AMH検査――妊娠を望む人の人生設計に役立つ卵巣予備能検査

妊活や不妊治療という言葉の広まりとともに、耳にする機会が増えた「AMH検査」。これは、簡単な血液検査で卵巣にどのくらい卵子が残っているのかを知り、「いつまで妊娠できるか」という見通しをつけることができる、卵巣予備能検査です。結婚・妊娠のタイミング、不妊治療の開始時期やステップアップの時期を決定する際の判断材料として、ライフプランに活かせるのが大きな魅力でしょう。

今回は、検査をする上で知っておきたいことやメリット、具体的な検査手順について、浜松町ハマサイトクリニックの医師・吉形玲美先生に教えていただきました。

AMH検査で「卵巣予備能」を知ることができる

――まずは、AMH検査とは何か、簡単に教えてください。

AMH検査は、発育中の卵胞の周りの細胞から分泌されるAMH(アンチミューラリアンホルモン)を測定する検査です。AMHの数値には、「卵巣の中にどのくらい卵子が残っているか」が反映されるため、検査結果から卵巣の予備能の目安がわかるとされています。

――AMH検査で卵巣予備能を知ることで、何がわかるのでしょうか。

卵子の数には個人差があり、一人ひとりが持っている数は生まれたときから決まっています。また、卵子の数は加齢とともに減っていき、40代になると急激に減少します。年齢に関係なく作られ続ける精子と違って、新たに作られることはありませんし、生活習慣を改善するなど外的要因によって質の改善は期待できますが、増えることもありません。

卵巣の中にある卵子の総数が少なければ、妊娠につながる質の良い卵子が存在する確率も少ないということですから、AMH検査の数値によって妊娠に向かうための体の状況がわかると考えていいでしょう。つまり、AMH検査は、卵巣内に卵子がまだ十分にあるのか、それとも既に数が少なくなってしまっているのかを知り「いつまで妊娠できるか」という妊娠のタイムリミットに目安をつけることができる検査だといえます。

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――AMHの数値は、年齢に関係がありますか。

平均をとれば、AMHの数値と年齢は比例します。しかし個人差があるため、若くても数値が低い人もいれば、年齢を重ねていても数値が高い人もいます。AMH検査を行った結果、20代の人と40代の人の数値が同じということも珍しくありません。ただし、卵子の質は年齢を重ねるごとに落ちていくので、AMH検査の結果から考えられる妊娠のタイムリミットは、20代と40代では異なります。

20代なら、卵子の数は少なくても質が良いので、一概に妊娠しにくいとはいえません。一方、40代でAMHの数値が高かったとしても、卵子の質が低いことを考えると、妊娠の確率は高いとはいえないんです。

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「いつか妊娠したい」というすべての女性のための検査

――妊活を始める際にAMH検査を考える人も増えているようですが...。

先程お話ししたように、AMH検査でわかるのは「妊娠の確率や可能性」ではなく、「個人の卵巣予備能」の指標です。パートナーがいて、2人とも子供が欲しいと考えているのであれば、「本格的に妊活を始める段階」より「いずれ妊娠したいと思っている段階」で検査を受けていただくのが望ましいですね。

「今、妊娠できるか」ではなく「いつまで妊娠できるか」というタイムリミットの目安を知ることは、いつか妊娠したいと考えているすべての女性にとって意味があることだと思います。

――検査結果を基に、その後のライフプランを立てやすいということですね。

そのとおりです。「いつかは子供が欲しいと思っているけど、今は仕事を優先したい」「まだ若いし、その気になれば妊娠できるはずだから、結婚してしばらくは2人の時間を大切にしたい」と考えていても、実際は卵巣予備能が低く、妊娠できるタイムリミットは思いのほか短いかもしれません。自分の体の状況を早めに知っておくことは、将来のためにも大切です。

なかなか子供ができずにクリニックを訪れ、残された時間が少ないと初めて知るのではなく、前もって検査を行い、体の状況を把握しておくことができれば、心の準備もしやすいですよね。「結婚や妊活のタイミングを早める」「不妊治療をステップアップさせる」といった判断に、AMH検査を役立てていただければと思います。

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――具体的には、どのような検査をするのでしょうか。

AMH検査は、血液検査です。検査時間は問診を含めても30分ほどで済みますし、2週間から3週間ほどで結果が出るので、患者さんの負担は比較的少ないでしょう。自費診療なので、婦人科ドックや検診の一環として実施しているケースがほとんどです。検査を希望する場合は、クリニックが検査を実施しているかどうかを確認した上で、申込みをしてください。

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なお、妊娠を希望している方で、生理不順や婦人科疾患などのお悩みがある方に対しては、通常の婦人科でも必要に応じてAMH検査をご提案する場合があります。ただし、病気かどうかを診る検査ではなく、あくまでも妊娠・出産を考える指針としての検査であることをご理解ください。

基本的に、結果は後日郵送となります。当院の検査結果には、数値から自分の状態を判断できるアドバイスシートがついていますので、しっかり目を通して、その後のアクションにつなげていただきたいですね。

――AMH検査を考えている人に、先生からアドバイスはありますか。

AMH検査は、「いつまで妊娠できるか」の目安をつけるための検査です。「数値が良かったから妊娠できる」「数値が悪かったから妊娠は難しい」というように、妊娠を保証するものではないことをよく理解した上で、検査を受けていただきたいですね。

将来的に妊娠を考えている方は早めに検査をして、今後のライフプランに活かしましょう。

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AMH検査の具体的な流れ(浜松町ハマサイトクリニックの場合)

1. 検診の予約

検診の予約を取り、AMH検査を申し込みます。

2. 問診票の記入

クリニックで、基本的な情報や生活習慣などについて問診票に記入します。

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3. 医師の問診

治療中の病気や過去の病歴があるかどうか、また、月経の状況などについて、医師の問診を受けます。

4. 採血

看護師の指示に従って採血を行います。問診から採血終了までの時間は、平均30分ほどです。

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5. 検査結果の確認

AMH検査から2~3週間後に、検査結果が送られてきます。結果に基づいて、今後の行動計画を立てましょう。


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浜松町ハマサイトクリニック
ハイメディック東京日本橋コース


SUPERVISERこの記事を監修した人

吉形先生

PROFILE

吉形 玲美 (よしかたれみ) 医師

医学博士/日本産科婦人科学会 産婦人科専門医
専門分野:婦人科

1997年東京女子医科大学医学部卒業
産婦人科臨床医として医療の最前線に立ち、婦人科腫瘍手術等を手掛ける傍ら、女性医療・更年期医療の様々な臨床研究にも数多く携わる。女性予防医療を広めたいという思いから、2010年より浜松町ハマサイトクリニックに院長として着任。現在は同院婦人科専門医として診療のほか、多施設で予防医療研究に従事。更年期、妊活、生理不順など、ゆらぎやすい女性の身体のホルモンマネージメントを得意とする。
2022年7月「40代から始めよう!閉経マネジメント」(講談社刊)を上梓。
2023年9月より「日本更年期と加齢のヘルスケア学会」副理事長に就任。

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