更年期におすすめ!女性ホルモンのバランスを整えるツボ

コラム・心地よいわたし

更年期を迎えた女性は、卵巣機能の低下によって女性ホルモンのバランスが乱れやすく、体の不調を訴える人も少なくありません。そんな女性の不調の改善に役立つのが、ツボ押しです。これまでも、当連載ではさまざまな更年期症状を軽減するためのツボをご紹介してきました。

一方で、ピンポイントで不調に役立つものというよりは、更年期症状と密接に関連する女性ホルモンのバランスを整え、総合的な体の不調緩和を促すツボもあるといいます。
今回は、更年期の正しい情報と対策を伝えるNPO法人ちぇぶらの代表理事で、更年期トータルケアインストラクターの永田京子さんに、ツボ押しにフォーカスした女性ホルモンのバランスを整える方法を紹介していただきました。

ツボの働きとはどんなもの?

――ツボの存在を知っている人は多いと思いますが、ツボとはそもそもどういったものなのでしょうか?

ツボはWHO(世界保健機関)でも正式に認められているもので、全身に360個以上あるといわれています。ツボを刺激することで、「気血水(きけつすい)」という要素の流れが整い、不調の改善が期待できるといわれているんです。

――気血水とは何でしょうか?

これは、東洋医学の考え方に基づいたもので、私たちが健康を保つために欠かせないもの。

気血水はそれぞれ、「体のエネルギーの源」「全身に血や栄養を届ける」「全身に潤いを届ける体液」を意味します。

・気...体のエネルギーの源
・血...全身に血や栄養を届ける
・水...全身に潤いを届ける体液(血液以外)

東洋医学では、この気血水が相互に影響し合うことで心身がすこやかに保たれると考えられていますので、それぞれのバランスが整っていることが大切。気血水のいずれかが満たされていないと全体のバランスが崩れ、体に不調をきたします

ツボは、神経や筋肉、血管の上にあることが多いため、ツボを押すことで、ジーンと深層に響くような感覚があったり、血流が良くなって冷えやむくみが解消されたりすることがあります。これは、「気血水」のバランスが整うために起こること。

このように、ツボを押すことで直接的に症状が緩和されるというよりは、「気血水」のバランスが整いやすくなるため、心身のさまざまな不調の改善につながり、健康が保たれると考えられているのです。

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女性ホルモンのバランスを整える3つのツボ

――では、女性ホルモンのバランスを整えるのに、おすすめのツボを教えてください。

今回ご紹介するのは「三陰交(さんいんこう)」「血海(けっかい)」「陰陵泉(いんりょうせん)」という3つのツボです。

どれも女性ホルモンのバランスを整えるのにおすすめなのですが、それに加えて、それぞれ特徴的な作用を持っています。


三陰交(さんいんこう)...生理トラブル、ホットフラッシュ、冷え・むくみに◎

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内くるぶしに小指を添え、そこから指4本分上の骨のきわにあるのが三陰交です。

このツボは「女性の不調に対する万能のツボ」ともいわれていて、生理トラブルのほか、ホットフラッシュや冷え、むくみといった更年期の諸症状にも効果が期待できます

押し方は親指の腹を使って5秒間、ご自身が痛気持ちいいと感じるくらいの強さで押してあげましょう。これを、左右それぞれ5回ずつ繰り返します


血海(けっかい)...プレ更年期にもおすすめ。生理痛や冷え、倦怠感の緩和に◎

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ひざのお皿の内側から指3本分くらい上に上がった場所にあるのが血海で、その名のとおり、血流を良くするツボです。

婦人科系に良いツボ」といわれ、特に下腹部の血流が良くなるので、生理痛や冷えなどの改善につながるほか、血の巡りが良くなることで全身の倦怠感の緩和が望めます

また、このツボは30代後半~40代半ばのプレ更年期にあたる方にもおすすめ。この時期は、更年期症状に似た不調が出やすくなるのですが、これは卵巣機能の低下によって女性ホルモンの分泌量が減少しているからではなく、体の冷えや生活習慣の乱れが原因であることが多いんです。

そこで、血海を押してあげると子宮や卵巣周りの血流が良くなり、不調の改善が期待できますよ。

血海を押すときは、手のひらの親指の付け根部分を使って、5~10秒くらいしっかり押してあげましょう。ポイントを押すというより、全体をマッサージするようにほぐしてあげるのもおすすめです。こちらも、左右5回ずつ押してください。


陰陵泉(いんりょうせん)...むくみ、胃腸の不調などに◎

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ひざ下の内側にあるくぼみから、指4本分下がったあたりにあるくぼみが陰陵泉。押すと軽く痛みがあります。

湿気取りのツボ」といわれるほか、ホルモンバランスを整えるツボとしても有名です。「泉」という字が使われていることからも想像できるとおり、むくみや夏バテ、食欲不振、下痢といった胃腸の不調など、体内に水が溜まっていることで起こる症状に効果的といわれています。

このツボも親指の腹を使い、痛気持ちいいくらいの強さで5秒間、左右5回ずつ押してあげましょう

手軽にできるツボ押し。注意点は?

――これらのツボを押すときに気を付けたほうがいいことはありますか?

この3つのツボに限ったことではありませんが、アザができてしまうほど強く押すのは避けましょう。細胞が傷付いてしまう可能性がありますし、何より痛さのほうが勝ってしまったら続けられないですよね。

ご自身の感覚で心地いい、あるいは痛気持ちいいと思うくらいの強さを目安にしていただくのがいいと思います。

――強く押すほど効果があるような気がしていましたが、それは誤りなんですね。

そうですね。また、ツボ押しというと、先の尖ったものでグリグリ押すイメージがあるかもしれませんが、ツボの位置をピンポイントで押すのは、専門の知識を持っていないと難しいんです。そのため、多少位置がずれていてもツボの周囲を刺激できるよう、指の腹や手のひらを使って押すのがおすすめです。

――ツボを押すのに適したタイミングはありますか?

基本的には、いつ押していただいても大丈夫です。よく、目が疲れると目頭を押したり、肩がこると首の付け根をマッサージしたりしませんか?実はそこがツボで、私たちは知らず知らずのうちに押しているんです。

そのように、何か不調を感じたときに押すというのでも、問題ありません。また、今回ご紹介した3つのツボは、血や水の巡りを良くしてくれるので、寝る前に押してあげると、寝ているあいだに老廃物が流れて、翌日はスッキリした気分になると思います。

ただ、血流が急激に良くなることで、まれに気分が悪くなる方もいます。そのときは、すぐに押すのをやめてくださいね。

――ツボは毎日押したほうがいいのでしょうか?

習慣化することによって不調が出にくくなるとは思いますが、毎日絶対に押さなくてはいけないものではありません。それよりも、「こういう症状のときはこのツボを押せば楽になる」という、自分が陥りやすい症状への対策法として持っておくと、更年期症状に悩む女性にとってはプラスになるのではないでしょうか。

そういった自身のメンテナンス方法として、ツボ押しを取り入れてもらえたらと思います。ぜひ参考にしてみください。


お話を伺ったのは...

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永田京子(ながた・きょうこ)さん

兵庫県出身、愛知県小牧市在住。2児の母。東映アカデミーに所属し、役者として舞台やドラマなどで活躍した後、ピラティスや整体、経絡、アロマ、リフレクソロジーなどを学び、ピラティス指導者、産後ケアのインストラクターとしての活動を開始。受講者の声と、更年期障害が悪化して苦しむ母を見ていた経験から、女性ホルモン・更年期の正しい情報と対策を伝えるNPO法人「ちぇぶら」を創設した。「ちぇぶら」は更年期を英語でいう「the change of life」の意。著書に「女40代の体にミラクルが起こる! ちぇぶら体操」(三笠書房)があるほか、先日「はじめまして更年期」(青春出版社)が発売したばかり。

NPO法人ちぇぶらホームページ
YouTube「ちぇぶらチャンネル」

本「はじめまして更年期♡」-min.jpg

はじめまして更年期」(青春出版社)
著:永田京子 定価:1,540円




※掲載している情報は、記事公開時点のものです。

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