「糖化」はウェルエイジングの重要キーワード!そのリスクとは?

人生100年時代は、「アンチエイジング」から「ウェルエイジング」へ――。

与えられた時間をよりすこやかに、心豊かに過ごすために、老いにあらがう「アンチエイジング」から生活の質を上げて上手に加齢していく「ウェルエイジング」へと医療の視点はシフトしつつあります。 心身の作り方さえ知っていれば、女性たちは実年齢にとらわれることなく、「何歳でどう生きるか」を自分で決めることができる時代になってきました。

そんなウェルエイジングにあたって見逃せないのが、老化に直結する「糖化」です。 糖化とは何か、そして糖化しない生活習慣とはどのようなものなのか?――美しく年を重ねるために知っておきたい基礎知識を、せんだい総合健診クリニック院長の石垣洋子先生の解説で、2回に渡ってお届けします。

今回は、糖化が起こるメカニズムとリスクを中心に、次回は糖化を防ぐ具体的な生活習慣や食事のポイントについて解説していただきます。

<次回の記事>
手遅れになる前に!知っておきたい「糖化」の防ぎ方

糖化は老化の直接的な原因

――始めに、糖化とは何なのか、そのメカニズムを含めて教えていただけますか?

糖化とは、体の中にある余分な糖が活性酸素によって酸化し、それがたんぱく質とくっついてしまう現象を指す言葉です。 酸化した糖とくっついたたんぱく質は「AGEs(終末糖化産物)」と呼ばれる物質となり、褐色化したり硬くなったりしながら蓄積して、肌や骨、血管などの老化の原因になります

――糖化によってAGEsができ、AGEsが老化を引き起こすということですね。

そのとおりです。年齢とともに蓄積されていくAGEsは、その蓄積される場所によって、さまざまな形で老化につながることがわかってきました。 ちゃんと細胞内に入った糖は悪さをしませんが、細胞外に糖がいる状態、つまり高血糖になると糖化リスクを上げ、肌の衰えだけでなく、さまざまな疾患を引き起こす恐れがあります。

血管に蓄積すれば血管が傷付いて心筋梗塞や脳梗塞の発症が助長されたり、骨に蓄積した場合は骨がもろくなって骨粗鬆症などを招いたりします。さらに、糖尿病や肥満のほか、白内障やアルツハイマー病との関連も指摘されています。
したがって、血糖値を上げすぎない生活習慣が大切になってきます。


■糖化ストレスの全体図

糖化ストレス-min.jpg

「見た目の老化」は糖化の表れ

――糖化が進んでいることがわかる、サインみたいなものはあるのでしょうか?

先ほどお伝えしたとおり、糖化ストレスは全身の組織に影響を及ぼしますが、一番わかりやすいのは見た目の老化です。
糖化が進むと肌の色が黄褐色に変化したり、くすみが生じたり、キメがなくなってしわやシミ、毛穴などが目立つようになったりします。一般的にいわれる「老けて見える顔」は、こうしたシミ、しわ、毛穴などが表れた透明感のない顔のことをいいます。

さらに、肌の手触りも変わってきます。通常、皮膚のコラーゲンはさらさらしていて、ぷるぷるとよく動くのですが、糖化するとガチッとくっついて硬くなります。その結果、ハリや弾力性、柔軟性が失われたごわごわの肌になってしまうのです。

鏡に映った自分の顔が老けて見えたり、周囲の人に実年齢より老けて見られたりしたら、体内で糖化が進んでいることを知らせるサインだと思ってください。
実際、AGEsが肌に蓄積している人や、血糖値が高い人は、実年齢より老けて見えるという研究結果がたくさん報告されており、糖化と見た目が密接に関わり合っていることは明らかです。

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――糖化にいち早く気づくには、見た目の変化に気を配ることが重要だといえそうですね。

そうですね。肌や生活習慣など、次の8つのポイントをチェックしていただくといいと思います。


1 さわったときの肌の感触

・以前より肌がごわごわしているように感じる
・ハリや弾力が減った


2 肌の乾燥

・みずみずしさがなくカサカサしている
・キメが乱れ、ハリが低下している


3 肌の色

・以前に比べて肌の色が黄色っぽくくすんで見える


4 食生活

・スイーツを食べたり、甘い飲み物を飲んだりする機会が多い ・揚げ物が好き
・野菜や海藻類をあまり食べない
・肉や魚などのメイン料理から食べ始める
・炭水化物を好んでよく食べる


5 運動習慣

・デスクワークであまり体を動かさない
・スポーツをする習慣がない
・あまり歩かず、車移動が多い

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6 血糖値

・人間ドックや健康診断で血糖値が高いと言われた
・近親者に糖尿病の患者がいる


7 ストレスや疲労感

・寝ても疲れがとれない
・仕事中、体がだるくて集中力が続かない
・イライラすることが多い


8 体型の変化

・急に太った
・おなか周りが気になるようになった

糖化を元に戻すのは難しい

――一度起きてしまった糖化を元に戻すことはできるのでしょうか?

糖化の怖さは、一度起きてしまうとなかなか元に戻せないところにあります。できれば、糖化のサインが出る前に上の8つのポイントをチェックし、正しい生活習慣を身に付けて、予防に徹していただきたいですね。
意識してほしいのは、血糖値を急に上げすぎないこと

糖は人間が活動し、脳を働かせるために欠かせない存在ですが、「過ぎたるは及ばざるがごとし...」で、過剰な糖はさまざまなところに悪さをします。
見た目の老化と体内の老化をともに早める原因になることを忘れずに食事の内容やとり方に気を配り、血糖値を正常に保つよう努めましょう。

やせているから大丈夫、という過信も禁物です。特に女性の場合、一見やせていて問題がなさそうに見える人でも、食後に血糖値が急上昇していることがあるので油断しないでくださいね。

――糖化につながる習慣を見直して、美しく年を重ねていきたいですね。

私は以前から、「年齢の自由化」を訴えてきました。実年齢は暦年齢(クロノロジカルエイジ)として仕方がありませんが、生物学的年齢(バイオロジカルエイジ)、いわゆる自称年齢は自分で決めることができますし、それができる時代が到来してきたと実感しています。実際、アメリカでは履歴書に生年月日の記載はありません。

心身の作り方次第で自分年齢はいかようにでも若くなれますし、実際「この人が○○歳!?」?!と年齢を聞いて驚いてしまうような、いわゆる「美魔女」をたくさん見かけるようになりましたよね。心身の在り方次第で自称年齢はいくらでも若くなれますから、しっかり勉強して年齢にとらわれない生き方を目指していきましょう

まずは糖化というメカニズムを知り、予防して、これまでのように「何歳に見えるか」を気にするのではなく「何歳でどう生きるか」を考える、攻めのウェルエイジングに転じていただきたいですね。

<次回の記事>
手遅れになる前に!知っておきたい「糖化」の防ぎ方


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SUPERVISERこの記事を監修した人

石垣先生

PROFILE

石垣 洋子 (いしがき ようこ) 医師

専門分野:内科

1981年聖マリアンナ医科大学医学部卒業
医療法人社団進興会エスエスサーティクリニック、ソフィア健診クリニック院長を経て、2010年よりせんだい総合健診クリニック院長に就任。がん治療の最前線で治療を続ける中で症状が出てからでは遅い!という悔しい思いから予防医療に力を入れる。 「予防は治療に勝る!」の理念の元、食事、運動といった生活習慣の改善や、健康指導を得意とする。

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※掲載している情報は、記事公開時点のものです。
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