年齢を重ねるにつれ、ボディラインが崩れたり、シミやしわが増えたり、見た目の変化が目立ってくる40代。ですが、できればいつまでも若々しくありたいものですよね。
更年期トータルケアインストラクターの永田京子さんによると、老化を加速させるのは加齢だけでなく、体の柔軟性が失われていることも要因のひとつに挙げられるそうです。
そこで今回は、体をやわらかくすることが若々しさにつながる理由と、今からでも柔軟性を高められるストレッチを、永田さんに教えていただきました。
体が硬くなる一番の原因は運動不足
――女性ホルモン(エストロゲン)の減少による筋力の低下と、体の硬さが影響しているのでしょうか?
確かに、エストロゲンが減少すると、筋肉や関節は硬くなっていきます。でも、それに輪をかけるのが運動不足。スポーツ庁が2021年に発表した「スポーツの実施状況等に関する世論調査」によると、週1日以上のスポーツ実施率は、全世代の中で最低の30代女性に次いで低いのが、40代女性なんです。
例えば、デスクワークなどで長い時間同じ体勢でいると、いざ体を動かそうとすると思うように動かせないことってありますよね。それと同じで、運動不足の人は全身の筋肉が凝り固まってしまうんです。
さらに、エストロゲンの分泌が減って関節や筋肉の動きが悪くなることで、ますます体の柔軟性が損なわれてしまいます。
――体が硬いと、どのようなトラブルが生じるのでしょう。
筋肉が硬くなって体の柔軟性がなくなると、全身の血流が悪くなりやすくなります。それによって、肩こりや腰痛のほか、冷え性、むくみといった症状が引き起こされます。
また、体内に老廃物が溜まりやすくもなるので、肌がくすんだり、シミ・しわができやすくなったりと、美容面のトラブルが出てくることも少なくありません。さらに、筋肉や関節が硬いと血管も硬くなるため、高血圧や動脈硬化のリスクも高まるなど、体の中の老化も進んでしまうんですよ。
柔軟性のある体は、見た目の若々しさにもつながる
――特に、硬くなりやすい部位はありますか?
全身といっても過言ではないのですが、デスクワークをしている人は肩甲骨周りや股関節が、立ち仕事の方は足全体や腰周りの筋肉がより硬くなりやすいといえますね。
また、最近はマスクをして過ごす時間も長いと思いますので、顔の表情筋が硬くなっている人も多いのではないでしょうか。
こうした普段の姿勢や習慣以外にも、冬などの寒い時期や、生活の中で緊張やストレスを感じると体が縮こまりますので、それが続くと硬くなりますね。
――硬くなった筋肉をやわらかくすることで、先程おっしゃっていたトラブルの予防・改善につながるんですね。
そうですね。さらに、血行が良くなって代謝も上がりますので、太りにくい体を作ることができます。
また、今回ご紹介するようなストレッチや筋トレは、美肌を保つのにも良いといわれています。ストレッチや筋トレをすると体内でコラーゲンが生成されるのに加え、筋肉で作られる「マイオネクチン」という物質が血液成分として皮膚に運ばれ、シミの素であるメラニンの生成を抑えてくれることもわかっているんです。
見た目の若々しさをキープするためにも、ストレッチで体をやわらかくしたり、筋力をつけたりするのはすごくいいことなんですよ。
続けることで柔軟性が高まるストレッチ
それでは、永田さんに体の柔軟性を高めるストレッチを教えていただきましょう。
<体幹部ひねりストレッチ>
1. 仰向けに寝転んで右脚を伸ばし、左脚はひざを立てる。両腕は手のひらを下にして左右真横に伸ばす。
2. 背中と手のひらが床から離れないようにして左脚を右側に倒し、10秒キープ。このとき、左脚のひざは床につかなくてOKです。
3. 反対側も同じように行う。左右1回ずつを1セットとし、3セット。
こちらは、体の広範囲を一度にストレッチできるのでおすすめ。曲げた脚を倒す際、顔はイラストのとおり正面でも構いませんが、倒す脚と反対側を向くようにする(右側に脚を倒しているときは、左側に顔を向ける)と、首の周りもストレッチできます。
ポイントは、脚を倒すときに背中と手のひらが床から離れないようにすること。ストレッチされている部分が気持ちいいと思うところでキープするといいでしょう。脚を倒しているあいだはなるべく息を止めず、楽な呼吸を続けてください。夜寝る前に行うのがおすすめです。
<肩甲骨周りのストレッチ>
1. 両手を体の前で組み、背中を丸めながら前に伸ばしたところで10秒キープ。
2. 両手を後ろで組み、肩甲骨同士を寄せるように腕を後方へ伸ばしたところで10秒キープ。
3. 「1」〜「2」を5セット行う。
左右の肩甲骨を広げたり寄せたりすることで、背中全体の柔軟性を高めるストレッチです。肩甲骨を寄せる「2」のときは、あごを上に向けるようにすると、首のしわの予防・改善になります。
肩甲骨周りをやわらかくしておくと、四十肩や五十肩の予防にもつながりますよ。デスクワークの合間など、こまめに取り入れてみてください!
柔軟性を高めるストレッチは、手軽にできるエイジングケア
――40代になると、肩こりや冷えなどもそうですが、それ以上に見た目の変化が気になるようになります。体の柔軟性を高めるだけでエイジングケアにつながるのはうれしいですね。
一番手軽にできるエイジングケアなので、実践していただきたいです。というのも、見た目を若々しく保つにあたって意外と見落としがちなのが、姿勢。シニアでも若々しく見える人は、背筋がピンとされていて、歩き方もかっこいいんですよね。
逆に、姿勢が悪いと、年齢より老けて見えるだけでなく、ひざや腰に負担がかかって関節痛などの不調を抱えている人が少なくありません。美しい姿勢をキープできるかどうかも、実は体の柔軟性が関係しています。
今回ご紹介したストレッチは、最初はキツいと感じる人がいるかもしれませんが、続けてやっているうちに少しずつ柔軟性が高まっていきます。ぜひ、あきらめずに続けてくださいね。
お話を伺ったのは...
永田京子(ながた・きょうこ)さん
兵庫県出身、愛知県小牧市在住。2児の母。東映アカデミーに所属し、役者として舞台やドラマなどで活躍した後、ピラティスや整体、経絡、アロマ、リフレクソロジーなどを学び、ピラティス指導者、産後ケアのインストラクターとしての活動を開始。受講者の声と、更年期障害が悪化して苦しむ母を見ていた経験から、女性ホルモン・更年期の正しい情報と対策を伝えるNPO法人「ちぇぶら」を創設した。「ちぇぶら」は更年期を英語でいう「the change of life」の意。著書に「女40代の体にミラクルが起こる! ちぇぶら体操」(三笠書房)があるほか、先日「はじめまして更年期」(青春出版社)が発売したばかり。
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「はじめまして更年期」(青春出版社)
著:永田京子 定価:1,540円