更年期を迎えた女性の多くが、片頭痛に度々悩まされるといいます。ひどいときは吐き気をもよおす場合もあるなど、生活の質を著しく下げる、つらい症状です。
片頭痛には、寝不足や疲労、気圧の変化など、さまざまな原因が考えられますが、更年期トータルケアインストラクターの永田京子さんによると、女性ホルモンの変動が影響していることも考えられるそう。
そこで今回は、片頭痛の特徴や女性ホルモンとの関係のほか、予防・改善におすすめのツボについて教えていただきました。
更年期の女性に片頭痛が多い理由
――片頭痛に悩まされている人は年齢に限らず多くいますが、更年期に入ってから片頭痛が発症するケースもあるのでしょうか?
はい、多いと思います。更年期の女性に起こりがちな頭痛には、大きく分けて「片頭痛」と「緊張型頭痛」の2種類があるのですが、中でも片頭痛の有病率は30~40代の女性が最も多いといわれています。
――片頭痛の痛みとはどういったものでしょうか?
片頭痛は、何らかの理由で脳の血管が拡張することで起こります。名前のとおり、頭の片方だけが脈拍に合わせてズキンズキンと痛み、ひどい場合は痛みで眠れなかったり、吐き気をもよおしたりすることも。歩いたり、走ったり、体を動かすことで痛みが増すのが特徴といえますね。
一方の緊張型頭痛は、頭の周りや、首から肩、背中にかけての筋肉が緊張することで起こります。こちらは、頭の全体が締めつけられるように痛むという特徴がありますので、頭がどのように痛むかによって、片頭痛か緊張型頭痛かを見分けることができますよ。
――更年期の女性に片頭痛持ちが多い原因として、どんなことが考えられますか?
詳しいメカニズムは解明されていないのですが、女性ホルモンの影響が大きいと考えられています。というのも、片頭痛は更年期以外にも、月経前や出産後など、女性ホルモンが急激に減少するときに発症することが多いんです。
また、閉経後は片頭痛に悩まされなくなったとおっしゃる人も非常に多くいるため、女性ホルモンと片頭痛には何かしらの関係があるといわれています。
――女性ホルモンの変動で片頭痛が起こるのは仕方がない部分はあると思うのですが、生活の中で予防・改善する方法はありますか?
睡眠不足やストレスなども頭痛の原因になりますので、日頃から適度な運動をしたり、バランスのいい食事をとったりなど、規則正しい生活を心掛けることが大切です。
ただし、片頭痛の痛みがあるときは、ストレッチなど体を動かしたり、マッサージをしたりするのは避けてください。血流が良くなることによって、ますます痛みが増幅してしまいます。
同様に、アルコールやカフェインの摂取も控えましょう。片頭痛のときは冷やしたタオルなどで痛む部分やこめかみ、首筋の太い血管のあたりを冷やして、なるべく安静に過ごすようにしてください。
ツボを押して片頭痛を予防・改善
――片頭痛を改善するツボがあるとのことですが、ツボを押すことで血流が良くなり、痛みが増してしまうことはないのでしょうか?
今回ご紹介するツボは、「足臨泣(あしりんきゅう)」と「片頭点(へんとうてん)」「太陽(たいよう)」の3つになります。
足臨泣は足、片頭点は手と、頭から遠いところにあるため、刺激したからといって急激に血流が良くなって痛みが増すことはありません。安心して試していただいて大丈夫ですよ。
また、太陽は頭に近いところにあるツボですが、刺激の仕方にコツがありますので、追ってご紹介します。
――それは良かったです!では、それぞれのツボについて教えてください。
1つずつ順番に説明していきますね。
足臨泣
足の小指と薬指の、骨の付け根のあいだにあるのが足臨泣です。ここを、ご自身が「痛気持ちいい」くらいの圧で5秒間、3~5回程度押してください。
片頭点
片頭点は、薬指の第二関節の小指側の側面にあります。反対側の手の指で第二関節を挟むようにし、揉むような感じで優しく押してあげるといいでしょう。こちらも5秒間、3~5回程度でOKです。
足臨泣と片頭点は、片頭痛のときに押すことで痛みの改善が期待できるだけでなく、普段から押してあげると片頭痛の予防につながるといわれています。
太陽
痛みがあるときは、こめかみ部分にある太陽(たいよう)を手で押さえるのもおすすめです。指の腹や手のひらで、ちょっと圧を感じる程度の強さで押さえてあげると、痛みが緩和されます。
その際、ツボを「揉む」のではなく「押さえる」のがポイントです。片頭痛のときは血流を良くしてはいけないので、どちらかというと血流を阻害するイメージで圧迫するといいですよ。
――片頭痛持ちの人は、いつ痛みが出るかわからないので不安ですよね。このように、ツボを押すことで予防・改善できると安心します。
片頭痛は本当につらいですよね。また痛くなったらどうしようとか、痛みが続く怖さによる緊張感や不安感を抱いている人も多いと思うのですが、それらが体の不調を増幅させてしまうこともあります。
片頭痛のときはこのツボを押せばいいと知っておくだけでも安心につながると思いますので、ぜひ覚えておいてほしいです。
ただ、ツボを押しても改善しないほどひどい場合は、頭痛外来など医療機関に頼ることをおすすめします。つらい症状を我慢せず、自分の状態に合ったケアを選択してくださいね!
お話を伺ったのは...
永田京子(ながた・きょうこ)さん
兵庫県出身、愛知県小牧市在住。2児の母。東映アカデミーに所属し、役者として舞台やドラマなどで活躍した後、ピラティスや整体、経絡、アロマ、リフレクソロジーなどを学び、ピラティス指導者、産後ケアのインストラクターとしての活動を開始。受講者の声と、更年期障害が悪化して苦しむ母を見ていた経験から、女性ホルモン・更年期の正しい情報と対策を伝えるNPO法人「ちぇぶら」を創設した。「ちぇぶら」は更年期を英語でいう「the change of life」の意。著書に「女40代の体にミラクルが起こる! ちぇぶら体操」(三笠書房)があるほか、先日「はじめまして更年期」(青春出版社)が発売したばかり。
NPO法人ちぇぶらホームページ
YouTube「ちぇぶらチャンネル」
「はじめまして更年期」(青春出版社)
著:永田京子 定価:1,540円