更年期におすすめ!女性ホルモンのバランスを整えるツボ(2025年更新版)

更年期を迎えた女性は、卵巣機能の低下によって女性ホルモンのバランスが乱れやすく、体の不調を訴える人も少なくありません。そんな女性の不調の改善に役立つのが、ツボ押しです。これまでも、当連載ではさまざまな更年期症状を軽減するためのツボをご紹介してきました。
一方で、ピンポイントで不調に役立つものというよりは、更年期症状と密接に関連する女性ホルモンのバランスを整え、総合的な体の不調緩和を促すツボもあるといいます。
今回は、更年期の正しい情報と対策を伝えるNPO法人ちぇぶらの代表理事で、更年期トータルケアインストラクターの永田京子さんに、ツボ押しにフォーカスした女性ホルモンのバランスを整える方法を紹介していただきました。
※本記事は、2020年9月29日公開版を更新したものです
ツボの働きとはどんなもの?
――ツボの存在を知っている人は多いと思いますが、ツボとはそもそもどういったものなのでしょうか?
ツボはWHO(世界保健機関)でも正式に認められているもので、全身に360個以上あるといわれています。ツボを刺激することで、「気血水(きけつすい)」という要素の流れが整い、不調の改善が期待できるといわれているんです。
――気血水とは何でしょうか?
これは、東洋医学の考え方に基づいたもので、私たちが健康を保つために欠かせないもの。
気血水はそれぞれ、「体のエネルギーの源」「全身に血や栄養を届ける」「全身に潤いを届ける体液」を意味します。
- 気...体のエネルギーの源
- 血...全身に血や栄養を届ける
- 水...全身に潤いを届ける体液(血液以外)
東洋医学では、この気血水が相互に影響し合うことで心身がすこやかに保たれると考えられていますので、それぞれのバランスが整っていることが大切。気血水のいずれかが満たされていないと全体のバランスが崩れ、体に不調をきたします。
ツボは、神経や筋肉、血管の上にあることが多いため、ツボを押すことで、ジーンと深層に響くような感覚があったり、血流が良くなって冷えやむくみが解消されたりすることがあります。これは、「気血水」のバランスが整うために起こること。
このように、ツボを押すことで直接的に症状が緩和されるというよりは、「気血水」のバランスが整いやすくなるため、心身のさまざまな不調の改善につながり、健康が保たれると考えられているのです。
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女性ホルモンのバランスを整える3つのツボ
――では、女性ホルモンのバランスを整えるのに、おすすめのツボを教えてください。
今回ご紹介するのは「三陰交(さんいんこう)」「血海(けっかい)」「陰陵泉(いんりょうせん)」という3つのツボです。
どれも女性ホルモンのバランスを整えるのにおすすめなのですが、それに加えて、それぞれ特徴的な作用を持っています。
三陰交(さんいんこう)...生理トラブル、ホットフラッシュ、冷え・むくみに◎
内くるぶしに小指を添え、そこから指4本分上の骨のきわにあるのが三陰交です。
このツボは「女性の不調に対する万能のツボ」ともいわれていて、生理トラブルのほか、ホットフラッシュや冷え、むくみといった更年期の諸症状にも効果が期待できます。
押し方は親指の腹を使って5秒間、ご自身が痛気持ちいいと感じるくらいの強さで押してあげましょう。これを、左右それぞれ5回ずつ繰り返します。
血海(けっかい)...プレ更年期にもおすすめ。生理痛や冷え、倦怠感の緩和に◎
ひざのお皿の内側から指3本分くらい上に上がった場所にあるのが血海で、その名のとおり、血流を良くするツボです。
「婦人科系に良いツボ」といわれ、特に下腹部の血流が良くなるので、生理痛や冷えなどの改善につながるほか、血の巡りが良くなることで全身の倦怠感の緩和が望めます。
また、このツボは30代後半~40代半ばのプレ更年期にあたる方にもおすすめ。この時期は、更年期症状に似た不調が出やすくなるのですが、これは卵巣機能の低下によって女性ホルモンの分泌量が減少しているからではなく、体の冷えや生活習慣の乱れが原因であることが多いんです。
そこで、血海を押してあげると子宮や卵巣周りの血流が良くなり、不調の改善が期待できますよ。
血海を押すときは、手のひらの親指の付け根部分を使って、5~10秒くらいしっかり押してあげましょう。ポイントを押すというより、全体をマッサージするようにほぐしてあげるのもおすすめです。こちらも、左右5回ずつ押してください。
陰陵泉(いんりょうせん)...むくみ、胃腸の不調などに◎
ひざ下の内側にあるくぼみから、指4本分下がったあたりにあるくぼみが陰陵泉。押すと軽く痛みがあります。
「湿気取りのツボ」といわれるほか、ホルモンバランスを整えるツボとしても有名です。「泉」という字が使われていることからも想像できるとおり、むくみや夏バテ、食欲不振、下痢といった胃腸の不調など、体内に水が溜まっていることで起こる症状に効果的といわれています。
このツボも親指の腹を使い、痛気持ちいいくらいの強さで5秒間、左右5回ずつ押してあげましょう。
手軽にできるツボ押し。注意点は?
――これらのツボを押すときに気を付けたほうがいいことはありますか?
この3つのツボに限ったことではありませんが、アザができてしまうほど強く押すのは避けましょう。細胞が傷付いてしまう可能性がありますし、何より痛さのほうが勝ってしまったら続けられないですよね。
ご自身の感覚で心地いい、あるいは痛気持ちいいと思うくらいの強さを目安にしていただくのがいいと思います。
――強く押すほど効果があるような気がしていましたが、それは誤りなんですね。
そうですね。また、ツボ押しというと、先の尖ったものでグリグリ押すイメージがあるかもしれませんが、ツボの位置をピンポイントで押すのは、専門の知識を持っていないと難しいんです。そのため、多少位置がずれていてもツボの周囲を刺激できるよう、指の腹や手のひらを使って押すのがおすすめです。
――ツボを押すのに適したタイミングはありますか?
基本的には、いつ押していただいても大丈夫です。よく、目が疲れると目頭を押したり、肩がこると首の付け根をマッサージしたりしませんか?実はそこがツボで、私たちは知らず知らずのうちに押しているんです。
そのように、何か不調を感じたときに押すというのでも、問題ありません。また、今回ご紹介した3つのツボは、血や水の巡りを良くしてくれるので、寝る前に押してあげると、寝ているあいだに老廃物が流れて、翌日はスッキリした気分になると思います。
ただ、血流が急激に良くなることで、まれに気分が悪くなる方もいます。そのときは、すぐに押すのをやめてくださいね。
――ツボは毎日押したほうがいいのでしょうか?
習慣化することによって不調が出にくくなるとは思いますが、毎日絶対に押さなくてはいけないものではありません。それよりも、「こういう症状のときはこのツボを押せば楽になる」という、自分が陥りやすい症状への対策法として持っておくと、更年期症状に悩む女性にとってはプラスになるのではないでしょうか。
そういった自身のメンテナンス方法として、ツボ押しを取り入れてもらえたらと思います。ぜひ参考にしてみください。
体の調子を整えるツボはある?
永田京子さんによる「女性ホルモンのバランスを整える3つのツボ」についての、貴重なお話をお届けしました。
ここからは、インタビュー内容と関連して、女性に役立つツボの情報をお伝えします。
今回紹介するのは、女性の体の調子を整えるツボです。
女性のみなさまなら、「大切な予定に合わせて体のリズムを整えたい」とお思いになったことがあるのではないでしょうか。そんなときはぜひ、これからお伝えするツボを押してみてください。
ただし前提として、今回紹介するツボは、ホルモンバランスおよび生理周期を自力でコントロールできるようになる、というものではありません。その点をご了承のうえ、日常生活のお役立ち情報としてご覧ください。
女性の体の調子を整えるツボ
それではさっそく、一つずつツボを見ていきましょう。実際に、ご自身の体でツボの場所を確認しながらご一読いただくことで位置も覚えやすくなるので、いつでもどこでも手軽にツボ押しできるようになります。
足三里(あしさんり)
足三里とは、ひざのお皿の外側下から指4本分下あたり。疲労回復の効果を期待できることから、「養生のツボ」ともよばれています。
なぜ疲労回復を期待できるのかというと、足三里の刺激によって、全身の血液の巡りが整うと考えられているためです。血流が良くなることで全身に酸素や栄養が行き渡り、ハツラツとした日々を過ごせるようになります。
そして全身に血液が巡るということは、もちろん子宮や骨盤にも循環します。血液が循環して子宮や骨盤にも栄養が行き渡ることで女性器周辺が元気になり、その結果、生理周期の安定や生理痛の緩和を期待できるというわけです。
足三里を刺激する際は、手の親指などを使い、心地よく感じる強さで押す動きを、20回ほど繰り返してみてください。
湧泉(ゆうせん)
足の指をぎゅっと丸めたときに、足裏の真ん中あたりに出てくる、くぼんだ部分が湧泉です。湧泉は「生命力が泉のように湧き出る」という名前の由来の通り、血流の改善によりさまざまな効果を見込めることから、足の裏のなかでは「万能のツボ」と称されているほどです。
湧泉に刺激を与え、血流が改善することで自律神経が整い、ひいてはホルモンバランスの乱れの改善に期待できます。
押し方は足三里と同じく、手の親指などを使って押す動きを20回程度繰り返します。
太衝(たいしょう)
足の甲の、親指と人差し指の骨が合流する点より指先に少し近い、くぼんだ部分に位置しているのは太衝とよばれるツボです。
太衝を刺激することが、なぜ体の調子を整えることにつながるのかというと、それは東洋医学における次のような考え方に基づいているためです。
東洋医学では、感情と臓器は密接に関係していると考えられています。なかでもイライラや怒りといった感情は、肝臓と深い関係にあるとされており、肝臓を通る「経絡(けいらく)」とよばれる通路にあるツボが太衝なのです。
太衝を刺激して肝臓の疲れを軽減させることで精神が安定し、ストレスにより崩れていた体のリズムが、本来のサイクルを取り戻す可能性があります。
太衝は、手の親指で5秒押してゆっくり離す、を片足5回ずつ行って、刺激しましょう。
関元(かんげん)
関元は丹田(たんでん)とも呼ばれ、おへそから指4本分下にあるツボです。生理不順や生理痛の改善に効果を期待できます。
気力やエネルギーの集まる場所と知られ、関元を刺激したり温めたりすることで血行が促進され、生理不順や生理痛の緩和だけでなく、全身の調子までも整えられるのです。
関元は、円を描くように優しくなでながらマッサージしたり、カイロなどで関元を温めると、冷えが改善されて効果的です。
至陰(しいん)
至陰とは、足の小指の爪の生え際から、約3mm外側の位置にあるツボです。
生理不順や生理痛、更年期障害など、女性特有の不調を緩和できるとされています。このことから東洋医学では、女性の健康に特に重要な役割を果たすツボであると考えられています。また婦人科系の症状にくわえて、ストレスや不眠の改善にも効果を発揮し、精神的な安定も期待できるので、忙しい日々を過ごす女性は覚えておきたいツボの一つです。
至陰を刺激する際は、足の小指を少し強めにつまみ、パッと離す動きを1~2分ほど繰り返しましょう。
隠白(いんぱく)
隠白は足の親指の爪の根元、内側に位置しています。
隠白を押すことで期待できる婦人科系の症状への効果は、生理時における過度な出血の抑制です。また、精神を落ち着かせる効果があり、イライラ感の解消にもつながります。
隠白の押し方は、呼吸を止めずに5秒かけて押し込み、5秒かけてゆっくり離すことです。これを、片足3~5回ずつ行ってみてください。
ツボ押しをするときの注意点
場所を問わず手軽にできるツボ押しですが、いくつかの点に注意しなければ、思わぬ体調不良を引き起こしてしまうかもしれません。ツボ押しを安全に行うためにも、以下の注意点をきちんと押さえておきましょう。
ツボ押しをするときの注意点
- 食後すぐは避ける
- 前後の飲酒は避ける
- 妊娠の可能性がある場合は医師に相談する
ツボ押しを食後1時間以内に行うと、消化不良を起こす可能性があります。それは、本来ならば食後の消化を助けるために胃腸に集中すべき血液が、ツボ押しによって、全身に分散してしまうためです。血液が分散されることで、食べた物を胃腸がうまく消化できずに、胃もたれや吐き気といった不調を引き起こします。
またツボ押しの前後は、飲酒もお控えください。血行が促進され、アルコールのまわりが早くなってしまいます。飲酒した場合はツボ押しを避け、ツボ押しのあとに飲酒する際は、最低でも30分は時間をあけることが重要です。
そして、妊婦はもちろん妊娠している可能性がある方も、ツボ押しを控えたほうがよいとされる考え方もあります。これは、婦人科系の臓器にはたらきかけるツボを押すことで子宮を収縮させることがあり、胎児に影響を与える可能性がゼロではないためです。妊婦または妊娠の可能性がある方がツボ押しを行う場合は、事前に産婦人科の医師にご相談ください。
女性ホルモンのバランスを整えるにはツボ押しがおすすめ!気持ちよく刺激して健やかな日々を
今回はNPO法人ちぇぶらの代表理事で、更年期トータルケアインストラクターの永田京子さんへのインタビュー内容を紹介するとともに、女性の体の調子やリズムを整えるツボについてお伝えしました。
女性ホルモンのバランスを整えるツボは、三陰交・血海・陰陵泉です。これらを刺激すれば、更年期や生理による不調の緩和につながります。
また、「身体のリズムを整えたい」という方には、「気」や「血」の流れが整う、足三里・湧泉・太衝・関元・至陰のツボ押しがおすすめです。
今回紹介したツボを適度に刺激し、体と心を整えることで、笑顔の絶えない日々をお過ごしください。
お話を伺ったのは...
永田京子(ながた・きょうこ)さん
兵庫県出身、愛知県小牧市在住。2児の母。東映アカデミーに所属し、役者として舞台やドラマなどで活躍した後、ピラティスや整体、経絡、アロマ、リフレクソロジーなどを学び、ピラティス指導者、産後ケアのインストラクターとしての活動を開始。受講者の声と、更年期障害が悪化して苦しむ母を見ていた経験から、女性ホルモン・更年期の正しい情報と対策を伝える「ちぇぶら」を創設した。「ちぇぶら」は更年期を英語でいう「the change of life」の意。著書に「女40代の体にミラクルが起こる! ちぇぶら体操」(三笠書房)があるほか、「はじめまして更年期」(青春出版社)、「ふりまわされない! 更年期」(旬報社)が発売中。
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※掲載している情報は、記事公開時点のものです。
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