「幸せホルモン」を増やすには?ポジティブに生きるための処方箋(前編)~コロナ禍だからこそ、ワクワクしよう~
新型コロナウイルス(COVID‑19)の感染拡大によって、社会のさまざまなシーンで新しい生活様式の実践が求められるようになりました。日々、報道されるコロナ関連のニュースに耳を傾け、外出を控え、人と距離を置く暮らしの中で、孤独や不安を感じている人も多いのではないでしょうか。
ストレスに押しつぶされそうな日々を生き抜くために、注目したいのが「幸せホルモン」です。幸せホルモンを増やし、ハッピーに生きるための方法を、せんだい総合健診クリニック院長の石垣洋子先生にお聞きしました。前後編の2回に分けて、石垣先生による"心の処方箋"をお届けします!
癒やし不足を補う幸せホルモンに注目!
コロナ禍で在宅勤務が当たり前になり、働き方が大きく変わった人も多いと思います。しかし、誰もがこうした「働く環境の変化」に柔軟に対応できているかというと、そうでもないでしょう。
自粛生活が長期におよび、閉塞感も増す中で、最初のうちはどうにか対応してきた人たちも、限界を超えてうまく対応できなくなるケースが少なくありません。
■新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、感じたこと(複数回答可)
感染者数が増え始めた頃は慎重に行動していたものの、コロナ禍が長く続くと慣れが生じ、最近は緊張感が薄れてきているといわれていますよね。「3密」を避けるため、在宅勤務やリモートワークなど、人となるべく接しない働き方が求められていますが、人は誰かと接することで癒やし、癒やされるもの。はっきりとした自覚はなくても、癒やしが不足していると、誰もが薄々感じているでしょう。
以前は楽しいと感じていたことを楽しいと感じられなくなる、ワクワクしなくなるといったように、知らず知らずのうちに心が疲弊してきていると感じている人も少なからず見られます。
私自身も、早く画面越しではなく、「on time, in-person」で人とつながりたいと願っています。
図のような負のスパイラルを断ち切るために注目すべきは、幸せホルモンの存在です。
代表的な3つの幸せホルモン
人間の脳は、心や体を正常に保つために、100種類以上の脳内ホルモンを分泌します。このような脳内ホルモンの中には、人の感情や意欲に大きな影響を与えるものも存在します。
脳内ホルモンの中でも、喜び、楽しみ、やる気など、幸福感を与える物質を幸せホルモンと呼びます。代表的な幸せホルモンは、次に挙げる3種類です。
安らぎを与える幸せホルモン「オキシトシン」
免疫力アップやストレス軽減に大きく関わり、愛情ホルモンとも呼ばれる「オキシトシン」。スキンシップやプレゼントをもらうなど、「心を通わせた」という事実と行動によって分泌されることがわかっています。
ストレスに負けない幸せホルモン「セロトニン」
心と体に元気を与えてくれる、"特効薬"ともいえる「セロトニン」。セロトニンがしっかり分泌されていると、交感神経と副交感神経のバランスが整い、自律神経が安定します。気分の浮き沈みがなくなるので、ストレスやイライラも軽減されるでしょう。
やる気が出る幸せホルモン「ドーパミン」
「ドーパミン」は、生きるために必要なやる気を促し、幸福感をアップさせるホルモン。仕事や学習などに必要な情報を記憶し処理する能力である、「ワーキングメモリー」にも影響を与えます。
人とふれ合わないことで幸せホルモンが減っていく
PCや携帯電話でのやりとりが日常化している現代人は、直接人とふれ合うことが少なくなり、オキシトシンの分泌量が減っています。友人や家族とのスキンシップ、談笑、食事など、さまざまなふれ合いによる心地良さが、オキシトシンというホルモンを分泌します。
また、オキシトシンが分泌されることで、自律神経を整えるために必要なセロトニンも活性化されるというのが本来の在り方です。
後編では、コロナ疲れから少しでも脱却し、未来の自分にもっとワクワクできるよう、幸せホルモンがたくさん分泌されるような処方箋を届けたいと思っています。
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→せんだい総合健診クリニック
この記事を監修した人
石垣 洋子 (いしがき ようこ) 医師
専門分野:内科
1981年聖マリアンナ医科大学医学部卒業
医療法人社団進興会エスエスサーティクリニック、ソフィア健診クリニック院長を経て、2010年よりせんだい総合健診クリニック院長に就任。がん治療の最前線で治療を続ける中で症状が出てからでは遅い!という悔しい思いから予防医療に力を入れる。 「予防は治療に勝る!」の理念の元、食事、運動といった生活習慣の改善や、健康指導を得意とする。