う更年期障害治療――ホルモンを補充することで諸症状を改善」

更年期障害は、「身体の症状」と「心の症状」の2つに分けることができます。代表的な症状は、以下のとおりです。



更年期障害を疑う主な症状
身体的な症状 頭痛、めまい、動悸、息切れ、食欲不振、吐き気、肩こり、関節痛、大量の発汗、ほてり、ホットフラッシュ、腰痛、月経異常など
精神的な症状 気分の落ち込み、イライラ感、不安感、倦怠感、抑うつ感、集中力の低下、物忘れ、不眠など

症状の感じ方は個人差が大きいうえに、複数の症状が現れる場合もあれば、一部の症状のみが強く出るケースもあります。


頭痛や肩こり、食欲不振などの症状の場合、「ただの体調不良だ」と思って我慢してしまう方もいらっしゃるかもしれませんね。しかし、たとえどんな症状であっても、日常生活に支障をきたす前に、早めに改善したいところです。

更年期障害が仕事にもたらすデメリット

更年期症状が重くなると、日常生活だけではなく、仕事にも悪影響が出てきます。たとえば、集中力が低下して仕事の効率が落ちることや、体調不良が悪化し離職につながることも起こり得ます。

実際に、更年期症状が現れている方に、仕事への影響や周囲の理解についての体験談を伺いました。

【50代前半・自営業・フルリモートワーク・まりこさん(仮名)の場合】

Q. お仕事では、どのような症状に特に困っていますか?

A. 商談や緊急のトラブルなどで過度に緊張すると、急に汗が止まらなくなって困っています。仕事のストレスが増えると、ホットフラッシュの症状が現れるときもあります。

婦人科の先生に勧めてもらったエクオールのサプリメントや、漢方薬を服用していても、心理的な要因でどうしても更年期症状が出てしまいますね。

Q. お仕事において、周りに更年期症状を理解してもらうのは難しかったでしょうか?

A. 周囲にはきちんと話していて、疲れやすかったり、落ち込みやすかったりなどの症状を伝えたうえで理解してもらっています。

私の場合は婦人科だけではなく、心療内科にも通院しているので、カウンセラーの先生にもアドバイスをいただいて、なるべく緊張しないような環境づくりを心がけていますよ。


更年期症状が、仕事にも影響を及ぼしてしまうとつらいですね....。リモートワークやフレックスタイム制度などを活用して、柔軟に働けるよう相談したり、適切な治療を受けて症状の改善に努めたりして、働きやすい環境を作ることが大切です。

更年期障害ではクリニックに行かなくても何とかなる?

「少し体調が悪いだけかもしれないし、休めば平気」「更年期症状 でクリニックに行くのは、歳を認めるようでなんだか嫌だ」といったふうに、クリニックに行くのを躊躇していませんか?

「もしかして、更年期症状かも?」と思ったら、まずはクリニックを受診することをおすすめします。婦人科や更年期外来では、更年期症状に合わせたさまざまな治療が用意されており、適切な治療を受ければ、心身の不調の緩和に役立ちます。


主な治療方法を、下記にまとめました。


更年期障害の治療方法
治療方法 内容
漢方薬 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、加味逍遙散(かみしょうようさん)、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)など
向精神薬 抗うつ薬や抗不安薬
プラセンタ療法 人の胎盤から抽出された有効成分の注射
ホルモン補充療法(HRT) エストロゲンという女性ホルモンの補填

さらに、40~50代は体全体に変化が現れる年代なので、更年期障害だけではなく、骨密度や血管系の検査、生活習慣病のリスクなどの検査を受けることで、疾患につながる前の予防が可能です。また、更年期症状と思っていたものが、甲状腺をはじめとするほかの病気のサインだったケースもあるため、不調を我慢せずにできるだけ早くクリニックに行きましょう。

適切なタイミングでクリニックを受診できるように、かかりつけの婦人科をもっておくことが望ましいです。あらかじめ相談先を決めておけば、更年期症状に気がついたときに、安心して受診することができます。


更年期症状を我慢してしまうのは、禁物ですよ。一人で抱え込まずに、信頼できる婦人科の先生に相談しましょう! なかなか説明しづらい症状であっても、きっと理解してもらえるはずです。

更年期障害で婦人科に通院した方の体験談

「更年期症状が気になったらクリニックに行ったほうがいいのはわかったけど、ほんとに改善されるのかな...」と不安に思われるかもしれません。また、通院にはお金がかかるうえ、仕事や家事で忙しい場合、時間を捻出するのもひと苦労ですよね。

そこでここからは、更年期症状にお悩みで、婦人科に通院している方にインタビューした内容を紹介します。通院のイメージや治療後の変化なども伺ったので、ぜひ参考にしてみてください。

【40代後半・会社員・出社とリモートワークを併用・りかこさん(仮名)の場合】

Q. 生活に影響を及ぼすほどの更年期症状から更年期障害を疑ったら、医療機関を受診するという発想はもともとありましたか? また、医療機関の受診前に、心理的な抵抗感はありませんでしたか?

A. PMSがひどくて30代からピルを服用しており、婦人科には以前から通っていたので、クリニックに行くことに抵抗はありませんでした。月経痛があまりにも重く「更年期症状かもしれない」と思ったときも、かかりつけの婦人科の先生に相談しました。

もともと、「身体の不調を感じたらクリニックに行く」という考えですし、医療機関をきちんと受診して治療を受けるほうが効果もより一層期待できますからね。あとは、更年期障害の治療は続けていく必要があるので、保険を適用したほうが費用面の負担も減らせて良いと思います。

女性誌で更年期の特集を読んだり、先に更年期を迎えているママ友に相談したりして、事前に知識をつけていたのも良かったかもしれません。

Q. 婦人科では、どのような治療を受けていますか?

A. プラセンタ療法や、実はビタミンCやにんにく注射も受けてはいるのですが、ホルモン補充療法(HRT)がメインですね。ピルを飲むのを辞めて女性ホルモンの量が一気に減少したので、ホルモン補充療法(HRT)でホルモンを補って、更年期症状を抑えています。

クリニックに抵抗がある方にとっては、通院するハードルは高いかもしれませんが、開始時期やリスクなどを医師に相談したうえで、ホルモン補充療法(HRT)を個人的にはおすすめしたいです。

Q. 治療を受けたことで、更年期症状は改善しましたか?

A. まだ通院して1か月ですが、治療の効果をかなり実感していますね!
たとえば、肌の調子や朝の目覚めなど、心身ともに整い始めていると感じることができています。

あとは、「治療を受けているし大丈夫」というお守りのような、心理的な安心感もあるかもしれません。

治療の初期に髪の毛がたくさん抜けたのはびっくりしましたが、今はきちんと生えそろったので安心しています。私の場合は、 治療は続けていくことで効果がさらに発揮されると思うので、引き続き通院予定です。

【40代前半・会社員・外回り中心・はるさん(仮名)の場合】

Q. 生活に影響を及ぼすほどの更年期症状から更年期障害を疑ったら、医療機関を受診するという発想はもともとありましたか? また、医療機関の受診前に、心理的な抵抗感はありませんでしたか?

A. 不妊治療と休職の関係で、婦人科と大学病院の精神科に通っていたので、たまたま更年期障害と診断されましたが、それがなければクリニックには行っていなかったと思います。

尋常ではない汗の量と今までにない不安感といった症状はあったものの、更年期症状があるからといってクリニックに行くという感覚がそもそもありませんでした。母親も更年期症状があったので 「更年期症状は50~60代になって自然に訪れる生理現象で、その時期が過ぎ去るのを耐えるものだ」というイメージをもってしまっていました。

通院自体には、私自身が医療機関で働いているのでそれほど抵抗感はありません。それでも、40代で更年期障害になるとは思っていなかったうえ、更年期に関する知識がなかったのも、通院に結びつかなかった原因かもしれませんね。

Q. 婦人科では、どのような治療を受けていますか?

A. ホルモン補充療法(HRT)を受けています。ただ、私の場合はそれだけでは汗が止まらなかったので、子どもの皮膚科の受診に合わせて多汗症の薬を処方していただいたら、汗が出にくくなりました。 ブラウスと下着の着替えを職場に持参して昼休みに着替えるほど、全身から汗が出ていたので、着替える必要がなくなって本当に嬉しいです!

個人差はあるかもしれませんが、ホルモン補充療法(HRT)だけでは、更年期のすべての症状を治すのは難しいかもしれません。婦人科にくわえて、専門のクリニックに行くのが近道だと感じていますね。

あとは、更年期症状を誰にも相談することなく、一人で抱え込んでしまうと余計に苦しくなってしまうと思います。そんな自分自身の経験を踏まえて、更年期症状に悩む同世代の同僚には、「クリニックに行ったほうが症状も気持ちも楽になるよ」とおすすめしています。

Q. 治療を受けたことで、更年期症状は改善しましたか?

A. 汗の量やにおいが気にならなくなり、それによって不安感や無気力も少しずつ改善されました。通院前はイライラ感から家族にあたってしまい、余計に落ち込むという悪循環だったのですが、治療を受けて穏やかに生活できるようになって良かったです。

ただ、症状は落ち着いたものの、「治療だけに頼っていると、もとに戻ってしまう」とも感じています。考え方を変えるしかないと思っていて、「どうしたら自分に優しく、どうやったら心地よく過ごせるのか」を意識的に考えるように心がけていますね。たとえば、一人で何も考えない時間を1日10分程度確保して、頭の中を空っぽにして心を落ち着けたり、日常的にストレッチしたりしています。


医療機関を受診して適切な治療を受けると、更年期症状の緩和につながるのは嬉しいですね。なかには、クリニックには抵抗がある方もいらっしゃるかもしれませんが、心理面・費用面の双方で通院にはメリットがあるので、まずは婦人科に足を運んでみてはいかがでしょうか。

更年期障害と付き合うためにできるセルフケア

更年期障害とうまく付き合うには、医療機関での治療にくわえて、セルフケアも欠かせません。年齢に関係なく心身を健やかに保つために、日常生活でできるケアをまとめてみました。

更年期障害と付き合うためにできるセルフケア

  • 十分な睡眠と休養をとる
  • ウォーキングやヨガなどの運動で適度に身体を動かす
  • たんぱく質やカルシウムのほか、ミネラルや大豆 イソフラボンを含む食事を摂取する
  • サプリメント(エクオールなど)や漢方薬を取り入れる
  • 骨盤底筋トレーニングアイテムを使用して骨盤を鍛える
  • 日々の心身の変化を日記やアプリに記録する
  • 相談できる仲間を見つける
  • 信頼できるかかりつけの婦人科をもつ

睡眠と運動、食事のバランスがとれた規則正しい生活を心がけることは、なによりも大切です。寝つきが悪いときには、瞑想やリラクゼーション効果のある音楽を取り入れるのも良いかもしれません。

必要に応じて、エクオールやその他のサプリメント、骨盤底筋トレーニングアイテム、吸水ショーツといったフェムテック・フェムケアアイテムを利用してみるのもおすすめです。フェムテックの概要や、最新のフェムテック・フェムケアアイテムについては、こちらの記事に詳しく紹介しておりますので、お役立てください。

関連記事:更年期の方におすすめのフェムテック・フェムケアアイテム7選

また、ストレスも心身に悪影響をもたらすので、趣味をはじめとする好きなことで気分転換を図ったり、相談相手に話を聞いてもらったりして、ストレスを発散したいところです。

ただし、これらのセルフケアはあくまでも症状を軽減するためのものです。更年期症状は人によって異なり、適切な治療を受ける必要があるため、「普段の体調と違うな」と感じる状況が続いたら、信頼できる婦人科の先生に相談しましょう。


いかに規則正しい生活習慣を送れるかどうかが、健やかな毎日を送るためのポイントになってきます。ヨガやフェムテックアイテムを取り入れたり、相談できる相手を見つけたりして自分に合ったストレスの解消方法を見つけ出すのが重要ですね。特に症状について相談できるかかりつけの婦人科を見つけることもとても大切です。とにかくご自身の心身を労わって、更年期障害を乗り越えたいものです。

更年期障害を疑う症状が気になったらクリニックに行って適切な治療を受けましょう

本記事では、更年期障害を疑った際にどうするべきなのか ? といった疑問に対する答えを体験談とともに紹介しました。

更年期障害は、閉経前後の10年間に現れるさまざまな症状が原因で、日常生活に支障が出てしまい、治療が必要な状態を指します。症状がつらいと感じていても、個人差が大きいうえに仕事や家事で忙しく、クリニックに行くのを躊躇している方が少なくありません。

しかし、更年期症状が気になったら、まずは婦人科を受診することをおすすめします。適切な治療を受ければ、心身の不調の緩和につながるためです。
更年期症状を我慢したり、一人で抱え込んだりするのは禁物です。婦人科の先生に相談して、更年期症状とうまく付き合っていきましょう。

※掲載している情報は、記事公開時点のものです。
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