エクオールを作れる人の特徴とは?エクオール検査について解説

更年期の女性の心身に起こるさまざまな不調の原因は、女性ホルモンのひとつであるエストロゲンの減少にあります。できれば、少しでも快適に更年期を乗り切りたい――そんな女性に欠かせない存在として注目を集めているのが、大豆を食べたときに腸内で作られ、女性ホルモンと似た働きをする「エクオール」という成分です。

しかし、エクオールを体内で生成する力には個人差があり、日本人女性の約3人に1人しか作ることができないといわれています。ここでは、エクオールの働きや、エクオールを産生できるかどうかのチェック方法のほか、体内で生成できない場合の対処法について解説します。

[2022年2月28日更新]

大豆イソフラボンの恩恵を受けられるかはエクオールで決まる

女性の美と健康に効果があり、更年期の女性にも好影響を及ぼすといわれる大豆イソフラボン。しかし、納豆や豆腐、豆乳といった大豆製品を摂取したすべての人が、その恩恵を受けられるわけではありません。

大豆イソフラボンは、腸内でエクオールと呼ばれる成分に変換されて初めて力を発揮するものであり、エクオールは誰でも作れるわけではないからです。

もちろん、大豆製品の摂取は健康のために良いことですが、女性ならではの心身の不調改善を期待するなら、エクオールを作ることができるかどうかをチェックしてみることをおすすめします。

エクオールってどんな成分?

エクオールは、大豆に含まれる大豆イソフラボンが「エクオール産生菌」と呼ばれる腸内細菌によって代謝されてできる成分。女性ホルモンのひとつ「エストロゲン」とよく似た構造を持ち、同じような働きをします。

エストロゲンが減少する更年期には、更年期症状の緩和、または対策をするにあたって、非常に心強い存在だといえるでしょう。

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エクオールに期待される効果

エクオールには、更年期障害の緩和を筆頭に、さまざまな効果があります。


更年期の不調を改善する「更年期症状の緩和」

減り始めた女性ホルモン(エストロゲン)に代わって、同様の働きをしてくれるエクオール。体内でエクオールを作れる人は更年期症状が軽いともいわれ、エクオールによってホルモンバランスの揺らぎが引き起こすほてりや動悸、息切れ、首・肩のこりといった諸症状を緩和されるといわれています。


体をさび付かせない「抗酸化作用」

老化を抑えるにあたって最大の敵は、体の「酸化」。活性酸素が増えすぎることで細胞が傷付き、さび付きが進んで、慢性疲労や肌荒れ、生活習慣病、がんリスクの増加など、さまざまな不具合を引き起こします。

エクオールには強い抗酸化作用があるため、定期的に摂取することで体内の老化を抑えることが可能。いつまでも若々しく、元気でいられるようサポートしてくれます。

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皮膚の老化を防ぎ、肌コンディションを保つ「美肌効果」

エクオールには、肌の機能を維持する力もあります。継続的に摂取するとしわの進行が抑制されたり、しわの面積が小さくなったりするとされ、皮膚の老化を防いで良い状態を維持する「美肌効果」が期待できます。


骨密度の減少を抑え、骨の健康を保つ「骨粗しょう症予防効果」

エストロゲンには、骨のカルシウムが血中に溶け出すことを抑える効果があります。そのため、更年期以降にその分泌量が減ると、次第に骨密度が減少。骨粗しょう症のリスクが高まります。

さらに、エクオールは骨のカルシウムが血中に溶け出すのを抑えるという研究結果も。エクオールを摂取することで、骨の健康を保つことができるでしょう。

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内臓脂肪の蓄積を抑え、脂質代謝を改善する「メタボ改善」

エストロゲンには、内臓脂肪などの蓄積を抑えたり、コレステロール値を下げたりする効果もあるため、エストロゲンが急激に減っていく更年期以降の女性は、メタボリックシンドロームになりやすいといわれています。

そこで、エストロゲンに代わって内臓脂肪の蓄積を抑えたり、脂質代謝を改善したりするのもエクオールの役割のひとつ。

メタボはもちろん、糖尿病につながる生活習慣病、脳梗塞や心筋梗塞を引き起こす動脈硬化の予防にも役立ちます。つまり、女性がすこやかに美しく、いきいきと毎日を過ごすために欠かせない成分こそがエクオールなのです。

エクオールを「作れる人」と「作れない人」がいる

以前は、更年期の症状を軽減したり、美しさを保ったりする効果は大豆イソフラボン自体にあると考えられていました。しかし、実際に力を発揮しているのはエクオールであることがわかった今では、大豆イソフラボンをエクオールに変換する腸内細菌・エクオール産生菌の働きがカギになると考えられています。

エクオール善玉菌に関する研究では、研究に参加した人全体の約97%がエクオール産生菌を腸内に保有しているにもかかわらず、実際にエクオールを産生できる人は22%と少なかったという報告があります

大豆製品や豆乳を意識的にとっているのに、あまり効果が感じられない人は、ひょっとすると腸内環境が悪く、エクオール善玉菌を持っていてもそれが動いていないために、体内でエクオールを作ることができないのかもしれません。

■エクオールを作れる人と作れない人の違い

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食生活の欧米化を背景に、エクオールを産生できない人が増加

エクオールを作ることができるのは、従来日本人の2人に1人といわれてきましたが、最近の研究では約3人に1人に減っているとされています。

エクオール産生機能が低下しているのは、食生活の欧米化が進んで食物繊維を含む食材や豆類を食べる頻度が低下し、腸内環境が変化しているからだと考えられるでしょう。実際、食物繊維を含む食材や豆類を食べることが少ない欧米では、エクオール産生割合が従来から20~30%であり、現在の日本の産生割合が欧米化していることがわかります。

エクオールを作れない人が増えると、今後更年期の不定愁訴の訴えが増えたり、骨粗しょう症の発症リスクが増したりすることが懸念されます。

エクオールを作れる人の特徴

エクオールを産生できる人とできない人の違いについては、研究報告が出てきています。浜松町ハマサイトクリニックの吉形玲美医師の研究によると、エクオールを産生できる人の腸内は、腸内細菌の多様性が高い傾向があるため、食事の内容と生活習慣、そしてそれらによる腸内環境が大きく影響していると考えられています。

つまり、エクオール生成を促すには良好な腸内環境が欠かせません。腸内に良い菌を含む発酵食品と、腸内細菌のエサになる根菜、海藻、キノコなどの食物繊維を積極的に取り入れ、おなかの調子を整えましょう。

また、エクオールを作れる人と作れない人とでは、大豆を摂取する頻度に差があることも、同研究によって示されています。ほぼ毎日大豆を食べる人の中には、エクオールを作れる人が約50%の割合で存在したのに対して、あまり食べない人はその半数以下にとどまりました。豆腐や納豆などの大豆製品をとる回数を増やすことも、エクオールを生み出す力を高めることにつながるといえるでしょう。

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食品からエクオールをとる目安

更年期症状の緩和を目的とした場合、1日に摂取したいエクオールの量はおよそ10mgといわれています。これを食品に換算すると、だいたい納豆1パック、木綿豆腐3分の2丁が目安。エクオールは体内に貯めておくことができないため、エクオールを作れる人であっても目安量の大豆製品を毎日摂取して補い続ける必要があります。

日によって産生量が変わることもあるので、毎日コンスタントに十分な量のエクオールを食品から摂取するのは簡単なことではないといえるでしょう。

さらに、腸内細菌は一定ではなく、食生活やストレスの有無、睡眠時間、運動量などの影響を受けて変動します。規則正しい生活とバランスのとれた食事を心掛け、エクオール産生菌を活発化させましょう。

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エクオールを作ることができなくても、サプリメントで補える!

もし、「エクオールを作ることができない」という結果が出ても、あきらめる必要はありません。エクオール含有のサプリメントで手軽に補うことができます

1日10mgを目安に摂取すれば、必要量のエクオールを体内に取り入れることができ、常に体内にエクオールがある状態を作ることができますよ。

また、エクオールを産生できる人でも、食生活や体調によって産生量に差が出てくることもあるため、日頃からエクオール含有サプリメントを摂取しておくのがおすすめです。

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更年期症状だけじゃない!エクオール含有サプリメントがもたらすさらなる効果

監修者:婦人科医師・吉形玲美先生より

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更年期に入って女性ホルモンが減少し始めると、女性の心と体にはさまざまな変化が現れます。動悸、息切れ、ホットフラッシュ、イライラ、不安...すこやかな日常生活に影響を及ぼすそうした症状を少しでも緩和したいと、食事やサプリメントで大豆イソフラボンをとっている方も多いでしょう。

もし、継続的に大豆イソフラボンをとっていても効果がいまひとつ実感できない場合は、一度エクオールの検査をしてみることをおすすめします。もし、エクオールを産生できていないなら、エクオールをサプリメントで補うといいでしょう。

併せて、腸内環境を整えてエクオール産生菌を活発にするため、食事や生活を改善して腸内フローラを良い状態に保つことをおすすめします。



SUPERVISERこの記事を監修した人

吉形先生

PROFILE

吉形 玲美 (よしかたれみ) 医師

医学博士/日本産科婦人科学会 産婦人科専門医
専門分野:婦人科

1997年東京女子医科大学医学部卒業
産婦人科臨床医として医療の最前線に立ち、婦人科腫瘍手術等を手掛ける傍ら、女性医療・更年期医療の様々な臨床研究にも数多く携わる。女性予防医療を広めたいという思いから、2010年より浜松町ハマサイトクリニックに院長として着任。現在は同院婦人科専門医として診療のほか、多施設で予防医療研究に従事。更年期、妊活、生理不順など、ゆらぎやすい女性の身体のホルモンマネージメントを得意とする。
2022年7月「40代から始めよう!閉経マネジメント」(講談社刊)を上梓。
2023年9月より「日本更年期と加齢のヘルスケア学会」副理事長に就任。

吉形先生のメッセージはこちら

吉形先生の診察を受けられる施設はこちら
浜松町ハマサイトクリニック
ハイメディック東京日本橋コース



【エクオール検査ができる医療機関】

浜松町ハマサイトクリニック>(東京・浜松町)

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女性の身体と気持ちへの寄り添いをモットーに、気軽に受診いただけるクリニックを目指し、婦人科・内科をはじめとした外来診療や健診・人間ドックを提供。生理痛、不正出血、子宮筋腫、子宮内膜症などの治療やピルの処方だけでなく、疲れや倦怠感、イライラなど更年期障害の治療も得意としたクリニックです。


東京ミッドタウンクリニック>(東京・六本木)

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病気の早期発見・予防のため、きめ細やかなテーラーメイドの健診を提供しているクリニック。外来診療では風邪などの疾患から専門的な診療まで幅広く対応。婦人科では、生理不順、不正出血、おりものの変化、子宮がん・卵巣がん・性感染症など、婦人科疾患全般について相談が可能です。


セラヴィ新橋クリニック>(東京・新橋)

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快適性を重視し「男女別フロア」を採用している健診施設。乳がん検診や子宮がん検診、ホルモン検査など女性ならではの検査が充実。特に子宮頸がん検査においては、精度の高い「液状検体細胞診」を導入するなど、女性に優しい環境が特徴。また内科・糖尿病外来や禁煙外来、乳腺外来など一般外来の診察も受診可能です。


せんだい総合健診クリニック>(宮城・仙台)

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仙台の中心部にある高層ビル「トラストタワー」に位置し、東北エリア最大級の規模を誇る総合健診センター。受診者全員がリラックスして過ごせるよう、快適性を重視した男女別フロアを採用。MRI、ヘリカルCTをはじめマンモグラフィや超音波検査、内視鏡検査など幅広い検査ニーズに対応しています。


ミッドタウンクリニック名駅>(名古屋・中村区)

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JR名古屋駅徒歩1分。JPタワー名古屋5階、立地・快適性を追求した男女別の健診施設。「女性に優しい」をコンセプトに、女性専用エリアやパウダールームの設置など様々なホスピタリティを用意。女性特有の検査には女性医師・スタッフが対応します。また、外来診療もおこなっているため、風邪などの疾患や身体の不調なども相談可能です。



※掲載している情報は、記事公開時点のものです。
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