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美容エステ専門家 手塚圭子さんに聞く、トレンドになったVIO脱毛【後編(全2回)】

街中の広告やSNSなどで、今や"脱毛"の文字はそう珍しくないものとなりました。人目に触れる部位にとどまらず、VIOの脱毛までプランに組み込んでいるサロンやクリニックも多くあります。
しかしそれは、ここ数年~10年程度で起きた変化であり、かつて脱毛はあまり一般的ではなかったことをご存じでしょうか?

街中の広告やSNSなどで、今や"脱毛"の文字はそう珍しくないものとなりました。人目に触れる部位にとどまらず、VIOの脱毛までプランに組み込んでいるサロンやクリニックも多くあります。
しかしそれは、ここ数年~10年程度で起きた変化であり、かつて脱毛はあまり一般的ではなかったことをご存じでしょうか?

【前編】の記事に引き続き、一般社団法人 日本スキン・エステティック協会の手塚圭子理事へのインタビューをお届けします。
専門家の観点から、VIO脱毛の近年の傾向や、これまでのトレンドの移り変わりについてお話しいただきました。

なお、前編の記事はこちらからご覧ください。
美容エステ専門家 手塚圭子さんが語る、フェムケア観点でのVIO脱毛によるメリット【前編(全2回)】

VIO脱毛は、ILACY世代の新しいトレンド

――ここ数年、VIO脱毛を受けられる方には、どのような傾向がみられますか?

手塚さん(以下、手塚):40代以上の方が多い印象ですね。【前編】の記事でもお伝えしましたが、親御さんの介護をきっかけに「自分が将来、介護を受けるときに備えて、今のうちに脱毛しよう」と考えられるようになった方が増えているようです。
いわゆる"介護脱毛"とよばれるもので、タレントの大久保佳代子さんがTV番組で言及されたことをきっかけに社会的な認知が広まったと思います。
またそれだけでなく、フェムケアの延長で「自分をいたわる」という意味でVIO脱毛を受けられる方も多くいらっしゃいます。

――40代以上というと、ちょうどILACY世代にあたる方々ですね。脱毛の広告には若いモデルさんもよく起用されているので、少し意外かもしれません。

手塚:今の40代は若い頃にビキニラインの脱毛が流行った世代なので、その延長線上でVIO脱毛を受けられている......と考えると納得がいきます。
ビキニラインというのは文字通り、ビキニのボトムからはみ出る範囲の毛のことで、今のVラインにあたります。かつてビキニラインの脱毛を受けたことのある方でしたら心理的な抵抗も少なく、当時の感覚でIライン・Oラインまで脱毛を受けよう! という気持ちになるのかもしれません。

――ちなみに、男性にもVIO脱毛を受けられる方はいらっしゃるのでしょうか?

手塚:最近は男性も増えてきました。かつては「ヒゲや体毛があるほうが、男らしい」という価値観が主流だったと思いますが、その価値観も変化しつつあります。芸能人やアスリートも、ヒゲ・体毛ともに脱毛してツルツルになっている方が多いので、その影響でVIOを含めて脱毛する流れが男性にも来ているのだと思います。

かつてのオリンピックと、2024年のパリオリンピックの選手を見比べても、その違いがわかるのではないでしょうか。男性の選手は腋毛が生えているのが一般的でしたが、最近は男性の日本人選手でも脱毛している方が多くみられます。

ひっそりと脱毛を受ける時代から、美容感覚で脱毛する時代へ

――「価値観の変化」というお話がありましたが、脱毛そのものにもトレンドの変化があるのでしょうか。

手塚:今でこそ脱毛は、一般的な美容施術と同じような感覚で扱われつつありますが、かつてはもっと「隠れてするもの」という風潮でした。ドラッグストアでも、脱毛クリームやカミソリのコーナーは、ひっそりと目立たない場所にあったほどです。
それが今や、脱毛アイテムが店頭の目立つところに並び、お友達同士でも「脱毛に行ってきたよ」とごく普通に会話するような世の中になってきています。

日本国内で脱毛という文化が広まった最初のきっかけは、女性の社会進出にあると思います。女性が社会に出るようになったことで、服を着ている状態でも見える腕や脚、それから腋の毛を身だしなみとして脱毛するようになりました。
その後、ビキニやハイレグが流行したことで"第一次脱毛ブーム"、さらに2000年代に光脱毛が登場したことによって"第二次脱毛ブーム"といえる現象が起きました。ビキニラインを脱毛する女性が多かった当時は、サロンのエステティシャンは一日中、お客様のビキニラインの脱毛をしていたというイメージです。
こうして、脱毛をタブー視する風潮が徐々に薄れてきたように思います。

――服を着ている状態で見える場所から、見えない場所の脱毛に、徐々にトレンドが変化していったのですね。

手塚:そこからさらに、Iライン・Oラインの脱毛も注目を浴びていくこととなります。大きな背景としては、アメリカの映画『セックス・アンド・ザ・シティ』(2008)の存在が挙げられます。
映画のなかでブラジリアンワックスを使ってフェムゾーンの毛を脱毛するシーンがあり、その影響を受けてVIOを脱毛する女性がだんだんと増えてきました。

映画の影響ですぐにVIO脱毛が浸透したわけではありませんが、「フェムゾーンの毛を脱毛する」という概念が日本国内でも認知されたことで、今の基盤が築かれたと思います。そこから10年、15年と経って、脱毛自体がタブー視されず、多くの方がVIOまでも脱毛する......といった現在のトレンドに辿り着いたということですね。

多くの方が「毛がない快適さ」を知る時代へ

――これからの世の中で、女性にとってVIO脱毛はどのような存在になっていくのでしょうか? 手塚さんの考えをお聞かせください。

手塚:今よりもさらに脱毛が一般的になって、たとえば職場の方とも「VIO脱毛してきたんだ」と気軽に話せるようになるといいな、と思いますし、そうなっていくと信じています。

「かつてタブー視されていたものが、一般的な存在になった」という経緯がありますので、少なくとも逆行していくことはないと思います。VIOに限らず、従来の腕や腋でも多くの女性が"毛がないこと"による快適さを知ったので、それを一度知ると「もとに戻そう」とは思えないですよね。

また【前編】の記事でお伝えしたように、ご自身のためのケアとしての脱毛という選択肢もあります。
フェムケア自体が、近年日本でも注目を浴びるようになってきているので、その一環としてVIO脱毛も今後より多くの方に選ばれるのではないかと思います。

これからもどんどん"脱毛を経験した方"が増えていきますので、そういった方が親世代になり、親から子へ脱毛をすすめる、といった流れが生まれると素敵ですよね。

カジュアルに脱毛を受けられる世の中に

【前編】に続き、一般社団法人 日本スキン・エステティック協会の手塚圭子理事へのインタビューをお届けしました。

今や多くの方にとって美容の選択肢の一つとなりつつある脱毛に、これまでの時代の変化があることがわかりました。
腋やビキニラインの脱毛やブラジリアンワックスなど、トレンドの移り変わりもありましたが、いずれも共通しているのは女性が"自分らしさ"を楽しむことが背景にある点です。
VIO脱毛はフェムケアの一環としても注目されつつあるので、より楽しく自分らしい日々を送るためにも、VIO脱毛にチャレンジしてみませんか?

(取材・文:城下透子)

profile

手塚圭子

手塚 圭子(てづか けいこ)

医学博士・保健学博士

一般社団法人 日本スキン・エステティック協会理事。ほかにも数多くの美容関連団体の役員を務める。
『美人のつくりかた』(光文社 知恵の森文庫)『キレイのきほん』(大和出版)など著書多数。
東京大学医学部に在籍中、第9回1977年度ミス日本グランプリを受賞。現在はミス日本コンテスト審査員を務めるほか、脱毛やアンチエイジングをはじめ、エステティック関連分野の研究を続けている。

一般社団法人 日本スキン・エステティック協会 公式Webサイト:https://jsa-cpe.org/

※掲載している情報は、記事公開時点のものです。
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この記事は、働く女性の医療メディア
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