40代を過ぎた頃から増えてくるのが、「老眼になった」「目がかすむ」といった目にまつわる悩み。また、現代社会においてはパソコンやスマートフォンなどで目を酷使する機会も増えているため、こうした症状が起こりやすくなっているといわれています。
更年期を迎えた女性にとって、目の疲れは「年齢的に仕方がない」とあきらめがちですが、放っておくと視力の低下や頭痛といったトラブルにつながる可能性も。今回は、更年期の正しい情報と対策を伝えるNPO法人「ちぇぶら」の代表理事で、更年期トータルケアインストラクターの永田京子さんに、目の疲れの予防・改善に役立つエクササイズを教えていただきます。
誰もが避けて通れない目の疲れの原因とは?
――更年期を迎える頃になると、それまで以上に目の疲れを感じやすくなるといわれますよね。
私たちのセミナーにいらっしゃる方も、そういった症状を実感されていることが多いです。それは、女性のみならず男性もですが、大多数の方が40歳を超えたあたりから目のピントが合いづらくなってくるんです。
これは老化の一種で、いろいろな予防法が登場しているとはいえ、避けては通れないもの。生きていれば誰でも老眼になります。
――老眼の原因は何ですか?
加齢によって、レンズの役目をする水晶体が硬くなってしまうほか、ピント調節を行う毛様体筋(もうようたいきん)という筋肉の働きが低下することで起こります。
そんな中、老眼で見えづらいのに無理して見続けることによって、毛様体筋が筋肉疲労を起こし、目の疲れにつながるのです。
――なるほど。老眼以外の原因もありますか?
現代人は、パソコンで仕事をしたり、スマートフォンが身近にあったりするので、年齢に限らず多くの人が目を酷使しながら生活している状態。それによって、毛様体筋が筋肉疲労を起こすこともあります。
また、更年期の女性の場合は、女性ホルモンが低下することで目の周辺の血流が悪くなり、それが目の疲れにつながってしまうことも考えられるのです。
今回は、原因にかかわらず、目の疲れを感じたときに行っていただきたいエクササイズをご紹介しますね。
眼球や目の周りの筋肉を動かして疲れを解消!
このエクササイズをすることで、目の疲れの原因となる眼球の緊張緩和や目の周りの血行を良くすることができます。さっそくやり方をご紹介しましょう。
<目の疲れに効くエクササイズ>
1. 手にペンを持ち、腕を伸ばした状態でペン先を見るなど、視点を固定します。
2. 視点を固定したまま、顔を左右に5回ずつ動かします。
3. 次に、視点を固定したまま、頭を上下に5回ずつ動かします。
4. 視点を固定したまま、頭をグルッと1回転させましょう。
――目の疲れのケアというと、眼球だけをぐるぐると動かすエクササイズも知られていますよね。今回は視点を一点に固定するものですが、どういった違いがあるのでしょうか?
目の疲れには眼球を動かすことが大切です。ですが、眼球だけを動かすと目が回ってしまうため、あまりおすすめできません。特に更年期を迎えた女性の場合は、その時期に起こりやすい症状のひとつに「めまい」がありますから、眼球だけ動かすのは避けたほうがいいでしょう。
その点、今回のエクササイズであれば、視点が固定されているのでめまいを感じづらいですし、首も動かすことで首のストレッチにもなります。
――エクササイズを行うときのポイントはありますか?
エクササイズをする際、首をしっかり左右・上下に振れていないと眼球もあまり動きませんので、眼球が動いているのを感じるくらいしっかり動かすことが大切です。
――どんなときに行えばいいでしょうか?
目の疲れを感じたときはもちろん、長時間のパソコン仕事やスマートフォン操作をしているときは、合間に取り入れるといいと思います。
目の疲れをそのまま放置しておくと、老眼の場合はそれが進行したり、視力が下がったり、さらには頭痛や肩こりを引き起こすことも。そのため、こまめに動かして目の疲れを溜め込まないようにすることが重要です。
また、エクササイズを行える環境にない場合は、「太陽(たいよう)」という目の脇にあるツボを刺激するのもいいでしょう。
<目の疲れに効くツボ>
太陽(たいよう)
目尻と眉尻の中間から約2cm後ろにある、骨の際のわずかなくぼみが「太陽」です。このツボを押すと目の周りの筋肉がほぐれて、視界がパッと明るくなるような感覚があると思います。
目が疲れたなと思ったら、ここを優しく押したり、マッサージしてあげたりしてください。その際、指が滑って目に入らないように、人差し指・中指・薬指の3本を使って行いましょう。
目の疲れくらい...と思われるかもしれませんが、疲れ目が引き起こす症状はさまざまあります。ひどくならないうちにエクササイズでまめに解消していきましょう!
お話を伺ったのは...
永田京子(ながた・きょうこ)さん
兵庫県出身、愛知県小牧市在住。2児の母。東映アカデミーに所属し、役者として舞台やドラマなどで活躍した後、ピラティスや整体、経絡、アロマ、リフレクソロジーなどを学び、ピラティス指導者、産後ケアのインストラクターとしての活動を開始。受講者の声と、更年期障害が悪化して苦しむ母を見ていた経験から、女性ホルモン・更年期の正しい情報と対策を伝えるNPO法人「ちぇぶら」を創設した。「ちぇぶら」は更年期を英語でいう「the change of life」の意。著書に「女40代の体にミラクルが起こる! ちぇぶら体操」(三笠書房)があるほか、先日「はじめまして更年期」(青春出版社)が発売したばかり。
NPO法人ちぇぶらホームページ
YouTube「ちぇぶらチャンネル」
「はじめまして更年期」(青春出版社)
著:永田京子 定価:1,540円